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波乱の 67「秘密の夏休みにつかまえて」

秋野ひとみ「つかまえてシリーズ」全95タイトルを全巻レビューするのが目標。無作為に選び一冊ずつ順不同にいきます。

67作目「秘密の夏休みにつかまえて」2001年

左記子と明くんのオセロ対決から。律泉さんが訪ねてきて、知り合いのパーティーに行くことに。律泉母、登場。

「あまり知らない人のパーティーに参加してそこで事件」パターン。全巻レビューが終ったら集計してみようと思っているんですが、このパターンは予想だけど五巻以上はありそう。

パーティーの最中に殺人事件が起こり、現場にいた派遣のメイド女性が容疑者として逮捕される。由香たちはその光景を信じられない。

メイドの服装をしたその女性が、蓉子さんだったから。蓉子さんは大泥棒で美しい宝石を盗むことはするけれど、殺人は絶対にしない。初めて会ったときから由香と左記子は、そんな彼女に憧れをいだくほど大好きだから、その蓉子さんが殺人現場にいて、容疑者として逮捕されるなんて。

蓉子さんを救いだそうと事件解決をちかう桜崎事務所のメンバー。保険金調査員のふりをして関係者に話を聞くなどの捜査、蓉子さんとの面会を経て由香が真相にたどりつく。

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律泉さん登場により中断された明と左記子のオセロ対決(明が優勢だった)がラストで再開され、中断したときの盤上を菊地さんと圭二郎さんの記憶によって再現するところ面白い。

菊地さんと明くんのクラス自宅を左記子がたずね、蓉子さんのことを知らない明くんにこれまでの経緯を教える。由香と圭二郎さんがなかなかはっきり付き合い始めなかったころの話もあるので、その間に由香の前に現れた菊地さんとしては辛い話もあっただろう。好きな人がいるのに自分と、そして結局はその好きな人を選んだ。って、このシリーズじゃなかったらただのタチ悪い女だと思う。

蓉子さんを救い出したい圭二郎さん、その気持ちを少しだけ誤解しながら支持する由香、蓉子さんとの経緯を知って傷つくこともあった菊地さん、初めて知ったことばかりで驚いた明くん。各自の気持ちがざわざわとそれぞれに揺れる。そこを丁寧にかいてあるので、長年の読者はどの人物の気持ちもわかりながらがんばれ、みんなと応援してしまう。

こういうときの左記子が好きです。あと、圭一郎さんも。




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