ちはやふる小倉山杯出場選手インタビュー 太田知里選手
2月19日(日)京都は嵯峨嵐山文華館にて開催されるちはやふる小倉山杯。競技かるたの最高峰である名人・クイーンをはじめ、計8名のトップ選手が一同に集結し競い合います。
そんなかるた界のトップ選手のこと、もっと知りたい!ということでお話しを伺いました。
おひとりめは石川かるた会所属の太田知里選手です。
太田知里選手紹介
段位:五段
所属:石川かるた会
昨年の女流選手権では、2回戦で三笘準クイーン、準決勝で荒川元クイーン、決勝で山添クイーンと錚々たる面子を破り、悲願の初タイトル獲得。ちはやふる小倉山杯初出場の権利を手にした。今年度より拠点を関西から関東へ移し、練習相手も豊富になった。畳の上に座ると、普段の彼女の人柄からは考えられないような眼差しで札を見つめるのが特徴的である。
所属かるた会について教えてください。会でどのように練習していますか?練習相手についても可能なら聞かせてください。
「石川かるた会」に所属しています。
かるたを始めたころ、石川県の南の方、小松市に住んでいました。本多姉妹(姉:本多未佳・ほんだみかさん 六段 第57期準クイーン 石川かるた会/妹:本多恭子・ほんだきょうこさん 六段 第64期クイーン 大津あきのた会)とほとんど同じ所で練習させていただいていて、そこで一緒に育ったというか(笑)、育ててもらったという感じです。
私が始めたころは、おふたりはもうA級だったので、手の届く存在ではなかったのですが、C級・B級と上がっていったときに、一緒に練習させていただいていました。今思うと、環境はすごくよかったです。
大学は大阪に進学したので、4年間だけ大学のかるた会に移籍しました。大学のみんなと活動したあと、卒業するときに、石川の名前で大会もいろいろ出たりしたいな、と石川かるた会に戻って、ずっとそのままですね。
都道府県対抗の「国民文化祭」も毎年石川県チームで出場させていただいて「太田は石川だよ」ということを、残しておきたいなあ、という気持ちです。石川県の地元で、子どもたちや高校生と練習して、盛り上げているみなさんを見ていると、自分は何もしていないなあ、と。今後何か恩返しというか、何かをこう、返せたらと思っています。
かるたの師匠と呼べる人はいますか?エピソード等あれば。
かるた歴が長くなってきたので、何名かいらっしゃるんですけれど、一番最初にかるたを始めるきっかけになった、地元・小松の小学校の担任の先生が第一の師匠です。「クラスみんなで、百人一首覚えるぞ!」と言ってくださった先生なので。
それから本多恭子ちゃんです。小学校から一緒なんです。私は小学3年生の時にかるたを始めたのですが、その夏休みに、小学5年生だった恭子ちゃんが来てくれて。小学校にある小っちゃい和室で。私のために来てくれて、並べ方とか払い方とか、暗記の仕方とか……
最初のすべてをたたき込んでくれたのが恭子ちゃんでした。マンツーマンで教えてくれたので、競技かるたの師匠といえば、私には恭子ちゃんです。
あとは本当に師匠はたくさんいて。小松かるた会で毎週毎週練習して、教えてくださった方も。
転機として、大学に入ってから阪大OBに岸田元名人(岸田諭・きしださとしさん 八段 第59~61期名人 篠山かるた会)がいらっしゃって。それまで試合・試合・試合と練習が主だったのですが、戦略的というか、考えて取るかるた、ロジカルな「こういう理論で取る」というのを教えていただきました。こう、「ここに体重をかけると、こう体が動くから」みたいなことを意識して、結構自分のかるたが変わったなあ、と。3人目の師匠として、岸田さんを僭越ながら上げたいです。
なんか、私本当に出逢いに恵まれているなあ、と。周りの方々や環境に、すごく恵まれた人生を送っているな、自分ってと思っています(笑)。
これからかるたをやってみたい人や初心者に声をかけるとしたら?
まず第一に「自分が楽しくかるたを取ってほしい」ですね。楽しいかるたを続けて行けるように。勝負の世界ではあるんですけれど、その中でも楽しくないと続かないかな。負けても楽しかったって言えるかるたをしていってほしいな、と思います。自分が楽しむことを一番にしているので(笑)。
学生は学校があって、社会人だと仕事とかるた、両立に苦しむ、思いっきりかるたが取れない、なんて人は多いと思うんです。だからそういう時は、すぱっと自分が好きな道を、すごく「楽しい」を中心に考えて選んでいいんだよ、って。
かるたの楽しさの根源は……。単純に早く動いてスパァン!って取れるのが、一番楽しいです。「今の自分が一番強い」と思っていて(笑)。過去の優勝した時の取りもよかったけれど、そのときよりも今の方が強いな、と思うタイプで。それでモチベーションも高く、ずっと楽しくやりつづけられるのかな。思い上がりかもしれないですけれど、考え方のひとつとして。
和装での戦い方で工夫していることはありますか。
帯は締めずに、紐と伊達締めのみで、その上に袴をはいてしまっています。ちょっと邪道なんです(笑)。着物の丈を切って短くされている方もいらっしゃるのですが、私はそのまま着ています。母が昔着ていた着物をもったいないから使っていて。普通の着物なので、母が縫い留めてくれて、丈を短くしてくれたものを毎回使っています。
袴ってお腹のところがこう、紐で縛られているじゃないですか。なので相手陣下段の深い所を取るときに、腹筋の代わりというか、体感がしっかりして姿勢が保たれて、取りやすくなるかな?とポジティブに思っていますね(笑)。
お話を伺ってみて
太田選手はとにかく朗らかでポジティブ!
百首覚えるところから楽しかった!と仰っていて、覚えるところはかるたを始める最初のハードルでもあると思うのですが、それすらお友達と競いながら楽しく続けてきたというのがとっても印象的でした。
ただ、ちはやふる小倉山杯は錚々たる選手の中での戦いなので少し気後れする部分もあるというお話しも。持前のポジティブさで楽しんで全力を出し切ってくれることを期待しています!
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