43〜52話
43話、ジョーの演奏する曲は「始まりはいつも愛」トランペットとサックスが交互に演奏する曲のトランペット部分だけを使っているのはもちろんジョーの演奏がメインであるからだけど、まだるいとジョーが出会ったばかりだからサックスと交互にはならないということのような気もしています。
ジョーに「やっぱりジャズが好きなんや」「るいちゃんて呼ばれてたから」と言われて、回想もあるけどちょっと間があってるいの「違います」の返事は、るい=ルイ・アームストロングのことを指しているのがわかったからで自分の名前の由来に気づいた人に(定一さんは除いて)初めて出会ったんだろうなあ。
44話、るい、サニーサイドを聞いて逃げ出してしまったけれど本人も気づかず最初からジョーのトランペットに惹かれているし、ジョーが瓶から直接振り入れようとするのを見かねてコーヒーを淹れる。ジョーは直接振り入れるのが当然と思っていた=幼い頃の記憶が残っているんだろうな。
ジョーがコーヒーの瓶を持って振り入れようとしているのが柵で隠れてよく見えない、という凝ったことをしてくれているんですよね。一旦気づくと、コーヒーの瓶に並んで煤けたような茶筒があんな柵の上に白々しく載っていつも映っていたなんて。
ところで、ナイト&デイの階上の倉庫、蔦が這っているのはもしかして甲子園のイメージなんでしょうか。←小ネタ甚だしい
45話、るいが尋ねられる(ジョー)「どこ行くん?」(ベリー)「どっから来たん?」がずっと意味ありげに聞こえていたのですが、流離人への問いでしょうか。将来一緒に歩むその人が行き先を尋ねている。
ナイト&デイで名前のことを聞かれてやはり間が合ってのるいの違いますの返事は、それぞれの反応があったけれど悪態ついてたベリーちゃんも含めてみんな訳ありだと気づいているだろうな。木暮さん、るいが来た時と違って親身になっている。
ナイト&デイの玄関の柳の木は、定一さんだろうと思っていたのですが、エデンの東で少年のアロンが少女のアラブと柳の木の下で結婚の話をしているところから採っているのかもとも思いました。
46話、欲しい物がないと言ってたるいが、サマーフェスティバルに行くためにワンピースを買う。るいがお金を使うのはジョーがきっかけ、この後ずっと。ワンピース、レコード、やがて貯めたお金はジョーと一緒に暮らすための開店資金になり、ピアノのレッスン代にも。欲しいのは物じゃない。
47話、地蔵盆の出店の輪投げや金魚掬いを子供達に混ざってやって何一つ上手くできないけどたこ焼きを子供達と分けっこする姿が堪らなく愛おしいジョー、丸いたこ焼きをシャツにこぼれ落としたらもうるいが2階のベランダから駆け降りるのは当然としか見えないのすごい。
このシーン、たこ焼きを分けるジョーの後ろにほおずきがあって、霊を呼ぶお盆の提灯か子供が鳴らすおもちゃとしてなのか。 こうなるとベランダにいるるいの側も気になって見てみました。全然詳しくないのですが、シダ、蔦、ポトス、奥のはアロエ?蔦は甲子園?(こじつけ)
シダは検索すると万葉集で 我が宿の軒にしだ草生ひたれど恋忘れ草見れどいまだ生ひず (柿本人麻呂) 詠まれていました。
アロエは聖書に出てくるようです。ポトスは「永遠の富」「長い幸」「華やかな明るさ」。 アロエは傷を治すともとれそう。 全部意味がありそう。スタッフさんのお仕事が凄い。
48話、地蔵盆の明るい物干し場で語らう。暗くなって花火をする親子を見ている二人からはほとんど台詞もなく、静かでそれでいてこんなに豊かな物語。(これで完全にハマりました。)見守る竹村夫妻、片桐さんと違って店先で知っている人じゃないからもあってジョーを夕飯に誘ったんだろうな。
ジョーがいい子なのがわかって竹村夫妻も安心した様子。ジョーの行儀が良かったり、お酒が飲めないのに驚かれてええまあなんて答えたり、堀江さんのニュースあったり情報量が多いのに穏やかな食卓。このときシャツのアイロンは平助さんがかけたんだろうな。(その作業を見てるのに零すとは)
物干し場での二人のシーンの左、るい側に生えているのはトクサだと思うのですが、能で「木賊」という曲があって、別れた親子が再会する物語です。親(老翁)ですが舞い謡うようです。(本は持ってますが見たことないです。)関係あるのかどうかと思いながら一応記載しておきます。
49話、るいが夢中になって聞くサニーサイドのレコード、思い浮かべるのは母ではなくサニーサイドを吹くジョー。隣でそれを見ているジョーはケチャップをこぼしてる。未来のディッパーでの二人に繋がっているような。
時間の経過を示していたお店の前を通るお母さんと女の子、翌年には赤ちゃんが産まれてベビーカー、まるでるいとひなたみたい。 45話で出てこなかったレスカ、ようやく実体登場、岡山編で台詞のみで大阪編で登場のスイカのように。ナイト&デイの装飾の黄色の丸とも合ってて、レモンも月を暗示するよう。
木暮さん、ジョーの気持ちがわかってるから、ベリーちゃんにそれとなく伝えてるんでしょうね。ベリーちゃんもわかってての負けへんで。
採譜をするジョーを離れたところから見つめるるい、吹いてみる?とトランペットをるいに渡すジョー、距離があまりに近くて逃げるるい、この一連のところがすごく少女漫画っぽく見えて、ひなたがノリノリで書いたんだろう、そうか、カムカムはひなた版エデンの東なのか、と今更ながら思いました。
少女漫画版エデンの東と言えば、wkiにも関連作品扱いされてる"CIPHER"がありますが、白泉社なのでひなたは読んででるかもとちょっと思いました。小説を読んで、同じ成田先生の"NATURAL"は明示はしてませんが、魔女キャシーがアダムを撃つというのを天使の名を持つ主人公に投影してるのに気づきました。
50話、ベリーに話しかけられて「簡単に人のことがわかるなんて言うな」とキツく言ってしまうジョー。ジョーの影の部分。木陰から日向の明るい場所でボールを投げるるいを見ながらトミーとるいのそれぞれの言葉を思い浮かべたのは、簡単にはわからないが反転してわかってほしい、なのかな。
野球、るいは筋がいいと勇が誉めるのを、おなごの子じゃからと否定した安子、野球してるるいをこんなに愛おしそうに見つめてる人が現れるなんて、想像できなかっただろうな。 余談:漫画CIPHERで、アニスは幼馴染の男子と一緒に野球をやっていて、怪我が怖い俳優のロイは試合を見ていました。
トミー、夫婦善哉の柳吉に共感するところがあったのかな、クラシック音楽家の家を飛び出てジャズをやりたい。(柳吉、柳の文字が入ってる、と今、気づ来ました。)
「女にうつつを抜かすなよ」「女をはべらすことと付き合うことは別や」トランペットに全集中という、トミーなりのストイックさの表現、これに対してようわからんなあのジョーだけど、ジョーはトランペットしかなかったから、わからないということなんでしょうね。
51話、海で一緒にサニーサイドの歌を歌うるいとジョー。るいは、度々レコードを聞いたんだな、ナイト&デイでジョーのそばで覚えてしまうくらいに。封印していたように見えてもずっと覚えていた。長い間心の中にあって111話でジョーの演奏でジョーのそばで歌うところに繋がる。
海でのジョー、「ちりとてちん」の小草若が来ていたジャケットを着てるんですけど、藤本先生の前作の朝ドラ、という単純さでなくて、どこかに小草若と重ねているような気がするんですよね。母を亡くしたことや、草々と兄弟的なところがあったりという意味をのせてるような気がしてます。
オンデマンドを解約していて確認できないのですが、確か小草若はあのジャケットを母のお墓参りに着て来たような記憶があります。単純な投影というより捻った形で入れているような気がしてます。エデンの東などの他の物語もそうきたかという取り入れ方でしたし。
トミーって、ジョーより少し年上で、戦後すぐの混乱期のことを辛うじて覚えているような気がします。そう思ったら、海でるいに話した、あいつ戦災孤児やねん、がすごく重く聞こえてきます。トミー本人は多分疎開してて、大阪に帰って来て衝撃を受けたのかも。
ベリーちゃんはジョーより年下で戦後が大変だったことを知らないんじゃないかな。るいはもちろん小さかったし。 この微妙な年齢差が人物像にすごく影響している気がする。トミーは良く気が付くタイプだけど、やっぱり、知っているからの振る舞いでもあったように思えて来ました。
52話、るいから返事をもらえないジョー、ずっとトランペットを触っているけど、吹いていない。コンテストが近づいて吹かないといけないのに吹けない。でも。トランペットを持っていないと心細いように見えます。ダグラスでジョーの後ろにトランペットニューセッションのポスターが映るのは、岡山編のディッパーの店内に貼られていたトランペットの描かれたポスターと呼応している?ずっとアイロンをかけるるいの背後のポスターと呼応していると思っていたけど、ジョーのルーツの表現?54話でアイロンをかけるるいの背後のポスターは、棗黍之丞。安子と稔さんがかつて見た映画のシリーズ。これ、るいのルーツの一つだ。
「ダグラス」の店内、カウンターに1本の赤い薔薇、リボンがかけられている。他にも一方的に話するいと困惑するジョーの近くに赤い薔薇が飾られ、試着室の手前にあるのゴムの木。あんなに何度も見てたのに、今になって気づくとは。赤い薔薇に合わせるように赤いジャケットを選んで。ゴムの木は検索したら「永久の幸せ」という花言葉だそうで、二人を祝福する、試着室。
地蔵盆の回(48話)、花火のシーン、夜なので特定できなかったのですが、白いアーチにつたう赤い花は薔薇なんですかね?8月だから通常は咲かないけれど、時空を歪めることのあるカムカムならあり得るかなと。「ダグラス」の店内、他にも色々あって、店長の後ろに小さい地球儀らしきものや、ガン(これはカークダグラスを示唆)衣装ジャケットが並んだ中に手前に帽子をかけたものがあったり、トランペットの形の置物があったり、とても凝ってました。
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