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第1話|心と体が納得するんだよね|一色一菜ムトゥ青果店|武藤夕佳子

「野菜をつかったレシピを教えて」と茨城の友人から連絡がきた。だるま作家(!)の彼女は昨年からイベント限定の青果店を開始、最近は色々な人の野菜を使った料理とレシピの紹介を始めた。やりとりの中で「生涯、土と野菜に関わっていきたいよ」とイキイキしていたのが印象的で、そういえばなんで八百屋なのか、まだ聞いてなかった。ということで、オンラインで聞いてみました。

2020.4.26 ⇄ 茨城

感覚にしたがってきたらこうなった

−今どうですか?

ピンチはチャンスみたいな、新しい仕事ができる機会かなって思うのと、動いてないと不安でしょうがないのの両方。

去年から旬の野菜一種類にスポットを当てて販売してたんだけど、5月に人参の回をやろうとしてたのができなくなったから、人参を中心に地域の野菜を集めたボックスを予約販売しようと思ってて。今はその準備をしてるところなんだ。

−それはすごくいいね!

5軒の農家さんが参加してくれることになって。キャベツとかトマトとかオーソドックスなところをメインに、珍しい野菜をたくさんつくってるところがあるから、そういうので彩も添えたり。この後もずっと継続していけたらと思ってるよ。

−農家さんはみんな同世代?

そうだね、参加してくれる農家さんはだいたい30代〜40代の同世代で、1軒だけトマト農家のおじちゃんがいる。周りの農業の担い手には同世代もけっこういるけど、継いでる人が多いかな。新規就農はなかなかハードル高そうだね。

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−そもそもなんで野菜を売り始めたの?マルシェで生産者さんが直売してるのはあるけど、八百屋って発想はなかった、いいなって思って。

4、5年前から野菜に触れ合う機会が増えてて、感動したってのが一番大きいかも。実際に畑で働いてみて土を踏んで、体と心が納得したんだよね。

−納得するとは?

とにかく気持ちがいい。体力的にはしんどいときもあるけど、作業の合間に感じる風とか、とれたての野菜の美味しさとか。うまくいえないけど、納得する。笑

青果店始める前に収穫体験の企画をしたことがあって、その野菜を使ってお弁当作ってもらって畑で食べたときの手応えも今に繋がってるな。野菜を通して人が交わることも、ムトゥ青果店やってる理由。あとは、いろんな販売方法や体験を通して野菜を楽しんでもらいたい。

−ムトゥ青果店では売るだけじゃなくて収穫体験とか農家さん紹介とかもしてるんだよね。農家さんの求人を載せたり。今は農家で働いてるの?

今は日本全国に水草を卸してる園芸農園でバイトしてるんだけど、もうすぐキャベツ農家で働き始めるよ。いろんな場所で働くのも勉強になる。私はつっこんで研究したりとかは得意じゃなくて、いつも感じたことがメインな動き方なんだけど、それに正直に従ってきたらこうなったよ。

あとは紹介したがりだからね、いいものあるよどうどう、みたいな。美味しい野菜作ってる人がいれば売りたいってなる。富山は野菜はどう?

−野菜の生産量は日本有数の少なさみたいだよ。農地は多いんだけどほとんど田んぼなんだよね。川沿いに市民農園がずらっとあったり、野菜は自給的につくってる人が多いのかも。農のありかたって土地によって全然違うって実感する。茨城の野菜生産額は北海道に次ぐ2位だから面積で考えたら1位みたいなもんだよね。

たしかに気候的にも何でもつくれるしね。専業じゃなくてもみんなガンガンつくってる感じする。競争が激しいぶん美味しくもなるよね。ただ逆に当たり前になってて、価値に気づいてないところもあるかも。今がそれを見直す機会になりそうな気もしてるよ。

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−「やさいたべたん通信(野菜を使った料理とレシピの紹介)」はどういうきっかけではじめたの?

こういうことになって、何か動いてないと不安ていうのがまずあって。それでも日常は日常だから、日々の料理とか作り方を共有していきたいなって。日常があるって感じるとほっとするしね。

−たしかに。たべたん通信のレシピを頼んでくれた時に、生涯、土と野菜に関わっていきたいって言ってたよね。それはこうなる前からそうだったんだよね?

そうだね、その想いが強まった感じかな。今は青果店といいつつ実店舗があるわけじゃないけど、いずれは店を構えたいし、自分の畑も持ちたい。野菜にぞっこんよ。

−野菜って色とか形とか、見た目も格好いいもんね。

野菜の造形的な完成度って凄いよね。五感で楽しめる要素がぎっしり詰まってるし。野菜や畑はだるまと本当にいいバランスでやっていけそうなんだよね。

***

数年前に雑談してた時に、「育てたい、自分じゃない存在にふりまわされたいんだよね」みたいなことを、彼女だったか、私だったか、別の誰だったかが言っていた。それまでは、集まっては恋したいだの結婚したいだのガールズトークをしてたのが、その日はまちづくりについてとか、それぞれの街がまとってる空気感とか、野菜についてとか、なんだか話題が変わっていた。人ってたぶん、年齢を重ねるなかのどこかでそういう、ふりまわされたい感じになる。そして自分以外の育つものから生命力をいただくんだと思う。

最後は写真のやりとりの時にいただいた一言で締めます。

「どこまでもいけるよ、農業、野菜、たべること!」

一色一菜ムトゥ青果店 / やさいたべたん通信 
https://www.instagram.com/mtwoo_seikaten/?hl=ja
モノツクルクルカンパニー 
http://monotuku.space/

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