一緒に咲いていい。
心理的居場所である美術室。
保健室や図書室にならんで生徒たちにとっての安心材料が並ぶ空間。色と形とイメージに溢れた空間を作っていきたい。同時にその場に空気のように馴染んだ人間でありたいと思う。
クラブのない放課後、とびっきりの笑みを浮かべた生徒がやってきた。
「先生!今度ね、英語のスピーチコンテストがあるの。先生作業しながらでいいので聞いてください!
なんかここが1番落ちつくんです!」
「もちろん聞くよ。
英語の先生じゃないけどいいのかな?」
「先生に聞いてほしい!」
私は作業の手を止めて、
とても不思議ではあるが
心地よく懐かしい感覚に浸っていた。
自分が中学生の頃を思い出していた。
部活動に弁論大会に、駅伝にバンドに恋に、
立ち止まることを知らず、がむしゃらに
目の前に与えられた目標に向かっていた。
そんな若い自分を思い出していた。
忘れかけていたあの頃の希望や情熱を
大人になった今でも抱きながら
生きていてよいのだと気づかせてくれた。
私は生徒たちを愛おしいと思う。
この子たちとの出会いを偶然だとは思わない。
必然として与えられた出会いであると心から思う。
置かれた場所で咲く。
3年ぶりに教壇に立ち、
「この子たちが素敵な花を咲かせるよい土壌になりたい。」
と願ってきた。そしてそう遠くないうちに、私は
しだれ柳のように老いて、自然と頭が下がる。
そのステージに立ち始めたのだと自分に言い聞かせていたが、どうやらまだ生徒たちと一緒に咲いていてよいみたいだ。
今はそんな気づきが与えられている。
米光智恵
【美術室ギャラリー】
150年の学校の伝統題材を生徒たちの「自分ごと」にする風景画の授業の取り組み
【休校になった時の対応として、また生徒たちが学びを振り返られるようにと作った動画】
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【美術科の評価マンガ原画】
【教師の事前メモと完全手描きのおたより】
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