『箔で表してみよう。〜広がれフェイク金箔の可能性!〜』

『箔で表してみよう。〜広がれフェイク金箔の可能性!〜』

 筆者が初めて箔に出会ったのはセルビア(旧ユーゴスラビア)滞在中に訪れたミロシュ小学校でした。セルビアは国民のおよそ99%がオーソドックスクリスチャンであることから、キリスト教精神に基づいた学校教育が可能です。子ども達は美術の授業の中で教会に出かけていき、イコン(聖者)を模写したり、陶芸でイースター(キリスト復活祭)を題材にしたイースターエッグを制作していました。
その作品の一つひとつをよく見ると、箔が使われています。学校現場で箔をふんだんに使うことが果たして可能なのだろうかと疑問に思い、箔の種類について調べ始めたことが、今日の題材研究のきっかけとなりました。

セルビアから帰国後(2009年当時)、早速手頃な箔を探すも見つからず、気がつけば探し始めてから10年という月日が経過していました。日本と海外(東ヨーロッパ)では箔の種類やコストがずいぶん違うということがあとから分かってきました。箔の題材研究を諦めかけていたある日、Amazonサイトでフェイク金箔という素材を見つけました。その瞬間、手頃な箔が日本の市場に出始めたことを確認できたと同時に、箔が職人だけのものではなく、子どもが手軽に手に入れられる工作材料となり、多くの人にニーズがあるという事実が分かってきたのです。

 2019年に来日したグスタフ・クリムトの作品展では、多くの鑑賞者が黄金様式の作品の前で足をとめていました。

「豪華絢爛が人々を魅了してやまないのは何故か。」

「金が放つ崇高な輝きが人にどんな感情をもたらすのか。」

「小さな子ども達が金の折り紙やビーズなど、
キラキラピカピカした素材を好むのは何故か。」

クリムトの作品展は筆者の疑問をさらに深く探るきっかけをくれました。この時にフェイク金箔についての研究を綴ってみました。

●フェイク金箔研究記事↓

題材研究10年の歩み
https://note.com/chiemaru7/n/n22075ff548f4

 美術教育に従事する先生方との交わりの中でフェイク金箔の題材研究は今も不定期で開催しています。今回の動画は、これまでの研究と実践をまとめたものです。教師向けに制作したものですが、フェイク金箔の取り扱い方法について詳しくデモンストレーションしていますので、子どもから大人まで楽しんでいただける内容となっています。ご自宅で、幼保園で、学校現場やアトリエで、ぜひ箔という素材に触れてみてください。薄れつつある伝統的な箔押しの技法に触れるだけではなく、造形あそびとしての要素がふんだんに詰まった素材です。

素材との出会いは社会(ヒト•モノ•コト)との出会いとも言えます。つくってはつくりかえながら、
自分だけでは気づくことのできない他者の見方、感じ方、考え方に気づいていく。多様な価値観を受け止め、分かち合い、認め、時には批判し、また受け入れる。

美術には、人の『生』や『営み』といった教科性を超えたメッセージが溢れています。この動画を通して筆者の想いを受け取っていただき、ぜひ明日への実践にご活用ください。そして目の前の子ども達へと贈っていただければ幸せです。

        大人の図工塾管理人 米光智恵

●フェイク金箔についての過去の関連動画↓

フェイク金箔をもっと身近に
https://note.com/chiemaru7/n/nfb5c9a7554fa
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箔で表してみよう。〜広がれ!フェイク金箔の可能性〜 https://youtu.be/vReJ94ZNsS4

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