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アトリエの色と形 素材からイメージを広げて「紙」

月に一度のアトリエ講師です。


この春から始動した新しいアトリエのカタチ。

先生とぼくわたしだけのアートの時間。

クラス名をプライベートレッスンではなく、

アート+(プラス)と呼ぶことにしました。


指導するのではなく、引き出す。

その子の中にあるイメージを色や形に表出するお手伝いができたらと思っています。


先ずはお子様と親御様への事前アセスメントをとり、オリジナルのプログラムを組み立てました。

自分の世界を自由に探索し、表現するため、あえてテーマを決めずに毎回主な「素材」を提示します。


第1回目の今日は「紙」でした。

元気いっぱいの9歳のA君との出会い。

秩序と無秩序のバランスを考えながら

Aくんの表してみたい色や形を一緒に

探っていきました。

●抽象的な題材を好むA君のアートワーク。

 目と手の連動運動の記録


机の上に置かれた真っ白な画用紙。 


「先生、今日は何を描くの?」

「今日はね…グシャグシャア!」


紙をグシャグシャと小さく丸めてみました。


「さぁ、どこまで小さくなったかな?

 もう一回広げてみる?

 次はねじってみようかな?」


丸めて、捻って、踏んで…

広げてみると不思議な形が出現しました。

土台となるマーメイド紙にホッチキスで

数カ所とめてみると、山の様になりました。

想い想いに、お気に入りの色で塗っていきます。

霧吹きで絵の具をにじませてみました。

紙の上で水と絵の具が泳いでがっちゃんこ!


「いい感じ!」

「いい感じだね!」

その後も霧吹きミストが心地よくて、

天高く沢山吹きつけてくれたA君でした。

ここで少し休憩をはさむことにしました。


「先生、色画用紙使ってもいい?

 紙飛行機作りたい!」


「いいよ。どこまでとぶかな?

 スローモーション動画で撮影だ!」

たっぷりと遊んだ後、先程の画用紙を観察しに戻ってきてくれました。

A君がアトリエの隅に置かれたスプレー缶に気づきました。


「先生これ…」

「使ってみたい?お外いこうか!」


次は活動の場所を外に変えてみました。

温かな部屋から一歩外に出ると、夕方の冷たい風が肌に当たり、A君の大きな瞳がいっそう大きく開きました。


「これ、大好き!やったことあるもん!

 先生の服にもかける!」


「わぁ!助けてぇ!あっ、先生のジーンズが可愛くなった!」


いたずら心は距離が縮まった証です。

部屋に戻り、再び作品を観察しました。

何とも幻想的な色合いのユニークな紙のオブジェができました。

「人、置いてみちゃう?」

「わぁ!なんだこれ〜!」


タッパに入った大量のミニチュア人形に大興奮のAくんは紙のオブジェにホットボンドで人形を接着しながら、ストーリーを構築していきました。


「この人形、先生のおでこにつけていい?」

「それはダメだなぁ。」

「えいっ!」

「あ痛たたたぁ!」

「ごめんなさぁい。」


接触も心の距離が縮まった証です。

遊びながら、ホットボンドでひたすら人を埋めていくA君でした。

「これは氷山やねん。みんな怪我してるねん。

ほら、見て!この人埋まっちゃた!この人は血が出てるねん!」


「雪崩れが起きたのか。みんな死んじゃったのかな。この人たちは埋まった人を助けてあげてるみたいだね。」


「この人はまだ生きてる!大丈夫やねん。

それで、雪に埋まった人を助けてあげてる。

ほら、見て!」


「助けてあげてるんだ。がんばって!」


「ほら!先生みて!この人、雪に埋まってるけど

透けてみえてる!」


「あ、それ見て思い出した。先生はアイスマンの話を聞いたことがある。5500年前だったかな。氷の中に落ちちゃった人が居てね。」


「生きてたの?」


「生きてなかったけど、そのまんま、

お洋服も身体も残っていたんだって。」


「すごい!」


「すごく壮大なストーリーになってきたねぇ!」

A君の紡ぎ出す言葉。

〝遊び〟を通して得る〝気づき〟。

一つひとつの行為の連続の中で生まれた

A君の世界を、大切に大切に温めていきたい。

そう心から感じることのできた日でした。


  happiness kids art plus 講師 米光智恵


●アトリエ詳細 

Atelier happiness bird KOBE


https://g.co/kgs/3CxhjH


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