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マンガ描きの軌跡⑦それもまた人間生活

2022年末のあなたへ、日記兼ブログ的な備忘録兼お手紙48通目。

今年一年noteを書く目的は、
1.あっという間に過ぎる時間の中で何か目に見える形を残したい
ということと、
2.ここ数年マンガを描いてて得た私なりの知見、気づきを書き残しておく

この二つがある。

すでに数回に分けて、長年私が苦手としていた「仕事」を題材にしたマンガの克服について書いてきた。
今回はその最終回というか、まとめというか、つまるところこういうことだね、という、そんな話。

この回に至るまでの①〜⑥も、よろしければ読んでみてもらえると嬉しい。

できない!に挑戦する中で得た気づき

描けない、できないと思っていた仕事マンガに挑戦する中で気づいたことをまとめるとこうなる。

1.「できない!」という自分の無意識のブレーキを「多分、できるかも」へシフトチェンジ。
2.知らない分野や事柄は調べて知識を補足
3.いろんな人のマンガを読んでお手本に
4.自分が解像度高く描写できる事柄を織り交ぜる

1~3はマンガ描きの軌跡の既出の回で詳しく書いているのでよかったら読んでみてください。

今回は4.について私の思ったことを書いていこうと思う。

村人1が勇者のリアルを描けるか

私の世界は、ほぼ毎日自宅でこなす家事諸用と車でほぼ30分圏内のご近所エリアで完結する。RPGゲームの世界で言えば、村から一歩も出ない村人1だ。

村人1の私から見た会社勤めの人と言えば、しかるべき装備で村を出て会社までたどりつき、バトルをこなして宿屋へ帰宅。ときには仕事の付き合いで城外へ出たり、経験値集めにダンジョンへ。
勇者。まさに勇者である。

異世界か!?っていうくらい、仕事する人の世界を私はイメージできていなかった。

今考えてみると、「仕事する人」と「自分が暮らしている世界」とをまったく隔絶したものとしてとらえていた。

仕事と生活はリンクする

会社員でない私が「仕事する人」をテーマのマンガをどうにかして描いてやりたい。どうするか。

「仕事してる人感」を出すために、制服やオフィスにありそうな小物、ビジネスシーンで使われる用語を散りばめることで、「会社っぽい感」「職場っぽい感」を出せるということは前回の記事で書いた。

これで「仕事風景」はいくらか描けるとしても風景は風景。
物語を動かすにはやはり人間が必要だ。
問題はそこで働く「人」をどう描くか。である。
村人1の私が、勇者の仕事ぶりを描こうというのだ。
こん棒でモンスターを倒すことすらできない私が、である。
やはり無理ゲーでは?
と投げ出しそうになるが、ここでくじけても仕方ない。

「できない」「私には無理」とあきらめてられるほど私は若くない。
自分でも、あきらめることにはもうほとほと飽きたのだ。

勇者だってバトルから離れれば。仕事を終えて実家や宿屋に戻れば。
私と同じ人間のはずで、そこには「家庭の生活」というのがあるはずだ。

食事を作り、掃除や洗濯をして、家族とすごしたり…。

それは、私がいつもしていることである。それならば描けるのでは?

ということは…。
仕事風景の中に、私が日常で出会う出来事を織り交ぜれば、人が動き、物語が動き出すのでは…?

会社員が仕事上のどんなことで一喜一憂したり奮闘努力するかはいまいち分からない。
だが、お客さんの喜ぶ顔に癒される店員さんはいるだろうし、子どもが熱出して焦る場面は子育て会社員なら出くわすだろう。
その場面にどのように至り、どういう結末につながるか。
そういうことを描けばいいのでは?

解像度の高さがリアルに近づく

なぜ長い間、私には仕事マンガは描けない!と敬遠していたのか。
今考えると、それは私にとって経験値が少なすぎたために仕事に対しての解像度が低かったからだと思う。

普段家事をしない人が思いつく家事項目が掃除洗濯炊事だとしたら、じっさいに家事を担っている人が挙げる家事項目は、掃除なら道具の準備からほうきではわく、掃除機、床ワイパーをかける、雑巾でふいて終われば道具片付けまで…と実に詳細な作業手順が並べられる。仕事もそうだ。

私が「仕事」といって思いつく描写が、出勤、デスクに着席、パソコン操作の三項目だとしたら、じっさいに仕事してる人はその三項目の間にさらに詳細で解像度の高い「仕事」にまつわる項目を挙げるだろう。

この「解像度の高さ」がリアリティであり、物語を作る時の自信につながるのではないかと思う。

軌跡の完結~それもまた人間生活~


「仕事してるっぽい」風景の中に、自分が「解像度高く描ける」出来事を織り交ぜる。

そうすることで、今の私にも描ける仕事マンガがある。
けしてすごく上手いとか、めちゃ面白いものが作れるとかではないけど。
とにかく仕事マンガという形にして作ることができる。

他人にとっては些細なことだろう。でも私にとってはZEROから1を生み出したくらい大きな自信になった。

そうして拙いながら仕事「っぽい」マンガを描いてる中で、ありがたいことにコメントもいただけた。その方が私の苦手意識に対してくださったアドバイス、「仕事!と身構えず人間のやることの一つとして考えて」が実に的確でなるほど!と感動した。
そのコメントをいただけたマンガがこちら↓

仕事と家庭生活は隔絶したものではない。ふたつを切り離して考える必要はなくて、地続きでつながっている。
仕事もまた人間生活の一部なのだ。

きっとまた今度、「仕事マンガ描かない?」って話が来たらその時は「苦手だから。できない。無理。」としり込みせず、軽いフットワークで飛び込みたい。
上手にできるかは別として。

複数回にわたって続けてきた、自分の苦手分野に挑戦した話もこれで最後。
長々した話におつきあいありがとうございました。

今年のnoteも残りあと2回。
最後まで完走できるといいな。
ではまた次回。
読んでくれてありがとう。

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