衣装のはなし


初日があけました。つらつらと サマスト語り第二弾。

今回のお芝居、衣装さんも兼任させていただいております。


スタイリング案を考えはじめたとき、まずは役のイメージ+本人が良く見える色を意識しました。

やはり和服の方が多いのですが、その中でも「顔映りの良い」着物を選ぶことを大切にしようと。


パーソナルカラー診断などが流行る昨今。私もそういったものを気にはするのですが、不思議と洋服と和服では似合う色が違うことがあります。
洋服じゃ絶対に組み合わせない色同士も、着物であるとしっくりきたりする。

単純に同じ形状の布をそれぞれ形の違う肉体に巻きつけるわけですから、背が高い人は大きな柄が映えるし、小さい方では上手く柄が出ないこと、すらっと大人っぽい雰囲気の人にピンク色を着せるとちぐはぐで、小柄で幼い雰囲気の方なら可愛らしさを強調する材料になったり、そういった効果が反映されやすいのも和服の特徴だと思います。

そんな感覚を下地にスタイリングさせていただきました。


和服において"色"というのは、それ自体が"役"を表すアイコンになったりします。
簡単なものだと 赤い=若さ、などでしょうか。逆に渋い色はそれに見合った年齢の風格を出す色として使われることもあります。


帯の結び方でその役がどんな設定であるのかを示すことや、足袋の色や襦袢の色でその人の身分がわかったりも。
和服のお芝居というものは、そういった細かな決まり事が集まって成り立っているような気がします。そこが抑えられていると安心できるし、逆に無視されていると違和感が出るような…。


ただ、個人的にはそれを抑えた上で崩していくのも大事な試みだと思っています。


サマストに関しては時代劇ではなく擬古典 ですから、古典要素を踏襲しつつ、どれだけ斬新で面白さを出すことができるかも大事な要素ということで、演出家さまご指導のもと取り組みました。


ただ和服を着た人間を並べるだけでは物足りなくなるほど、リアルで現代的な感覚満載の脚本です。和に混じる洋、のバランスにもこだわりがあり、それを思案するのは大変ですがとても面白い試みでした。


また、これはいいと思っても他の役との兼ね合いをみてガラリと変えることもありました。よく同じ場面に出るもの同士色味や柄がかぶることはないか、リアルではあるが舞台上では地味すぎ、暗すぎやしないか、照明に当たった時はどうか…など、舞台に於いての衣装の見え方は自分の想像通りにいかないことも多々あり、大変良い経験をさせていただいたなあとしみじみ。


あちこちから衣装を探し、たりないものは作成し、座組の方の知恵を借り困ったことを助けていただいたりと、不安もたくさんあったのですが、感動したのは劇場入りの後、場当たりが始まった時です。


舞台美術の中で浮かび上がる役者さん達の姿がとても凛々しく、美しかった。

自分の中で何となく定めていたそれぞれのイメージカラーを、照明さんがパッと正にその色で照らしてくださった時、自分の妄想に留まっていたものが具現化し、認めていただいたような嬉しさがありました。

それぞれ役割ごとに持っている知識や技術が総動員されて仕上がる舞台に、役者として、また衣装として、このように関わらせていただけたことを大変光栄に思います。


少々マニアックな話や利己的な感想でいっぱいになってしまいましたが、実物如何はぜひ劇場にて!ご確認くださいませ。

あやめファンの方はお着物の好きな方も多くいらっしゃるそうで、中々緊張はしますけれど、そこは「2020年の江戸」の流行、ということで。大目に見ていただけましたら。


それでは二日目、行って参ります!


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