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許せない友だちのこと。


中学から高校まで
仲良しの友だちがいた。

家も近く、部活も同じで
お互いに親友!とまではいかないけど
まあ仲は良く、2人でも遊ぶ間柄だった。

中学生のとき、手汗がすごいという理由で
彼女は部活内で避けられた。
私はその空気に従うでも争うでもなく
部活ではその状況に無視をし
2人でいるときはなにも気にせず
相変わらず遊んでいた。
ある意味、周りのいじめのようなものを
気にしていなかったし
逆にそれでいいと思っていた。

成人式の日だった。
家が近かった私たちは
一緒に行くことになった。

会場で行われる式典は
店員オーバーで入れなかったため
会場の外で久しぶりの友だちを写真を撮ったりして過ごした。

式典が終わり、会場からぞろぞろと人が出てきた
ご飯でも食べに行こうかと思っていた矢先
彼女は高校の同じクラスの友だちに
合流したいと言い出した

別によかった。でもわたしは
その彼女と2人で来ていたから
急に1人にされてもどうしたらいいかわからず

ただ寂しそうなところを
見せたくはなかった。

全然いいよ、と言って
彼女と別れた。

家に帰ると母が
「せっかく着付けしたのに、もう帰ってきたの?」
と言った。

悪気ない一言だったけどわたしは
たまらなく恥ずかしく
寂しくて惨めで
ひとりで泣いた。

10年近くが経ったいま
わたしはそんなささいなことを
まだ許せないでいる。

それ以来2人で遊んでいない。

お花屋さんで働く彼女
独立してアクセサリーを売る彼女

知っていたけど、連絡もしなかった。

30手前になった今でも
そんな小さなことがまだ
許せないなんて心が小さいだろうか。

あの頃はまだ若かった、なんて
言えるほどまだ大人にはなりきれていなくて
傷ついた小さなプライドは
まだ健在。

どのぐらい経ったら
許せるようになるだろうか。
もしかしたら彼女も、
「あのとき守ってくれなかったわたし」に
今もまだ傷ついているだろうか。


ここに書きとめることでこの想いの
お葬式に、なればと思った。

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