読書感想文の書き方

私は読書感想文を書くことが結構好きでした。本を読む、文章を書く、どちらも好きなのでお得(?)だと思っていました。

でも大半の人はきっと嫌いだったと思います。なんでかな〜って考えていたら、こんな意見を目にしました。

「読書感想文の書き方は誰も教えてくれない」

たしかに教わったことないですね。もしかしたら小学校低学年とかの頃に教わったのかもしれませんが、そんなの覚えてないですよね。

なので、自分流の書き方をお披露目したいと思います。って言うと偉そうですが、せっかくなら楽しく本を読んで楽しく文章を書きませんか?という"こちら側"への勧誘です。

まず、読書感想文の目的を考えると、「読書してほしい」ということと「書く能力を養ってほしい」ということだと思います。文科省的には。なのでここでは特に「書く能力」を重視してみます。


●本を読む

読まないと始まりません。読みましょう。難しい本じゃなくていいです。というか難しい本を読んで感想を考えるのってめちゃくちゃ難しいので、変に気取る必要はありません。

戦争や環境問題の本は読む気になれないというなら、冒険小説でも推理小説でも何でもいいと思います。

でもシリーズもの(ラノベとか)はたぶん難しいです。一冊で完結してるものが書きやすいです。

●感想をまとめる

本を読んで、何の感想もないということはないと思います。

「面白かった」「楽しかった」「感動した」あるいは「つまらなかった」でもいいんです。何かしらの感情があると思います。いっそ「よくわからなかった」でもいいです。

でも、感想って一つだけじゃないですよね。

「最初はハラハラドキドキした。でも最後にはスカッとした。読んでみて楽しかった。」

「最初は何言ってるかよくわからなかった。でも途中から身近なことに当てはめて考えてみたら納得した。読んでみて物事の見方が変わった。」

「最初は今まで考えたこともなかった問題を知っていろいろと考えた。でも途中から何が言いたいのかわからなくなった。読んでみて退屈だった。」

こんな感じで、「前半」「後半」「全体」の感想を並べれば、読書感想文は概ね完成です。あとは膨らませるだけ。

●分析する

……というと難しいですが、つまり「なんでそんな感想になったのか」を考えればいいだけです。これは「前半」「後半」それぞれについて考えます。

「(前半)主人公の作戦がライバルに見抜かれて通用しなかったからハラハラドキドキした。(後半)でも仲間の力を信じて、ライバルの裏をかいて勝ったからスカッとした」

「(前半)難しい言葉が並んでいてよくわからなかった。(後半)でも具体的に身近なことに当てはめたら確かにその通りだと思って納得した」

「(前半)そんな問題が起こっていたなんて知らなかったけど知識が広がっていろいろと考えた。(後半)考えてもわからないし、本の中にも答えはなかった。結局筆者が何を言いたくてこの本を書いたのかわからなかった」

そして、そう感じたシーンを抜き出します。引用でもいいし自分の言葉でまとめてもいいです。

ただ引用ばっかりだと文字数稼ぎに見えちゃうのでそこだけ気を付けましょう。せっかくなら読書感想文で「書く能力」を育てちゃいましょう。

「(前半)主人公が◯◯するシーンで、こういう作戦を立てた。最初の相手には通用したけれど、ライバルには通用しなかった。なぜならライバルは主人公のことをよく知っていて、どんな作戦を立てるのか読んでいたから。だから主人公はピンチになってしまった。(後半)けれど仲間を信じることで普段ならしないような新たな作戦を思いついて、実践した。その期待に仲間が応え、油断していたライバルに勝つことができた。」

「(前半)難しい専門用語が並んでいて、どういう意味なのかページを戻って何度も確認しながら読まなければならなかった。言っていることも抽象的で、筆者の主張したいことが見えてこなかった。(後半)でももしかして、これって自分の身の回りのことにも言えるんじゃないかと思った。当てはめて考えてみたらその通り、自分にも同じことが言えた。抽象的だった話を具体的な例で考えてみたらわかりやすくなった」

「(前半)世界にはそんな問題があるなんて知らなくて、何も気にせず生きてきた。けれどこの本を読んで知り、自分に何ができるのかとか、どうすれば解決するのかとか、いろいろ考えるようになった。(後半)けれど自分には何もできないし、解決策もわからない。本を読んでもどうすればいいかわからない。こんな問題がある、ということしか言っていなくて、筆者が何のためにこんなに長々と書いているのかわからなかった」

●まとめる

そして「全体」の感想について考えます。

最終的にどう思ったのか。この読書体験を通じて何を感じたのか。一番大事なシメです。

でも気負う必要はありせん。二行くらい書けば十分です。あんまりシメが長くても締まらないので、簡単にまとめちゃいましょう。

ポイントは、「前半の感想から後半の感想に変わって、どう思ったか(感想の感想)」と「この本から得た教訓」です。

教訓は特にないことも多いですが、書いておくと読書感想文がいい感じにまとまります。

「(感想の感想)最初は負けてしまうんじゃないかとハラハラドキドキしてたけど、最後には仲間との絆で勝ってスカッとできて楽しかった。(教訓)主人公が勝てたのは仲間を信じることができたから。自分も信じられる仲間を作ってどんな困難も乗り越えていきたい」

ちょっとベタだけど、フィクションの中にも現実に通ずることもある。むしろフィクションだからこそ大切なことを伝えられることもある。それを読み取れれば、いい読書体験だったということ。

「(感想の感想)最初は難しくてよくわからなかったけど、自分の体験に当てはめてみることで理解ができて物事の見方が変わった。(教訓)難しいからと思考停止するのではなく、もっと身近なことや簡単なことにたとえて考えてみれば理解できるのだとわかった」

これは本の内容ではなく、今回の読書という行為から得た教訓です。こういうのもアリ。というかたぶんこっちの方がいい。

「(感想の感想)最初は今まで知らなかった世界を知り、勉強になった。けれど読んでいるうちにどうすればいいのかわからなくなってしまった。(教訓)今の自分では解決策なんてわからない。けれど問題を知ることができた。だからこれからもこの問題について考えていき、そしていつか自分なりの答えを出せるようになりたい」

このように、「結局よくわからなかった」というのも読書によって得られたこと。ただ「わからない」で終わらせず教訓とすることもできる。


もし文字数が足りなかったら、「前半」「後半」じゃなく「序盤」「中盤」「終盤」(序破急)にわけたり、「提起」「模索(前半・後半)」「解決」(三幕構成≒起承転結)にわけたりするのも手です。

特に大抵の物語は「下げて上げる」「上げて下げて上げる」みたいな作りなので、「下がってるとこ(負けそうとか問題があるとか)」と「上がってるとこ(勝ったとか解決したとか)」ごとに書いていくと楽だと思います。

楽しい読書感想文ライフを!


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