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#2 散歩日記

8月7日。

この日付は、かつて長い休暇のうちの1日に過ぎなかった。
それが、今や良くも悪くも貴重な日曜日である。

「暦の上ではもう立秋ですが、まだまだ暑さが続いています」

そんな定型句が頭をよぎる程度には、外出の躊躇われる夏日。
数ヶ月前に体を壊してからというもの、習慣にし(ようと努め)ている散歩に出かけようと、保冷剤をタオルで首筋に巻きつけ、まだ真新しいウォーキングシューズを履き、玄関のドアを開けた。

行き先は近所の公園だが、ジリジリと音が聞こえてきそうな炎天下、足取りは決して軽くない。数分で到着すると、やはり人影は少なく、マイペースで散歩するには絶好のチャンスである。

思えば先月から復職した仕事が忙しく、この公園に来るのも久し振りだ。
前回、姪っ子と遊びに来たのが梅雨明け直後。蝉の大合唱が耳を劈くほどだった。
ところが、その声が鳴りを潜めている。はらはらと木々から落ち葉が少しずつ舞っている。風はわずかに乾いており、黄色や褐色の落葉を吹き飛ばす。

「暦の上ではもう立秋ですが」

ですが、ではないのである。
そもそも、暑さと秋の気配とは別だったのだ。

元気な子供たちの声が聞こえる。
小学生の集団が、自転車で意気揚々と集まってきた。
そろそろ退散するか。そう思いながら遠回りしていると、彼らは日陰で背中を丸め、ゲームか何かに興じ始めていた。ポケモンか何かかな。あまり詳しくもない僕はその光景を横目に、小さな季節の移ろいに浸っていた。

後記

立秋にかこつけて小さい秋を見つけて悦に入っていた、という小話でした。
何だか、歩きながら脳が活性化しちゃったんだと思います。えらく久し振りに文学的な気分になって、つらつら書いてしまいました。
日本の四季はその実、二十四節気、七十二候という風に細分化でき、それは移り変わりのプロセスを確認するためのシステムなんですよね。先人たちの繊細な感受性と知恵の偉大さに、頭が下がる思いです。
極論、「暑いか・寒いか」の二元論で動いていたような、自分の凝り固まった頭。これからそれをほぐすため、いろいろと手立てを講じていく必要があるのです。

noteフィットネスクラブがそのきっかけになっているので、ありがたいなあと思うわけです。
数値目標の週次報告と、来週の目標については今日の夜に投稿する予定です。宜しくお願いします。

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