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恋愛はスマホにガラスカバーを貼る行為に似ている

最初は、一見上手く貼れたように見える。
だが、男はたったひとつの些細な気泡を見つけてしまう。

どうしても気泡が気になって、とうとう剥がしてしまったが最後。ひたすら大量の気泡と戦う無間地獄のはじまりだ。

付属のウエットシートで埃を丁寧に取り除き、貼り直しては気泡が浮かび上がり、また剥がして念入りに拭いて貼り直す。その行為を繰り返すほどに粘着力は落ちていく。ああ、最初の頃が一番良かったのにと、後悔がこの胸を締め付ける。

男はもはや気泡をゼロにすることは叶わないと悟り、スマホのありのままの姿を受け容れることを決意する。

外野はそれを妥協と揶揄するかも知れない。しかし、これは新たなる門出であり、むしろ祝福に値することなのだ。

今夜からはどうぞよろしくね。

引退した歌手の名フレーズが頭をよぎる。こちらこそよろしく、気泡だらけのモバイル端末さん。


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