【連載小説】 ふたり。(3) - side J
前話◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
5月5日 14:11「かーおちゃーーん!」
わたしは、澤井さん、もとい、かおちゃんを呼ぶ。
かおちゃんは山道の脇にある茂みに入り、一眼レフを肩からさげて撮影に夢中になっていた。少しの間をおいて、かおちゃんが振り向き、小さく手を振る。
「おやつ食べよーーーー!」
わたしは続けざまに声を張り上げる。
「じゅんちゃん、ごめんね。いい感じの光が差してたから」
「いいのいいの、かおちゃんはシャッターチャンスを逃さない女だねえ」
「いやいや…