いずれ神に成るサナギ

※これは2021年4月、笑ゥステージを見にいった際に佐藤流司があまりにも魅力的だったので耐えきれず書き殴った叫びを、少しだけ推敲してここに置いておくことで私のひとつの意思表示とするものです。

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あらわれた瞬間に風が吹く。時が止まる。目が離せなくなる。

帽子をなおす指先。帽子を脱いだ時の髪、動くとさらさらとゆれるストレート。後ろ髪のちょっと茶色い毛先。汗に濡れたあと。きっと触ったら暑くて冷たい髪のなか。
ぽたり、と落ちる汗。生きている。白くてつるりとした手。きらきらひかる目。
帽子を脱いで髪を耳にかけてると色が白くて綺麗で。そう、あの子の頭の形が好き。顎、首のライン。

あんまりにも強いんだ。まわりの空気が強い。有無を言わせぬ強引さ、唯我独尊。わたしの大好きな強さ。

それなのにたまに弱るところは、まるで人が神に成る過程で戸惑っているよう。サナギ。神に成るサナギ。あれは神に成るサナギだ。

暴力的な強さ、可愛さ、カッコ良さ。嵐のようで。すべてをかっさらっていく、台風の目のよう。
まわりに暴風雨が吹いているのに、真ん中にいる佐藤流司だけがどこまでも冷静なんだ。そういう、人の理解を超えた強さ。人の摂理を超えた強さ。こちらを理解しない、ただそこにある強さ。
神性。魅力。吸引力、求心力。ひれ伏して崇める以外の選択肢が奪われる。

暴力、あれは魅力の暴力だ。

悪魔と神に境界線なんてないから、こちらを理解しようとするような天使じゃなくて、悪魔。あるいそう、邪神。別の宗教から見たらあれは悪魔なんだ。そういう神。
悪役が似合うんじゃない。台風だから。台風に意思はなくて、ただそこにある暴力だから。だから好きだ。めちゃくちゃに好きだ。

ただ崇めたい。ただ好きだ。ただ好きだと思っていたい。その気まぐれでただそこにある暴力に、こちらに傷をつけたとも気づいていない暴力に傷付けられていたい。だくだくと止まらぬ血を流しながら、ああ好きだと笑っていたい。

こんなに痛いのはひさしぶり。やっぱりあの子が好きだと思う。猫、あるいは獅子のような。じゃれつくつもりで殺して欲しい。そこに愛などなくていい、わたしが愛しているから。

同じ時代に生きていてよかった。生身の佐藤流司を浴びれる時代に生まれてきて良かった。
人類の歴史の中で、ここが一番幸せだ。だってあんなに魅力的な神様を見られる。すぐ近くで。落ちる汗のきらきらまでみれる距離で。

くるくるかわる表情が好きだ。賢い脳みそが好きだ。いたずらで気まぐれで掴めなくて、こちらの予想なんぞひらひらとかわす。猫のようで悪魔のようで蝶のようで。
いずれ神に成る、サナギ。
わたしの好きな人は、いずれ神に成るサナギ。

愛している。愛せて良かった。見つけられて、いや、見つけてもらって良かった。あの子の世界の、あの子の暴風雨の中にいられて良かった。生まれてきた意味がここにある。

どうか願わくば。願わくば、その暴風雨のなかでひとりのばかなおんなが死んだことなんて、気にも留めないで。そういう強さが好きだから。

好き。ただ、好きだ。好きだと思う。それだけでこんなに幸せだ。全身傷だらけで、だから嬉しい。愛している。

佐藤流司、いずれ神に成るサナギよ。
君の世界にわたしを置いてくれて、ありがとう。



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