看護師国家試験 成人看護学
成人の特徴と生活
〇成人の特徴
・成人期において基礎代謝量が最も多いのはいつか説明してください
青年期
・知能の種類、それぞれの定義と具体例、加齢による変化について説明してください
流動性知能
定義:新しいことを覚えたり、新しい問題に対処したりする能力
具体例:記銘力、想起力
変化:20歳ごろにピークを迎えた後に低下していき、60歳以降は急激に低下
結晶性知能
定義:過去の経験を発揮して物事に対処していく能力
具体例:判断力、洞察力
変化:60歳手前でピークを迎え、その後は緩やかに低下
〇ライフサイクルにおける発達と危機
・エリクソン,E.Hがライフサイクルにおいて提唱したことについて説明してください
ライフサイクルを8つの段階に分け、それぞれの段階で取り組むべき発達課題と、その際に生じる内面的な対立や葛藤を心理・社会的危機(発達危機)として示した。
発達段階 発達課題と発達危機
乳児期 基本的信頼 不信
乳児初期 自律性 恥・疑惑
乳児期 自主性 罪悪感
学童期 勤勉性 劣等感
青年期 同一性 同一性混乱
成人期 親密性 孤立
壮年期 生殖性 自己陶酔・停滞
老年期 統合性 絶望
・ハヴィガースト,R.Jがライフサイクルにおいて提唱したことについて説明してください
ライフサイクルを6つの段階に分け、それぞれの時期において乗り越えなければならない代表的な課題を発達課題として具体的に示した。発達課題は身体的・社会的・文化的成熟、個人の価値観や生活などに関係し、それぞれの発達段階で課題を達成することにより、次の発達段階へ移行する
老年期の発達課題
①肉体的な力と健康の衰退に適応すること
②引退や収入の減少に適応すること
③配偶者の死に適応すること
④自分と同じ年頃の人と明るい親密な関係を築くこと
⑤社会的・市民的義務を引き受けること
⑥肉体的な生活を満足に送ることができるように準備すること
・モラトリアム、ワーカホリック、燃え尽き症候群、空の巣症候群、アルコール依存症、青い鳥症候群について説明してください
モラトリアム
エリクソンが青人の特性を表すのに用いた言葉
大人にも子供にも属さない、大人としての責任を猶予されている状態
ワーカホリック
仕事をしないと落ち着かなくなり、休日が不安になる状態
うつ病やうつ病の前段階であることが多い
仕事中毒とも呼ばれる
燃え尽き症候群
期待した成果が得られないことで精神的に追い込まれ、疲弊してしま足り、うつ状態に陥ってしまうことをいう
バーンアウトともいわれる
うつ病や自殺企図につながることもある
医療、教育従事者に多い
空の巣症候群
中年主婦に多く、子育てが終了して子供が巣立つことで、喪失感や自分だけが取り残されたような虚無感を抱く状態
うつ状態やうつ病に至ることもある
アルコール依存症
社会的ストレスなどの環境要因や遺伝的要因に加え、多量の飲酒が主な原因となる健康問題
成人期以降に生じやすい
青い鳥症候群
あたかも幸福の青い鳥を探し求めるかのように、「ほかに自分に適した職があるに違いない」と定職につかない状態にあること
青年期の心性を表している
〇家族形態と機能
・家族内に療養中の人がいる場合、その人を支えるのに望ましい関係と、疾病を患った家族を支える資源となるフリードマンによる家族機能について説明してください
協力
情緒機能、経済的機能、ヘルスケア機能
成人における健康の保持・増進と疾病の予防
〇予防医学
・一次予防、二次予防、三次予防の概念と具体例について説明してください
一次予防
概念:健康の増進・疾病の予防
具体例:健康増進(健康教育、食生活)、特異的予防(予防接種)
二次予防
概念:早期発見・早期治療
具体例:早期発見(健康診断)、早期治療
三次予防
概念:悪化防止・社会復帰支援
具体例:機能障害防止、リハビリテーション(職場復帰後の適正配置)
・ポピュレーションアプローチとハイリスクアプローチについて説明してください
ポピュレーションアプローチ
対象を限定せず地域や職場などの集団全体に働きかけてリスクを下げるよう法
ハイリスクアプローチ
リスクの高いものに対象を絞り込んで働きかける方法
〇疾病の発生要因
・疫学の三要因について説明してください
疾病は病因、宿主要因、環境要因の3つが相互に関わって発生する
宿主要因を内因、病因と環境因子を合わせて外因として2つに分類する考え方もある
生活習慣に関連する健康問題
〇生活習慣病
・生活習慣病を列挙し、その危険因子について説明してください
Ⅱ型糖尿病:肥満
高血圧:食塩の過剰摂取
虚血性心疾患:長時間労働
慢性閉塞性肺疾患(COPD):喫煙
肺癌:喫煙
肝硬変(アルコール性):過度の飲酒
痛風:プリン体過剰摂取
骨粗鬆症:閉経、副腎皮質ステロイド
・運動の効果について説明してください
呼吸機能:最大換気量・肺活量の増加
循環機能:高血圧の改善
代謝機能:基礎代謝量の増加、肥満の予防
運動機能:骨量の増加と維持
その他:免疫力の強化
・喫煙に起因する健康障害について説明してください
虚血性心疾患、COPD、肺癌、慢性気管支炎、喉頭がん、消化性潰瘍(胃・十二指腸潰瘍)、血流障害(虚血性心疾患、脳血管疾患)
・飲酒に起因する健康障害について説明してください
虚血性心疾患、肝障害(肝硬変など)、食道がん、アルコール依存症
職業に関連する健康問題
〇じん肺と石綿(アスベスト)
・炭鉱、鉱山労働者や建材製造業に従事する者などに起こりやすい疾病について説明してください
じん肺(代表的なもの:石綿肺(アスベスト肺))
〇情報機器作業による健康問題
・長期間の連続した情報機器作業によって生じつ健康障害について説明してください
眼精疲労、視力低下、ドライアイ、頚肩腕症候群、筋骨格系への負担、いらいら、不安感、抑うつ気分
〇災害性腰痛
・平成30年(2018年)における業務上疾病で発生件数が最も多いものについて説明してください
負傷に起因する疾病
その大半は腰痛(災害性腰痛)
〇その他の業務上疾病
・振動障害による疾病について説明してください
末梢循環障害の白ろう病(レイノー現象)、末梢神経障害のしびれや疼痛、運動機能障害の変形性関節症や関節炎など
・電離放射線を扱う作業による健康障害について説明してください
発癌、造血機能障害、白内障、皮膚障害
救急救命
〇救急救命時の看護
・回復体位について説明してください
意識はないが、正常な呼吸や循環状態がみられる(意識障害がある)場合に、要救護者の安全を図るための姿勢で、急な容態の変化などが起きても大事に至らないよう配慮されている。
・臥床患者の嘔吐直後の対応について説明してください。
吐物が気管に入り誤嚥してしまわないよう、嘔吐直後は側臥位とするか、顔を横に向ける方法も有効。
〇心肺蘇生法
・医療者用BLSアルゴリズムについて説明してください
①安全の確認と感染防御、反応(意識)の確認
反応なし:大声で応援を呼ぶ、緊急通報・除細動器を依頼
②気道確保(頭部後屈顎先挙上法、下顎挙上法)後、呼吸の確認
呼吸あり:気道確保したまま応援・ALSチームを待つ
回復体位を考慮する
呼吸なし:心肺蘇生法(CPR)を開始、直ちに胸骨圧迫を開始する
固く平らなところで胸骨の下半分(胸の真ん中)に手掌の付け根を置き、患者の真上から垂直に力を加える
胸骨下端の剣状突起の圧迫は避ける
強く(約5cmで6cmを越えない)
早く(100~120回/分)
絶え間なく(中断を最小にする)
胸骨圧迫:人工呼吸=30:2
③AED(自動体外除細動器)の装着、心電図解析、評価
電気ショック必要:ショック後ただちに胸骨圧迫からCPRを再開(2分間)
電気ショック不要:ただちに胸骨圧迫からCPRを再開(2分間)
・自動体外式除細動器(AED)について説明してください
心電図を自動的に解析し、心室細動などがある患者に対して除細動を行う機器
・自動体外式除細動器(AED)の主な注意点について説明してください
衣服をはだけて胸部に直接電極パッドを貼り付ける。通常は右パッドを右前胸部、左パッドを左側胸部に装着する。
体毛が多ければ除去する。
経皮的貼付薬は除去する。
胸がぬれていたら水気を拭きとる。
植込み型除細動器(ICD)やペースメーカーを使用している場合は、機器の直上は避ける。
除細動を行う際はすべての人が患者から離れていることを確認する。
一度使用したら必ず充電する。
〇気管挿管
・気管挿管におけるトラブルとその対処法について説明してください
食道挿管、片肺挿管(カーブが緩いため右気管支に入りやすい)
挿管後のチューブの位置確認は重要
〇ショック
・ショックの概要、看護について簡単に説明してください
全身の急性循環不全
血圧低下に加え、皮膚蒼白、冷汗などがみられる場合、まずショックを疑う
脳・心臓への血流量を確保するため、仰臥位で水平位を保つようにする。
下肢を挙上して静脈血還流の増加を図ることもある。
〇循環血液量減少性ショック
・循環血液量減少性ショックの概要について説明してください
出血、体液喪失が原因で起こる循環不全
循環血液量減少に伴い、頻脈、脈拍微弱(低血圧)、頻呼吸、乏尿・無尿、冷汗(皮膚湿潤)、皮膚の蒼白
〇心原性ショック
・心原性ショックの概要について説明してください
心臓のポンプ機能不全によるショック
心拍出量が減少するため、多くの場合で代償として頻脈が生じる
〇アナフィラキシーショック
・アナフィラキシーショックの概要・症状・治療・看護について説明してください
概要
アレルゲン(特異抗原)の身体への侵入により、全身にⅠ型アレルギー症状が起こることをアナフィラキシーと呼ぶ。これによって血管透過性の亢進などが生じ、血圧低下をはじめとするショック症状が起きた病態をアナフィラキシーショックと呼ぶ。
症状
通常、原因抗原の投与・摂取後、数分~数十分以内にショックによる血管拡張と血管透過性亢進、血圧低下、頻脈、咽頭・喉頭・気道粘膜浮腫による気道閉塞、腸管浮腫による腹痛や下痢、意識障害などのさまざまな全身症状が出現する。
※ハチ刺傷は2回目の感作時にアナフィラキシーが起こるが、初めて刺された場合でもハチ毒に含まれるヒスタミンやセロトニンの作用で誘発されることがある。
治療
アドレナリン(エピネフリン)の筋肉内注射と急速輸液を行う
看護
抗菌薬や抗がん薬、造影剤などはアナフィラキシーを引き起こすことがあるため、投与後30分は初期症状(血圧低下、頻脈など)の出現に注意し、観察する
〇有毒ガス中毒
・一酸化炭素中毒について説明してください
一酸化炭素は血中のヘモグロビンに対する親和性が酸素の約250倍高いため、酸素がヘモグロビンと結合できず、末梢組織では著しい低酸素状態となる。
低酸素状態にも関わらずチアノーゼは出現せず、指尖や粘膜が鮮紅色となる。
治療として高濃度酸素の吸入、高圧酸素療法(HBO)などを行う。
〇その他の中毒
・有機溶剤中毒について説明してください
有機溶剤は脂質と親和性が高く、特に脂質の多い神経系に影響するため、頭痛、嘔吐、意識消失などの神経症状が生じる。
中毒の原因となる有機溶剤として、ベンゼン、トルエン、トリクロロエチレンなどが挙げられる。
・薬物中毒の治療方針決定に必要なことについて説明してください
内服した薬剤の摂取からの時間と種類と量を確認する
〇圧挫症候群(挫滅症候群、クラッシュ症候群)
・圧挫症候群について説明してください
長時間の圧迫による血流障害後、血流が再開した際、崩壊した筋細胞から血中にカリウムやミオグロビンが漏出し、高カリウム血症による不整脈(心室細動)や、抗ミオグロビン血症による腎障害が生じる。
〇熱傷
・熱傷の深度の分類とそれぞれの症状、治癒について説明してください
Ⅰ度:表皮
症状:発赤、熱感、軽度の腫脹と疼痛、水疱形成なし
治癒:数日間、瘢痕を残さない
浅達性Ⅱ度:真皮浅層(SDB)
症状:腫脹、強い疼痛、水疱形成、水疱底は赤色
治癒:1~2週間、ほとんど瘢痕を残さない
深達性Ⅱ度:真皮深層(DDB)
症状:知覚鈍麻、水疱形成しないこともある、水疱底は白色
治癒:3~4週間、瘢痕を残す、感染併発などでⅢ度に移行
Ⅲ度:皮下組織(DB)
症状:疼痛なし、白く乾燥・炭化、水疱形成しない
治癒:1か月以上、小さいものは瘢痕を残して治癒、それ以外は壊死組織の切除と植皮が必要
〇熱中症
・熱中症の概要、リスク、症状、治療/看護説明してください
概要:暑熱環境における身体適応の障害によって起こる状態の総称
リスク:高温、無風、高湿度でリスクが上昇する
症状:脱水により循環血漿量が減少し、排尿回数の減少(乏尿・無尿)や頻脈、低血圧などの症状が生じる
治療/看護:高体温による臓器への影響を最小限にするため、まずは身体を冷やす
皮膚に近い動脈の走行部(頸部、大腿部)に対する冷罨法
意識清明な熱中症患者にはなるべく電解質を含んだ水分を摂取させ、不十分な場合はリンゲル液などの輸液を行う
予防のため、直射日光を避け、口渇がなくてもこまめに水分や塩分を摂取することが重要
周術期の看護
〇術前患者の看護
・高齢者、嚥下障害、肝機能障害などがある患者に対する術前看護について説明してください
低栄養状態に陥りやすいため、術後の縫合不全や感染を予防するため、必要に応じて高カロリー輸液や経管栄養による栄養補給を行う
〇術中患者の看護
・深部静脈血栓症予防のための対処について説明してください
弾性ストッキング、間欠的空気圧迫装置
〇術後患者の看護
・侵襲からの生体の回復過程について説明してください
ムーア,F.Dの分類
第1相:障害期
循環血液量減少、尿量減少、異化亢進
※異化:複雑な物質を単純な物質へと分解することによりエネルギーを得る反応
第2相:転換期
利尿期(リフィリング期)
第3相:同化期、筋力回復期
創治癒
第4相:脂肪蓄積期
脂肪蓄積による体重増加、体力回復、月経・排卵の回復(女性)
・術後の鎮痛薬投与の目的について説明してください
疼痛によって呼吸が浅くなり、SpO2が低下することがあるため、効果的に鎮痛薬を処方し、疼痛による呼吸運動・排痰の抑制を防ぐ
疼痛コントロールが不十分な場合に、痛みを取り除いて早期離床を促す
・術後に早期離床を促す理由について説明してください
過度の安静は深部静脈血栓症や運動機能低下を招くため。
腸蠕動運動や肺炎などの呼吸器合併症の予防にもつながる。
・手術部位感染の危険因子について説明してください
喫煙、糖尿病、副腎皮質ステロイド、肥満、高齢、低栄養
・術後の循環血液量について説明してください
術後の出血や開腹手術に伴う不感蒸泄の増加により、循環血液量が減少傾向となる
〇ドレナージ
・術後のドレーンからの排膿の色と注意事項について説明してください
術直後~3日程度:血性、淡血性
その後徐々に薄くなり淡黄色となる
排液の停滞や逆流予防のため、排液容器は挿入部位より下に固定する
周術期にみられる病態
〇悪性高熱症
・悪性高熱症について説明してください
全身麻酔薬の使用中に発症し、急激な体温上昇や異常な高熱、頻脈、筋硬直、ミオグロビン尿などを特徴とする
慢性疾患看護
〇セルフケアの支援
・セルフケアについて説明してください
セルフケア行動の定着・継続には習慣化が重要である
医療従事者ではなく患者自身による自己評価、自己管理が大切
自己制御(セルフコントロール)と自己効力感(セルフエフィカシー)は、行動変容を実現するための重要な要因
自己管理で改善できた点を評価することで、達成感が得られ自己効力感を高めることができる
〇社会的支援の獲得
・コンプライアンスについて説明してください
医師や看護師からの指示を患者が順守するかどうか
・ピアサポートについて説明してください
同じ悩みや問題のある者同士が対等な仲間として助けある活動のこと
〇リハビリテーション
・リハビリテーションを始める際の注意事項について説明してください
まず身体機能、日常生活動作(ADL)、生活の質(QOL)などの評価を行い、患者に最も適した目標を設定する。効果の判定や機能評価は繰り返し行い、継続の判断や目標の再設定を行う。
・理学療法と作業療法について説明してください
理学療法:基本的な身体能力の回復を図るために、歩行訓練や電気刺激、マッサージなどを行う
作業療法:日常生活を行う上で必要な応用動作や巧緻運動の回復を図るために、手芸や工作、箸操作などを行う
がんと主な治療
〇がんの予防
・がんの危険因子について説明してください
喉頭がん:喫煙、飲酒
食道がん:喫煙、飲酒、肥満、熱い飲食物
胃がん:塩辛い食品、喫煙、ヘリコバクターピロリ
大腸がん:遺伝、肥満、飲酒、肉食、喫煙
肝がん:B型、C型肝炎ウイルスの持続感染、喫煙、飲酒、肥満、糖尿病
膵がん:喫煙、肥満
肺がん:喫煙、石綿(アスベスト)、大気汚染(排ガス)
乳がん:低年齢初経、高年齢初産、高年齢閉経、妊娠出産経験なし、授乳歴なし、経口避妊薬(ピル)の使用、飲酒、乳がんの家族歴
子宮頸がん:ヒトパピローマウイルス(HPV)感染、喫煙
子宮体がん:高年齢閉経、肥満
皮膚がん:紫外線、放射線曝露
白血病:遺伝子異常、放射線曝露、ヒトT細胞白血病ウイルスⅠ型(HTLV-1)感染
甲状腺がん:放射線曝露、ヨウ素欠乏
〇化学療法
・抗がん剤の主な副作用と対処法について説明してください
悪心・嘔吐
好きな時に食べられるものを食べる
治療前に投与する制吐薬の増量、他の薬剤の追加
骨髄抑制
易感染に対し、免疫細胞の刺激因子投与、手洗い・含嗽・マスク着用などの感染予防行動、体温モニタリング、個室隔離
易出血に対し、転倒予防、採血時の止血確認、排便コントロール
口内炎
歯ブラシの変更などの口腔ケア、適切な含嗽薬による消毒、疼痛緩和
・抗がん剤の血管外漏出が起こった際の症状と対処法について説明してください
発赤、腫脹、疼痛、灼熱感
組織の潰瘍や壊死を起こすことがあるため、直ちに投与を中止し、医師に連絡して炎症を抑える処置を行う
〇放射線治療
・医療で用いる放射線量の単位は何か
Gy(グレイ)
・放射線宿酔について説明してください
早ければ照射後数時間後から生じる急性期有害事象で、全身倦怠感、食欲不振、悪心・嘔吐、下痢、発熱などの症状がみられることがある。
照射部位により症状が異なり個人差もあるが、多くは開始後1時間程度で消失する。
症状に合わせて十分な水分・栄養摂取ができ、安静と睡眠を十分にとれるように援助する。
緩和ケア
〇緩和ケア総論
・緩和ケアの定義について説明してください
世界保健機関(WHO)が2002年に定義した
緩和ケアとは、声明を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して、疾患の早期より痛み、身体的問題、心理・社会的問題、スピリチュアルな問題に関してきちんとした評価を行い、それが障害とならないよう予防したり対処することで生活の質(QOL)を改善するアプローチ
・緩和ケアの要件について説明してください
WHOは9つの要点を挙げている
①痛みやそのほかの苦痛な症状を緩和する
⑦患者・家族の必要性に対してチームで対応する
様々な職種が構成員となる緩和ケアチーム、患者の主治医、病棟・外来看護師がともに話し合い、治療・ケア計画を立案する
⑧QOLの向上を心がけ、疾病経過に好ましい影響を与えることを目指す
⑨治療期間を含め早期から実践する
かつては疾患の治癒が見込めなくなった時点で患者と家族に対して行われていたが、現在では疾患を診断されたときから行われる
・トータルペインについて説明してください
緩和ケアを受ける患者は、痛みや倦怠感などの身体的苦痛とともに、精神的・社会的・スピリチュアルな苦痛や苦悩を持つ。これらの苦痛・苦悩は相互に影響しあっており、トータルペイン(全人的苦痛)と言われる。
〇がん疼痛コントロール
・疼痛コントロールに用いられる鎮痛薬について説明してください
非オピオイド鎮痛薬:非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDS)、アセトアミノフェン
オピオイド:モルヒネ、フェンタニル
鎮痛補助薬:抗うつ薬、抗けいれん薬、抗不整脈薬、副腎皮質ステロイド
・がん疼痛の分類について説明してください
侵害受容性疼痛
体性痛(骨転移に伴う骨破壊など)
内臓痛(がん浸潤による食道、大腸などの通過障害)
神経障害性疼痛(がんの神経根や神経叢といった末梢神経浸潤)
・レスキュー薬について説明してください
基本処方の鎮痛薬で持続的な疼痛がおさまっている患者に、突然一時的に出現する痛みを突出痛と言い、その軽減に使用する薬剤をレスキュー薬(臨時追加薬)という。
レスキュー薬には服用後すぐに効果が得られる速放剤を用いる。使用する薬剤の種類は原則として基本処方と同じ。
・PCAポンプについて説明してください
内服や貼付薬、座薬での対応が難しい場合に、携帯型精密輸液ポンプ(PCAポンプ)の使用を検討する。突出痛出現時に患者自身がオピオイドを静脈または皮下から追加投与することができるため、在宅での使用も可能。
・フェンタニル貼付薬について説明してください
常温で保存し、張替の際には貼付部位を毎回変える
貼付面には触れないようにする
・モルヒネの使用方法について説明してください
呼吸数を減らして酸素消費量を減少させる作用があるため、呼吸困難感の原因となる病態の改善が難しい場合の緩和治療として、疼痛がなくとも投与を検討することがある。
呼吸抑制がみられた場合には、減量もしくは中止し、必要時には酸素を投与する。
・オピオイドの副作用について説明してください
便秘が投与期間中継続して、ほぼ100%出現する
対処法:緩下剤の内服、非薬物療法(水分摂取、食事指導、温罨法、腹部マッサージ)
・神経障害性疼痛の疼痛コントロールについて説明してください
神経障害性疼痛はオピオイドが効きにくいため、副腎皮質ステロイド、抗けいれん薬、抗うつ薬、抗不整脈薬などの鎮痛補助剤の使用を検討する
終末期看護
〇終末期にある患者・家族の看護
・キュブラー・ロス,Eによる死を迎える患者の心理的プロセスについて説明してください
第1段階 否認
第2段階 怒り
第3段階 取り引き
第4段階 抑うつ
第5段階 受容
・臨死期の徴候について説明してください
循環の異常(チアノーゼ、末梢冷感、尿量減少)、呼吸の異常(下顎呼吸)、脈拍異常(不整脈)、血圧低下、意識レベルの低下
〇終末期の意思決定
・意思決定にあたり、もっとも重視するものはなにか説明してください
患者本人の意思
・アドバンス・ケア・プランニング、アドバンス・ディレクティブ、リビングウィルについて説明してください
アドバンス・ケア・プランニング(ACP)
患者・家族の価値観や目標を近いし、今後の人生計画も含んだ治療・ケアに関する話し合いのプロセス
アドバンス・ディレクティブ(事前指示)
自らが判断能力を失った時にどんな治療を選択するか、事前に自分の意向を口頭か書面で示しておくもの
リビングウィル
疾病の終末期に自分の意思を表明できない事態となった場合に備えて、患者自身の希望(延命処置の希望または拒否、苦痛を緩和する治療の希望、植物状態となった際の延命維持装置の継続または中止)を事前に指示しておく書類のこと
〇患者・家族の悲嘆の看護
・悲嘆、予備悲嘆、グリーフワーク、グリーフケアについて説明してください
悲嘆
喪失に直面した時に生じる複雑な身体的・行動的・心理的反応であり、人間の正常な反応
予備悲嘆
将来訪れると思われる喪失を前もって嘆き悲しむこと
グリーフワーク(悲嘆の作業)
十分に嘆き悲しむことを通じて通じて、愛する対象を失った衝撃に耐え、事実を受け入れるために情動に秩序を取り戻し、現実に対する適応力を回復しようとする反応
グリーフケア(悲嘆の援助)
感情の表出を促し、グリーフワークが進むよう援助すること
〇臨終のケアと死後のケア
・臨終のケアについて説明してください
家族や親しい人が患者との別れの時間を過ごせるよう環境を整える
・死後のケアについて説明してください
家族の様子を確認しながら死後の処置について説明し、着替えや死けしょうを一緒に行うかどうか家族の意向を確認する
死後の処置は医師による死亡確認の後、死後硬直が始まる死亡後2時間以内に行う
一般的に普段の生活習慣とは逆に整えるが、家族や生前の本人の希望に沿うようにする
口腔内清拭やブラッシングを行い、口腔内の吸引を行って、義歯がある場合は装着する
体腔に綿を詰めるばあいは、脱脂綿を詰めてから青梅綿を詰める
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