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看護師国家試験 小児看護学

小児の成長・発達

〇成長・発達の原則

・小児の成長・発達の原則について説明してください
運動機能の発達は、環境よりも遺伝の影響を受ける
基本的な方向は、頭→脚方向と中心→末梢方向
粗大運動(全身を使った動き)→微細運動(身体の一部を使った動き)
探索反射やモロー反射などの原始反射は、出生時に認められる

・臨界期、キャッチアップ現象について説明してください
臨界期:成長・発達過程で、諸機能を獲得するにあたり、決定的に重要な時期
    それぞれの機能によって臨界期の時期は異なる
    臨界期に成長・発達が妨げられた場合、回復不可能な機能障害が起こることがある
キャッチアップ現象:臨界期以外の時期に何らかの疾患や栄養障害があっても、その状況が改善されることによって身長や体重増加が加速し、正常な発育に追いつく現象

小児の形態的特徴と成長

〇形態的特徴と成長

・平均の身体発育の経過(身長・体重)について説明してください
身長は、出生時は50cm、1歳で1.5倍(75cm)、4歳で2倍、12歳で3倍
体重は、出生時は3000g、3~4カ月で2倍(6000g)、1歳で3倍(9000g)、2歳半で4倍、4歳で5倍

〇第二次性徴

・第二次性徴におけるホルモンの分泌について説明してください
視床下部から分泌された性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)は下垂体前葉を刺激し、ゴナドトロピン(卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH))を分泌させ、これらによってアンドロゲン、エストロゲン、プロゲステロンが放出される

・第二次性徴出現の順序について説明してください
女児の方が男児より早く第二次性徴を迎える
女児は8~9歳からエストロゲンの分泌が始まり、第二次性徴は8~10歳ごろより現れ始め、乳房・乳頭発育→陰毛→腋毛→初経の順で進む
身長増加のピークは10~12歳ごろで、その後に乳房の発育が終わる(12~18歳ごろ)
初経は10~13歳で発来する
男子の第二次性徴は10歳ごろより現れ始め、精巣(睾丸)腫大→陰茎発育→陰毛→腋耗の順で進む
身長増加のピークは12~13歳ごろで、その前に清掃の発育が始まる(10~11歳ごろ)
精通は13歳ごろにみられるようになる

小児の機能的特徴と発達


〇循環器系の発達


・小児の心拍数の基準値について説明してください
新生児期(120-160)、乳児期(100-120)、幼児期(90-110)、学童期(80-100)(回/分)

〇泌尿器系の発達

・夜尿は何歳まで問題ないと言われているか説明してください
3~4歳ごろを過ぎると、夜間にバソプレシン(抗利尿ホルモン(AVP))が多量に分泌され、ある程度夜間の尿量を調節できるようになるが、発達途中であるため、5~6歳までの夜尿は通常問題ない

・新生児から成人にかけての体内総水分量について説明してください
新生児期(80)、乳児期(70)、1歳~成人(60)

・新生児から成人にかけての必要水分量について説明してください
新生児期(80~100)、乳児期(120~150)、幼児期(80~100)、学童期(60~80)、青年期~成人(40~50)

〇免疫系の発達

・出生後の免疫グロブリンの変化について説明してください
出生時は胎盤を通過した母体由来のIgGが高値であるが、徐々に消耗し、生後3~6カ月ごろにかけて減少・消失する。そのため、そのうえ他の免疫グロブリンの自己産生能もまだ十分ではないため、免疫グロブリンは生後3か月ごろが最も低値になる


・母乳に含まれる免疫グロブリンはなにか
特に初乳にIgAが多く含まれ、乳児に受動免疫を与える

〇呼吸器系の発達

・小児の呼吸法について説明してください
新生児~乳児の呼吸は、横隔膜に依存する腹式呼吸であり、2歳~幼児期後期の呼吸は、胸郭と呼吸筋の発達にともない、胸部と腹部を同時に使う胸腹式呼吸となる。学童期以降になると、成人と同じ胸式呼吸となる。

〇脳・神経系の発達


・小児の脳重量について説明してください
3歳で新生児の3倍、5歳では成人の90%にまで発達する

〇睡眠の発達


・小児の睡眠の特徴について説明してください
新生児の睡眠は、昼夜の区別なく睡眠と覚醒を繰り返す多相性睡眠である
1~2歳ごろは1日1~2階の睡眠をとるが、4~5歳ごろには昼寝を必要としなくなり、成人と同様の睡眠パターンとなる
新生児の全睡眠におけるレム睡眠の割合は約50%、乳児が約40%、幼児が約20~25%と、徐々に減少する


小児の発達過程


〇運動・言語・心理社会的発達成長・発達の原則

・小児の発達に関して、以下の単語について説明してください
①分離不安 ②探索行動 ③アタッチメント ④第一次反抗期 ⑤ギャングエイジ
⑥自我同一性の確立 ⑦心理的離乳

①幼児期。母親と引き離されることによって乳児期に生じる不安のことで、母親が離れると不安になって泣く、探し求めるなどの行動がみられる
②新奇なものに対し近づき触れて知ろうとする行動。乳児期にアタッチメントが形成されているときは、そこを安全基地として探索行動が促進される
③特定の人との情緒的な結びつきのことを指す。ボウルビィ.Jは母親から注がれた愛情が、後の小児の人格形成に大きく影響するとしたアタッチメント理論を提唱した
④2~4歳。社会性の発達がみられる幼児期前期の特徴
⑤学童中期~後期(9~12,3歳)にかけて、遊びを中心にして集団をつくる時期のこと
⑥青年期の発達課題
⑦思春期に親への依存関係から抜け出し、心理的に自立しようとすることをいう
 一方で、これまで通り親への依存心や甘えを持つというアンビバレント(両価的)な感情を持つ
 この結果、思春期には社会的な孤独を感じやすくなり、同年輩の友人との親密な関係をより求めるようになる

・ブリッジェス.K.M.Bによる情緒の分化図について説明してください
新生児期には漠然とした興奮があり、3か月ごろに快不快が興奮から分化、6か月でなじみのある人と見知らぬ人との区別がつくようになり、恐れが現れることで、人見知りや分離不安、後追いが生じ、5歳ごろまでに情緒の基礎がほぼ完成する

・ピアジェの認知発達理論について説明してください
感覚運動期(0~2歳)、前操作期(2~7歳)、具体的操作期(7~11歳)、形式的操作期(12歳以降)

・小児の発達についていつごろにみられるかそれぞれ答えてください
寝返りができる           :5~6カ月
お座りができる           :6~8カ月
首の座り(定頸)          :3~4カ月
追視                :3~4カ月
つかまり立ち            :8~10カ月
喃語を発声する           :2~3カ月
音をまねる             :9か月ごろ
2語文を話す            :2~2歳半
接続詞を使う            :3歳
助詞を使う             :2歳半~4歳
積み木を持ちかえる         :9か月
喃語様のおしゃべりをする      :6か月~11カ月
自分で食べ物を口に持っていく    :4カ月~9カ月
ものを握るようになる        :6か月
歩けるようになる          :1歳
スキップができるようになる     :5歳
両親の名前が言えるようになる    :4歳以降
長い短いが比較できる        :3歳
うがいができる           :3歳~4歳
くつを一人ではける         :2歳半ごろ
コップを使った飲水         :1歳半ごろ
手を自分で洗うことができる     :2~2歳半ごろ

・心身の発達からみた遊びについて説明してください
感覚運動遊び:なめたり、触ったり、見たり、聞いたりする感覚機能を働かせる遊びと、身体を使った運動自体を楽しむ遊び
1か月前後から1歳半ごろの乳幼児に見られる(6か月~1歳半がピーク)
運動遊び:手足や身体の運動が楽しみをもたらす遊び
乳児期から学童期にみられる(幼児期に非常に多い)
受容遊び:絵本やテレビを見たり、物語を聞いたりと受け身になる遊び
1~2歳から
構成遊び:一定の想像力をもとに、何らかの構造を作り上げていこうとする遊びで、積み木を重ねるなどから始まる
2歳~学童期ごろにみられる
象徴遊び(模倣遊び):ごっこ遊びが代表的。「つもり、見たて遊び」ともいわれる。
2~5歳ごろにみられる(3~4歳がピーク)

・社会関係からみた遊びについて説明してください
ひとり遊び:周囲と関係なくひとりで遊び、他児がいても無関心である
3か月すぎから2~3歳の子どもに多い
傍観遊び:他児の遊びに関心をもち始め、じっと見ていたり、時に言葉をかけたりするが、遊びには積極的には加わらない
2~3歳の子どもに多い
平行遊び:他児の遊びを見ていて自然に引き込まれ、自分もそれをやり始める。同じ場所で同じことをしているが、一緒に遊んではいない。お互いに関係なく遊び、独り言が目立つ
2~3歳の子どもに多い
連合遊び:他児と一緒に同じように遊んでいるが、役割分担がはっきりしていない遊び方である
幼児期後期に多い
協同遊び:ルールや役割を決め、共通の目的をもって遊ぶ
幼児期後期に多い

小児の成長・発達の評価

〇成長・発達の評価

・パーセンタイル値について説明してください
計測値を小さいものから大きいものへと順番に並べ、全体を100として何番目であるかを表したもの。10パーセンタイルから90パーセンタイルまでは正常範囲とされている。

・身体発育評価の方法を3つ挙げ、それぞれの計算式と標準値について説明してください
カウプ指数(乳幼児期)
計算式 体重(g)/身長(cm)2×10
標準値 15~18
ローレル指数(学童期~)
計算式 体重(g)/身長(cm)3×104
標準値 110~160
肥満度(%)
実際の体重(kg)―標準体重(kg)/標準体重(kg)×100
肥満判定:幼児期15%以上 学童期20%以上

〇発達検査法/知育検査法


・改訂式日本版デンバー式発達スクリーニング検査(JDDST-R)について説明してください
6歳児までを対象とした検査で、「個人—社会」、「微細運動—適応」、「言語」、「粗大運動」の項目があり、各検査項目について90%達成月(同年齢の小児の90%が達成可能)を示している。

・大島分類について説明してください
傷害のレベルを運動機能と知能指数(IQ)で分類するもので、重症心身障害児(者)の判定に用いられる。IQが35以下、かつ寝たきりか座位までが可能なものを、重症心身障害児(者)という。

小児の栄養

〇小児の栄養総論

・幼児期の基礎代謝、乳児の推定エネルギー必要量、「日本人の食事摂取基準(2020年版)」で、1歳以上のエネルギー比率の目標値について説明してください。
幼児期の基礎代謝:50~60kcal/kg/日
乳児の推定エネルギー必要量:500~700(kcal/日)
1歳以上のエネルギー比率の目標量:炭水化物が50~65%、蛋白質が13~20%、脂質が20~30%

〇離乳


・標準的な離乳の開始時期の目安について説明してください
生後5~6カ月(体重約7kg)ごろ、哺乳反射が消失または減弱し、スプーンを口に入れても舌で押し出さなくなること。首がすわり、支えると座れるようになることを開始の目安とする。通常生後12~15カ月ごろまで、遅くとも18か月ごろまでには完了する。

・哺乳反射について説明してください
哺乳反射とは、固形物が口の中に入ったときに舌で押し出そうとする原始反射。哺乳反射は生後4~5カ月で弱まってくるとされているため、離乳食用のスプーンを赤ちゃんの口に入れてみて、哺乳反射がみられる場合、離乳食はまだ早いと判断される。

・一般育児用ミルクとフォローアップミルクについて説明してください
一般育児用ミルクは、母乳に代わる完全栄養食品。フォローアップミルクは、離乳食で栄養を摂っていることを前提に、離乳食で不足する栄養を補うために用いられる。

・離乳食の進め方について、調理形態について説明してください
5~6カ月ごろ:滑らかにすりつぶしたドロドロしたおかずのような状態
7~8カ月ごろ:舌でつぶせる硬さ
9~11カ月ごろ:歯ぐきでつぶせる硬さ
12~18カ月ごろ:歯ぐきでかめる硬さ

〇小児の肥満


・肥満傾向児の定義、特徴について説明してください
肥満傾向児は肥満度20%以上の児童
低学年よりは高学年に多く、女子より男子に多い
小児期(特に学童期以降)の肥満は成人期の肥満に移行しやすい

小児看護


〇発達段階に応じた看護


・発達段階に応じた看護について注意すべき点について3つ説明してください
①幼児期には、疾患について言葉ですべてを理解することは難しい。疾患のために食事や運動が制限されていることなどを、自分の行為に対する罰や、自分が嫌われているからだと思い込むことも多い。
②看護師は疾患をもった小児の気持ちに寄り添うとともに、疾患に関する理解の程度をアセスメントしたうえで、発達段階に応じて疾患を理解できるように援助する。
③小児が発達段階に合わせたセルフケアを獲得できるよう支援していく。

〇疾患・障害がある小児の家族への看護


・疾患・障害がある小児の家族への看護について注意すべき点について3つ説明してください
①親は、子供の疾患・障害について自責の念を抱くことがある。また、きょうだいは、親の注目が同胞に集中することで寂しさを感じたり、退行を示したりすることがある。そのため、家族の心理的援助を行うことも重要である。
※退行:わざと幼稚に振る舞い、周囲の注意を引こうとすること。防衛機制のひとつ。
②家族の情緒的反応を理解し、反応の段階に応じた援助を行う。家族が感情を表出できる環境をつくり、小児の疾患・障害を受け止め、治療・育児に参加できるよう支援する。
③治療のために支援を行う家族の努力や苦労、不安や悩みなどに理解を示し、家族の心身の負担を軽減できるような援助をする。

・レスパイトケアについて説明してください
在宅医療の拡大と充実により、在宅での乳幼児・障害児の養育・療養件数が増加していることを背景に、保護者の負担軽減を目的に、施設のショートステイや病院の短期入院で、一時的にケアを代替すること。

小児看護の基礎技術


〇小児のバイタルサイン測定


・小児のバイタルサイン測定の注意点について3つ説明してください
①体動後、啼泣後、授乳後や沐浴後などの測定値は正確ではないため、安静時及び睡眠時に測定する
②体動や啼泣によって正確な測定値が得られなくなるため、小児の身体に触れない呼吸の測定から開始し、次いで脈拍、体温、血圧の順に測定するのが基本。ただし、小児が興味や不安を抱くものに配慮して、測定する順番を変えてもよい。
③脈拍測定の際は、聴診器が接触した際の冷感による心拍数の変動に気を付ける。

〇小児への与薬


・小児への与薬の注意点について4つ説明してください
①輸液の際、激しい体動などにより点滴漏れを起こすことがあるため、刺入部、滴下の状態を観察し、可能な限り投与経路は内服とする。
②乳児に水薬を与薬する際には哺乳瓶の乳首に入れて吸啜させるとよい。また、粉薬を予約する際には、少量の水または白湯に溶かして与える。
③はちみつにはボツリヌス菌が含まれており、腸内環境が整っていない1歳未満の乳児にははちみつを与えると乳児ボツリヌス症を発生する危険性が高いため、散剤をはちみつに混ぜて与えてはいけない。
④小児の場合、薬の管理は主に保護者が行うため、保護者に対して十分な指導を行い服薬アドヒアランス(主体的な服薬行動)を高めることが特に重要である。

〇小児の検体採取


・尿意を伝えられない乳幼児の採尿はどのように行うか説明してください。
採尿バックを用いる。
男児の尿を採取する際は、陰茎をバッグ内に入れ、陰茎の根元にバックのシール部分を貼付する。新生児・乳児では陰嚢もバッグ内に入れる。女児では会陰部の皮膚を伸展させて貼付する。

〇小児の救命処置


・乳児、小児、成人の心肺蘇生法(CPR)の違いについて説明してください。
脈拍を触知する場所は、乳児:上腕動脈、小児:総頸動脈、大腿動脈、成人:総頚動脈
胸骨圧迫方法は、部位は共通して胸骨中央下部で、乳児:2本指圧迫法もしくは胸郭包み込み両拇指圧迫法、小児:両手または片手、成人:両手(手を重ねて肘を進展させて体重をかけて直下に押す)
圧迫する深さは、乳児と小児は胸の厚みの約1/3、成人は約5cm
胸骨圧迫:人工呼吸は、共通して30:2だが、乳児と小児は救助者が2人の場合15:2
圧迫する速さは共通して100~120回/分

入院中の小児の看護


〇検査・処置・治療を受ける小児の看護


・プレパレーションについて説明してください
心理的準備の援助である。
治療や検査、入院によって引き起こされる心理的な混乱に対し、言葉だけでなく写真やビデオ、絵本、紙芝居、玩具などを用いた情報提供や模擬体験を通して、正しい情報を提供したり小児に表現の機会を与えたりすることで、小児が検査・処置・手術などの治療の必要性を理解し主体的に診療に臨めるよう、小児の対処能力を引き出す環境を整えること。

・プレパーレーションの目的について3つ説明してください
①小児が検査・処置・治療を通してこれからどんなことを経験するのか、なぜ体験するのかを知る。
②小児が検査・処置。治療中の過ごし方、進め方について意思表明をしたり、選択したりできる。
③検査・処置・治療前から実施後を通して、小児が不安・恐怖・拒否も含めて感情を表現できる。

・ディストラクションについて説明してください
プレパレーション技法のひとつで、検査。処置中に小児が興味を持つ遊びを行うことで気をそらし、痛みや不快感を最小限にする。
遊びは痛みに対する非薬物療法のひとつである。

〇小児の痛みの看護


・痛みの自己申告スケールの使用年齢について説明してください
フェイススケールなどの痛みの自己申告スケールの使用は三歳ごろから可能である。

児童虐待


〇児童虐待の現状と対策


・児童虐待の種類とそれぞれの定義について説明してください
身体的虐待:児童の身体に外傷が生じる、または生じるおそれのある暴行を加えること
性的虐待:児童にわいせつな行為をすること、または、わいせつな行為をさせたり、見せたりすること
ネグレクト(養育の怠慢・拒否):児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食、長時間の放置、保護者以外の同居人による身体的・性的・心理的虐待の放置、そのほか保護者として監護を著しく怠ること
心理的虐待:児童に対する著しい暴言、著しく拒絶的な対応、家庭内において児童に、配偶者に対する暴力・暴言を見せたり、聞かせたりすること。そのほか児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと

・乳幼児揺さぶられ症候群について説明してください
乳幼児の頭部を前後に激しく揺さぶることによって生じる外傷であり、硬膜下血腫、網膜出血、脳浮腫などが引き起こされる病態。児童虐待の死因として非常に多い。

・虐待の疑いのある保護者の特徴を説明してください
児童の外相と保護者の説明する内容が一致しない
言動や対応に不自然な点が多い
説明内容がよく変わる

小児の主要徴候


〇小児の脱水

・小児で脱水が起こりやすい理由について説明してください
体内水分量の割合が高い
体液に占める細胞外液の割合が高い
身体の大きさに対する、1日の必要水分量が、成人よりも多い
腎機能が未熟で、腎臓での尿濃縮能が低い
上気道炎や胃腸炎などの感染症にかかりやすく、食欲減退や嘔吐、下痢により水分量が減少しやすい

・小児の脱水を示す兆候
大泉門の陥没
皮膚の乾燥
尿量低下
皮膚緊張度(ツルゴール)の低下
不機嫌
口腔内の乾燥
頻脈



〇小児の消化管疾患

・肥厚性幽門狭窄症について、概要と症状を説明してください。
 胃幽門部輪状筋の肥厚により、幽門狭窄を起こした疾患
 生後2~3週の男児に多い
 ミルクを欲しがり、飲むと無胆汁性(乳汁が凝固しているが胆汁の逆流はないため無着色)の噴水状嘔吐を繰り返すが、空腹が満たされないため、またミルクを欲しがることを繰り返す
 触診にて、右上腹部に指頭大のオリーブ様腫瘤を触知する

〇小児の先天性心疾患


・小児の先天性心疾患にはどのようなものがあるか、説明してください。
ファロー四徴症のようにチアノーゼを認めるチアノーゼ性心疾患
心室中隔欠損症や心房中隔欠損症のように通常チアノーゼを認めない非チアノーゼ性心疾患がある

〇小児の代謝疾患


・フェニルケトン尿症について、概要と症状を説明してください。
フェニルアラニン水酸化酵素の先天的欠損(常染色体劣性遺伝)によりフェニルアラニン蓄積、チロシン欠乏を起こし、様々な障害がおこる
出生時は正常だが、赤毛、色白などのメラニン色素欠乏症状がみられるようになり、その後、知的能力障害、行動異常、けいれん発作などを起こす
新生児マススクリーニングの対象疾患のひとつ

・小児の糖尿病について、概要と対応について説明してください
小児に多いのはⅠ型糖尿病で、膵細胞の破壊によりインスリンを分泌できなくなってしまうため、外部からのインスリン療法が絶対適応
①多飲②多尿③体重減少が三大現象
個人差はあるが、6歳ごろから自己注射、血糖自己測定ができるようになる。
自己注射をしている同年代の患児と交流する機会を作るなど、発達段階に合わせ、セルフケアができるように指導する
低血糖時の対処法、シックデイ対策などが難しい年齢では、医療従事者だけでなく保護者や学校の教諭もともに支援する

小児の感染症


〇麻疹(はしか)


・麻疹の臨床経過と合併症について説明してください
潜伏期間は約10日で、カタル症状、発疹、二峰性発熱(カタル期の終わりに一時的に解熱)が三大症状である。
発疹の2日前頃のカタル期にコプリック斑(頬粘膜に出現する白い斑点)がみられる。
発疹は二峰目の発熱と同時にみられ、耳後・頸部→体幹の順で出現、色素沈着を残し、消退する
代表的な合併症は肺炎と脳炎で、麻疹感染による死因となることもある

〇水痘(みずぼうそう)


・水痘について、概要と症状を説明してください
水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)が、主に空気(飛沫核)感染、飛沫感染、接触感染することにより生じる疾患
潜伏期間は約2~3週間であり、高熱とともに粘膜、体幹(顔や四肢には少ない)に紅斑から盛り上がった赤い発疹である丘疹が出現し、次第に水疱へと進行する
治癒後はVZVが三叉神経節や脊柱後根神経節に数年~数十年潜伏し、免疫力が低下した時に再活性化することで帯状疱疹を発症する
一般的に抗ウイルス薬のアシクロビルまたはバラシクロビル塩酸塩が有効

〇乳幼児下痢症


・乳幼児下痢症について、概要と対応を説明してください
6か月~2歳児に多く、ウイルスや細菌の感染により発熱、嘔吐、下痢を起こす
ロタウイルス、ノロウイルス、アデノウイルスによるものが多く、ロタウイルス感染では白色の水様性下痢が認められる。
頻回の嘔吐や下痢によって脱水に陥りやすい
頻回の下痢のために臀部に発赤、びらんが生じやすい。ふき取る際は優しく行う。排便ごとに清拭や微温湯での臀部浴を行い、十分に乾燥させることが必要

小児の脳・神経/精神疾患


〇発達障害


・発達障害とはなにか、説明してください。
発達障害とは、自閉スペクトラム症、限局性学習症、注意欠如・多動症などの総称で、発達期に発症する疾患の一群

・主な発達障害とその特徴について説明してください
自閉スペクトラム症(ASD)
①社会的コミュニケーション能力が欠如している
 ・対人関係・他人との情緒関係の欠如
 ・非言語的コミュニケーションの欠如
 ・人間関係の発展・維持、理解することの欠如
②限局された行動、興味や活動が反復される
③以上の特徴が、知的能力障害または全般的発達遅延ではうまく説明できない
限局性学習症(SLD)
知的能力障害、視覚や聴力などに異常はないが、聞く・話す・読む・書く・計算する・推論する等特定の能力の習得と実行に著しい困難を示す
注意欠如・多動症(ADHD)
年齢・発達に不釣り合いな不注意(集中困難)、多動性、衝動性がみられる

・知的能力障害に評価について説明してください
知能指数(IQ)によって評価される知的機能と、年齢に応じた社会適応の度合いによって評価される適応機能の程度の両側面から評価される
有病率は約1%程度
重症度は知能検査や、社会適応に対して必要な支援状況などによって測られる
知能指数(IQ)は重症度分類には用いられない

小児の先天異常


〇先天異常総論


・単一遺伝子疾患の各遺伝形式について、性差と疾病例について説明してください
常染色体優性遺伝
 性差なし
 フォン・レックリングハウゼン病(神経線維腫症Ⅰ型)など
常染色体劣性遺伝
 性差なし
 フェニルケトン尿症、糖尿病など
X連鎖(伴性)優性遺伝
 男性よりも女性に多く、罹患男性の娘は必ず罹患者となる
 色素失調症、 X連鎖低リン血症性くる病(ビタミンD抵抗性くる病)など
X連鎖(伴性)劣性遺伝
 罹患者は主に男性
 血友病A・B、デュシェンヌ型筋ジストロフィーなど

・下記の疾患の特徴について説明してください
①軟骨無形成症 ②ターナー症候群 ③クラインフェルター症候群 ④ピエール・ロバン症候群
①低身長、著明な四肢短縮、特異顔貌
②低身長、性腺機能不全
③高身長、性腺機能不全、言語発達遅延、女性化乳房
④舌根沈下による吸気性喘鳴、少顎、口蓋裂

〇ダウン症


・ダウン症の遺伝子異常と特徴について説明してください
21番染色体が3本存在する常染色体異常症(21トリソミー)
筋緊張の低下により吸啜力が弱く疲れやすいため、哺乳の途中で眠ってしまい哺乳不良となることが多い
(筋緊張が低下した乳児のことをフロッピーインファントと呼ぶ)
心奇形、消化管奇形、白血病、単一手掌屈曲線、特異顔貌

〇二分脊椎


・二分脊椎の象徴的な症状と対応について説明してください
神経障害による膀胱・排泄訓練が必要となることが多い

〇先天性水頭症


・先天性水頭症の治療法について説明してください
脳室腹腔シャントなどのシャント術を行う
便秘などにより腹圧が上昇するとシャントの流量が不足して、閉塞していなくてもシャント機能不全を生じる危険性がある
また、肥満もシャント機能不全を誘発する

その他の小児疾患


〇乳幼児突然死症候群


・乳幼児突然死症候群の特徴、危険因子について説明してください
発症は生後2~6カ月に多く、主に睡眠中に発症する
危険因子はうつぶせ寝、周囲の喫煙習慣(妊娠中の喫煙や受動喫煙も含む)、人工哺乳などが考えられている

※軟らかい寝具でのうつぶせ寝は窒息の危険性もあるので注意する。
※直径39mm以内の口内に入る、飲み込める大きさのものは近くに置かないようにする

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