【声劇台本】ねぇ、ママ

【声劇台本】ねぇ、ママ

ジャンル
切ない

登場人物
・ママ
・イリヤ(息子)
・宿主
・警察
・牧師
・その他

【台本】
雪が降っている
外はとても寒い
だけど、僕は平気だ
綺麗な花を見つけたんだ
黄色い花
ママの好きな色のお花
その花をママに渡したくて
僕は走っていた。

イリヤ「はぁ…はぁ…はぁ…」

ママ「イリヤ!イリヤ!どこ?」

ママが僕を呼んでいる。

イリヤ「ママ!ここだよ!」

ママ「イリヤ!心配したのよ!どこに行ってたの?」

イリヤ「ママこれ!お花見つけたよ!」

ママ「イリヤ……ありがとう、綺麗な
お花ね」

ママは心配そうな顔をしていたが
安心したのか、ホッとした顔をした。

ママ「ほら、ご飯の時間よ」

僕はママに連れられ
家に戻った。
家に戻ると、いい匂いがした。

ママ「イリヤ、ちゃんと手を洗うのよ!」

イリヤ「はーい、ママ!」

僕は手を洗い、イスに座る。

ママ「さぁ、神様にお祈りしましょう」

食事の前は、必ずお祈りをする。

ママ「さぁ、食べましょう」

イリヤ「いただきます」

ママの料理はおいしい。
僕は、ママの作る料理が大好きだ。

ふと、テレビからニュースが流れていた。

ニュースキャスター「4年前、誘拐された、ナターリア・アンナ さんの息子さんの行方は未だにわかっておらず
今も尚、捜索が続いています。
我が国で年間、行方不明にな…」

ママがテレビを消した。

イリヤ「ママ、何でテレビ消すの?」

ママ「ほら、いいから早く食べて
寝ましょう!」

そして、数日後……

ママ「イリヤ、買い物に行くわよ」

イリヤ「はーい!」

僕は、ママに連れられ買い物に行くことに

イリヤ「ねぇ、ママ!どこに買い物
行くの?」

ママ「いつものお店よ」

そして、お店に着いた。
買い物をする。

イリヤ「ママ、お菓子買っていい?」

ママ「1つだけよ!いいわね?」

イリヤ「うん!」

僕は、大好きなお菓子を1つ手に取り
そして、買い物を済ませ
店を出た。

イリヤ「ママ!今日のご飯何?」

ママ「今日はねぇ……!?」

急に建物の陰に隠れる。

イリヤ「ママ、どうしたの?」

ママ「しっ!静かに!」

警察「あの地区に住んでる、女の子供が4年前の行方不明の子供てのは
本当なのかね?やれやれ、早く帰りてぇのによぉ~」

イリヤ「ママ?………」

ママ「イリヤ、ちょっと散歩しましょう!さぁ、行くわよ!」

イリヤ「ママ、お家とは反対だよ!」

ママ「いいから!こっちよ!」

僕はママに連れられ
歩き続けた。

陽は落ち、寒くなって来た。

イリヤ「ママ……疲れたよ」

ママ「イリヤ……ほら!あそこ見える
でしょ!今日はあそこに泊まり
ましょう」

ママに連れられ
建物に入ると
男の人がダルそうに
こちらを、見ていた。

宿主「いらっしゃい……」

ママ「すみません、今夜だけ泊まりたいんですが」

宿主「そうかい…それなら値段はこれだけど」

ママ「あっ……!?」

ママが困った顔をしている。

ママ「すみません……今これぐらいしかないんですが……」

宿主「足りないじゃないか……出ていてくれ」

ママ「お願いします!この子だけでも!どうかお願いします!」

宿主「……そうか」

宿主がママの耳元で何かを
話している。

宿主「どうだ?」

ママ「わかりました……」

宿主「後で来いよ……逃げたら警察に
通報するからな!」

ママ「わかりました、どうか警察にだけは……」

宿主「あいよ!ほら、鍵だ!さっさとガキを連れて行きな!」

僕はママと部屋に入った。

ママ「イリヤ…さぁ、寒いから
ベッドの中に入ってなさい」

イリヤ「ママ、あのおじちゃんの所に行っちゃうの?」

ママ「そうよ、ちょっとお話をしないといけないの」

イリヤ「僕も一緒にお話したいな」

ママ「ダメよ!いいから待ってなさい、すぐ戻るから」

イリヤ「はい…ママ」

そして、ママは部屋を出て行った。

僕はいつの間にか眠っていた。

朝、目が覚めると、隣にママがいた。

ママ「さぁ、イリヤ準備して、出かけるわよ!」

イリヤ「ねぇ、ママどこに行くの?」

ママ「どこかな?さぁ、行くわよ」

宿主「おはよう!ぐっすり眠れたかい?」

ママ「おはようございます……」

宿主「おい!今夜も泊まる所、無いなら来な!」

ママは黙ったまま、僕の手を引きながら
宿を後にした。

しばらく歩いていると、森の近くに
来ていた。

ママ「イリヤ……ここはね、春になると綺麗なお花が咲くのよ」

イリヤ「そうなの?見てみたいな!」

ママ「そうね…春になったら、一緒に
来ましょうね」

イリヤ「うん!」

前の方から、1台車が来て
僕たちの前で止まった。

警察官「あぁ、すみません!あなた、もかして、この家に住んでましたよね?」

警察官は、僕とママの家の写真を取り出して見せてきた。

ママ「えぇ……」

警察「間違えないですね?」

ママ「………はい」

警察官「おい!子供を車に乗せろ!」

ママ「待って!お願い!」

警察官「おい!動くな!」

イリヤ「ママ!」

ママ「大丈夫!ママ、すぐ行くから!ねぇ!大丈夫だから!」

警察官「よし、子供を乗せたら、少し先で待ってろ」

警察官がママを森の方へと連れて行った。

警察官「お前……4年前の誘拐犯だろ!」

ママ「えっ!?ち…違う!」

警察官「嘘をつけ!お前が子供と住んでるのを、周りの人達は知っている
だが、出生届けもない、男がいたような事もない……まぁ、DNA鑑定をすれば、分かることだがな」

ママ「そんな!それが証拠なの?」

警察官「黙れ!我々が家に行ったが
いなかった、それに昨日泊まった、
宿主に、話を聞いたが……あんたは怪しいんだよ!」

ママ「そんな…ひどい!本当にそれだけで、私が誘拐犯だって言うんですか?」

警察官「黙れ!なら…許して欲しいか?……ほら!どうだぁ?」

ママ「……はい」

警察官「けっ!触んじゃねぇよ!やっぱりな!この売女が!汚ぇ野郎だ!」

ママ「そんな……お願いします!あの子は、私の大切な子供なんです!
何でもします!お願いします!
お願いします!」

警察官「ダメだな…あんたも知ってるよな?この国の法律じゃあ、犯罪者は
即刻死刑にしても構わないて」

警察官が銃を取り出す。

ママ「お願いします!どうか!どうか!あの子と一緒にいさせて!」

警察官「なら……最後に言い残す事はあるか?」

ママ「………最後にお祈りをさせてください」

警察官「いいだろう」

ママ「あぁ……神様、どうかお願いします……あの子が幸せに、生きて行けますよう……どうか……」

警察官「祈りは終わったか?」

警察官が銃を頭に突き付けてきた。

そして……1発の銃声が森中に響く

一面の雪が赤色に染まる。

まるで、花のように

若い警察官「坊主!ほら、お菓子食うか?」

イリヤ「ありがとう、おじちゃん!」

若い警察官「おい、おい!俺はまだ若いぞ!お兄さんだぞ!」

ベテラン警察官「あっはははは!おじちゃんだとさ!」

若い警察官「何笑ってんすか!俺、まだ23っすよ!」

ベテラン警察官「何言ってんだ!お前もすぐ、歳を取って俺たちの仲間入だよ!」

若い警察官「何言ってんすか!まったく!」

それから
ママは戻って来ることはなかった。

12年後

牧師「イリヤ君、おはよう」

イリヤ「おはようございます」

牧師「毎朝、礼拝に来ていますね
素晴らしい事です」

イリヤ「はい、昔、母と一緒に祈りをしていましたので」

牧師「そうですか、それでは、私はこれで失礼します」

イリヤ「はい………」

12年前、僕はあれから
DNA鑑定をされ
本当の母親の所に行った。

だが、数ヶ月後に
施設に入れられた。

それから、数年後
聞いた話によると

僕が産まれて、数ヶ月後
母は、僕を教会の前に
捨てたのだ
その理由は
僕の父親にあたる
男性が母に
子供がいるのなら、お前とは
一緒にいられないと言い

そして、母は僕を教会の前に捨てた。

だが、それは犯罪
母は途中で僕を連れ戻すために
戻ったらしい。

だが、その時には
僕はいなかった
誰かに連れ去られていた。

それが、ママだ

その話を聞いて
ふと、記憶が蘇った。

一瞬、僕を捨てた母親の顔が見えて
そして、次にママの顔が見えた……

イリヤ「ママ……あなたは言ったじゃないか……嘘をつけば、バチがあたるて……神に祈れば救われる…苦労はいつか報われるて……何で……何で……」

僕は、昔ママと一緒に住んでいた
家に向かった。

イリヤ「あぁ……ここのお店潰れちゃったんだ……昔お菓子買って貰ってたな」

そして、家に着いた。

中はホコリだらけで
汚れていた。

カビの臭いが鼻をつく

イリヤ「あっ!これ、ママが僕にくれたおもちゃだ……懐かしいな……」

そして、あの日
ママと最後に行った場所には
沢山の花が咲いていた。

イリヤ「ねぇ、ママ……沢山咲いてるよ……一緒に見たかったな」

ねぇ、ママ
あなたは僕にとって
本当の母親だった
今でもずっと……

イリヤ!

イリヤ「えっ!?ママ?」

振り返ると
沢山咲いている花の中で
一つだけ
綺麗な黄色い花があった

イリヤ「ママ……ママの好きなお花…
咲いてるよ……すごく綺麗だ」

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