2024 UCI MOUNTAIN BIKE WORLD CHAMPION SHIPS Men's junior class
サポート
使用機材
タイヤ
バイク:ORBEA OIZ LTD
自分にとってのMTB世界選手権
幼い頃からMTBのワールドカップと世界選手権をレッドブルTVで見るのが大好きだった。
そして、アルカンシェルの虹色ジャージが自分にとってのずっと1番の夢だった。
マウンテンバイクで世界一になる。
幼稚園の卒園アルバム、小学校の卒業文集で2回ともこう書いたのは忘れられない。
変な話だしちょっと、イタいかも知れないですけど、自分が人生で1番最初に持った夢がこれで、それは1回も変わった事がないとそれだけは断言できる。
自分にとってのMTBは日常でもあって夢でもある。そんな不思議なスポーツです。
出国前
出国前の練習としては今回の国、アンドラバイクパークは標高2000m近いところに位置する会場。
流石になにも対策せずに行きなり会場に行くのは自殺行為だと思い、親に山梨にある大弛峠まで連れて行ってもらい高地トレーニング。
上で少しインターバルを繰り返すトレーニングをして標高に慣らしていった。
その後は各地色んなとこでの合宿も常にこの世界選手権のことを想定しつつ走った。
出国してアンドラに着いてからコースの試走はとにかく入念に、時間を費やした。
コースの印象としてはスタートしてから行きなりの右コーナーでスラロームセクションから一気に芝生+林間の直登、登り切ったと思ったら一気にガレガレの尖った石が多いロックセクションを急降下したらまた直登みたいな感じでとにかく急な登りと急な下りしかないかなりハードなコース。
下りの難易度も高く、ガレガレなので下りでも体力を削られる上に急降下なのでブレーキングコントロールもかなり大変。
ただ路面はメチャクチャハードパックな路面で砂ぼこりが舞いやすいなど、ブレーキしても基本的に止まらない路面。
BMXのパンプトラックやスラロームなど人工的なセクションもあるが、これはフロートレイルを走り込んでいないとかなり差がついてしまうコース。
修善寺オリンピックコースとかとはまるで正反対。
トレイルが家の裏にある自分にとって本来なら得意な部類のコースだったと思う。
本当にただ1周走るにも大変なコース。
試走は1日目は全体的な様子見、2日目はセクション練習とポイントで強度上げ、3日目からは1周通して強度を上げ、心拍を標高に慣らすようにして行った。
実際調子は少しづつ良くなって行ってレース当日がすごく楽しみだった。
タイヤのセッティングは新型のMEZCAL RACE2.4とPEYOTEをメインに考えて使ったが、MEZCALの方が下りでのブレーキング、トラクションのかかり方が走りやすく感じ、MEZCALをチョイス。
タイヤ幅2.4の利点とこのコースの路面の硬さを踏まえて、空気圧は1.05barといつもよりかなり低めにセッティング。そのおかげで登りも下りも安心して走れる👍
1.05まで空気圧を下げれたのは60tpiでも全く砕ける感じはない。なのに乗り心地は柔らかいというvittoriaならではの長所を使えたセッティングだったと思う。
サスペンションのセッティングはフロントはいつも通り60psi、リアは少しだけ落として105psiにセット。
機材のセッティングも決まり、後はライダー次第だぞという感じで全ての試走終了。
試走終了後はマッサージ受けて、夕ご飯食べたら就寝。今回はしっかりと寝ることが出来た。
レース当日は5時に起きて身体をなるべく早く起こす。
まだそこまで緊張する必要はないだろという感じで準備。
宿の朝食が8時からなので8時から朝食食べて、9時に宿を出発して会場に向かう。
9時半ごろ到着。気温はまた18℃で長袖1枚着ていてちょうど良いくらいだ。
レーススタートまでは2時間半、軽めに身体動かしたらスタート直後のコーナーの確認をしに女子ジュニアのスタートを観察。
その後から少しづつアップの準備を始めて、11時からローラーで回し始める、いつも通り最初は15分回してからの20秒のインターバルメニューで刺激入れ。
調子は悪くなさそう、後はやるだけ、スタートラインに向かった。
コールアップエリアの密集度はとんでもない雰囲気で少しでも気緩めると押しつぶされそうな、そんな雰囲気だった。
いよいよスタートへ。
久々のこの感じ、周り見渡したら皆んな背の高い子ばっかり😂
ほんとに同世代かよ、なんて思いながらいよいよ1分前、30秒、15秒前になった。
レース
モニターの表示が青に変わりスタート。
クリートキャッチ大ミスして出遅れ、そしたら目の前で落車が起こって、なんとか外に回避。
ポジションは上げなきゃと思うがオーバーペースはダメだと思い少しずつ、上げてこうと思うが、中々前に進まない。結局シングルトラックまでに上げきれず、狭い区間は大渋滞で全然進まない。
気持ちだけが焦り、冷静になれない。
登りに入って一気に…とも思ったが呼吸が苦しい。
標高慣れ出来てない?という邪念が入るがそんなことは気にしてる場合じゃないと思い進む。
前にはまだ選手は沢山いるし、まだまだ巻き返せるという気持ちで第一フィード通過、この時点で舞った砂ぼこりが喉に入りまくっていて、しっかり水飲んで登りで少しずつペースアップしていくが、全然上手くいかないし、下りもまだ思ったようなラインを通せていない。
焦るうちに1周が終わってしまう。
先頭とのタイムギャップはなんと3分…順位は70番前後、まだ15分しか経っていないのにもうそんなにと言う気持ちが押し寄せる…このままじゃ完走すら出来ない…
マズイと思い過ぎると動きが固くなる自分の性格なので、まずはフォームとペダリングに集中、と言い聞かせた。
落ち着かないと本来のパフォーマンスは絶対に出せない。力感なく踏めればと思うがとにかく辛い。
もっと早く前をと言う気持ちで林間に入る。気持ちのブレからかラインもあまり定まってる感じがしない。
とにかく前の選手に上手くリズムを合わせて走る。
下りが終わり1番きつい斜度の直登、2周目にしてダンシング出来る力がない…シッティングで回転を意識してここは登るが、勾配が緩んだ緩斜面の繋ぎ区間がとにかく辛い…ここで加速したい…のもうひと伸びがない…
フィードを通過し、逆側の山区間へ、スロベニアやブラジルの選手と競いながら前を追う。
そして気づいたら2周が終わる。
先頭とは5分差…
現在60番より少し後ろ…
ようやく標高にも慣れてきたのか…少しイーブンで回せるようになってきて、トラクションのかかりも悪くない感じ。タイヤをMEZCALの2.4にしたのは正解だった。この硬い路面だと自分程度の技術ではエアボリュームがないと路面をしっかり捉えられない。
それに柔らかいサイドウォールが自分の身体のダメージを最小限に留めてくれている気がしたが、
ここにきて下りで上半身に疲れを感じ始める…まだ30分しか経ってないのに…って感じだったが、かなりこの荒れた下りをコントロールするのに力を使ってしまっている感覚だった。
そんな中でも周りの海外選手のスキルは流石だった。例え60番前後でもしっかりバイクをコントロールして走らせている選手が多い。
やっぱ自分はヨーロッパ来ると下手だよなぁって今はしみじみ感じています。
3周と半分が過ぎたところで光志と同じくらいのポジションに光志も前半はかなり前に居たと思うが….やはり標高とコースに苦戦している感じがあった。
ここで2人で上手く力使いながら前に上がれたらな…なんて今は思ったりするが、どう考えてもそんな余裕はなかった。
フィードで水を飲みもう一度回す方向に回転をかける。段々リズムも良くなってきてるはずだと言い聞かせての走行。
3周が終わり4周目
先頭とは7分、タイムアウトギリギリのところだが、このまま行けば…なんとかなると思い回す。
最低でも完走はしたい…という気持ちに変わっていく。
シングルの登りが終わり、林間でもペースも落ちてはいないが下りがどうしても整えられない…なんとか登りでカバーしようと思うがダンシングが出来ない…焦る気持ちばかりでコース後半へ
2つ目の山が終わりパンプトラックを終えると先頭の姿が…その瞬間80%の不安がよぎった…
大丈夫!なんとかなる!と信じたが…自分の前の選手が80%エリアを通過した直後ゲートが開いた。
ここで自分の世界選手権は終わった。
あと6秒足りなかった…
終わった直後は何が起こったのか理解出来ずその場に伏せるしかなかった。
あと6秒くらい、速く走れたんじゃないか…頭の中にはそれしか浮かんでこない…
今日の力は多分これがMAXだったのだろう。
だとしても、あと6秒くらいは何かで変わったんじゃないかと…そんな後味が今は残っています。
正直、受け入れたくない現実です。
今年のジュニアトップのタイムはエリートで見てもトップレベルで走れるレベルだったらしい。
だとしても同世代、同じカテゴリーの選手、世界の凄さに改めて圧倒されました。
レースを終えて
スキル、フィジカル共に日本の中でやるならどちらもそこそこは自信はある方。
けど、ここに来たらどちらも並以下。
絶対的なパワーをつける事、そしてトレイルを走る技術を初め、パンプトラック、ジャンプなどの基礎動作の見直しも今の自分には必要だろう。
世界選手権というのは、経験をしに行く場所ではない。あくまで世界一を決める場所、今の自分に先頭で勝負する力はないが、自分には自分の戦いをやり切らなきゃ行けないと思う。
だからこそ、勝負はこれからも続く。
これを経験だけで終わらせては行けない。
小さい頃からマウンテンバイクが大好きで、ずっとこのレースを走る事はひとつの目標だった世界選手権。
だけど最近、自分がどこを目指しているのか、少しわからなくなっていた。
自転車競技は日本でもマイナーなスポーツで、
その中でもマウンテンバイクはどの競技よりも、評価を得られない競技である事実に何度も直面したしそうである事実を自分は知っている。
それでも自分がこの競技を続けてるのは、マウンテンバイクが大好きで、世界のトップ選手になるならこの競技しか可能性が自分にはないと思っているから。
そして、少なくともここには自分がずっと追い求めてた夢が全て詰まっていました。
あまりにも遠すぎるトップとの距離だけど、辞めない限り、諦めない限り叶う可能性がゼロにはならないはず。追える限りは追い続けたいし、もっとここで走りたい。
来年はジュニア2年目。
いろいろやりたい事は多いが、目標に届かせるために本当に重要なのは来年の夏。
下を向いてる時間はないと思います!
最後になりますが今回のレースはTEAMJAPANのサポートなくしては走れませんでした。
そして日本から沢山の人に、応援とサポートしてもらい心強かったです。
ありがとうございました🙏
そして光志、一緒に戦ってくれてありがとう。
来年のMTB世界選手権の場所は🇨🇭CRANS MONTANA恐らくだけど多分世界一難易度の高いXCコースだと思う。けど、必ず来年もここに来て次は笑って終われるように頑張ります。
※最後まで読んでくださりありがとうございました。もしよければシェア&いいねしていただけたら凄く嬉しいです
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