夏休みの登校日

 昔、小学生の頃、夏休みのところどころに登校日があって、八月六日も登校日だった。
 原爆投下時刻はちょうど外掃除の時間で、各自、校庭や中庭などそれぞれの持ち場で、サイレンを合図に一分間の黙祷をするように、と言われた。
 黙祷の間、なんと祈ればいいの?
 その内容についての指示はなかった。何か言いたいことがあったかもしれないが、そのココロは読めなかった。各々の心に何が浮かぶのかは、内心の自由というものだった。
 やがてサイレンが鳴り、私は目を閉じて、その長いんだか短いんだかわからないサイレンの音に、耳をすませた。

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