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北海道清水高等学校 食品ビジネス系列

系列の紹介

北海道清水高等学校は、北海道の背骨である日高山脈の裾野にある北海道初の総合学科の高校です。食品ビジネス系列は、十勝平野の豊かな土地で生産される農作物の魅力を伝えることができる商品開発を通して、学びを得る系列です。
私たちの試行錯誤を紹介します。

自分のやりたいを大切にする

 学校で勉強するということは、机に向かい、先生の板書をノートに取る。食品ビジネス系列(食品分野)では、全く異なる学習を実践しています。
3年次(総合学科では、〇年生を、〇年次といいます。)になると、「自分のやりたい」を前面に押し出した学習が展開されます。食品製造b、食品化学、フードマネジメントの授業では、主体が生徒であり、教師は知識を、教えることをよりも、考える力、創造する力を身につけさせています。
 自分のやりたいことを、調べ、計画を立て、準備し、実践し、仮販売し、自ら改善していくという学習を行います。

では、何より、先輩方の研究を見てみましょう。


  • 令和4年卒業生 ITくんの「ラーメン研究」

    • 5月 台湾混ぜそばを製造  ラーメンが大好きで、ラーメンを1年間研究すること計画し、まだスープが取れないので、混ぜそばで商品化に挑戦しました。

    • 授業で学んだチャーハンと、自作のチャーシューで、街中華での昼食を表現してみました。


5月に作成 「台湾混ぜそばと炒飯」

改善点            ※本人のMicrosoft Teamsへの学習投稿より
・魚粉が少し多いと感じたので、5gだったのを3gに減らす。
・チャーハンはもう少し生姜やニンニクなどひと手間加える。
・味玉をもっと綺麗に茹でるために、おたまなどを使って優しく鍋に入れるなど当たり前のことを徹底する。
・商品コンセプトをもう少し深く考える。どういう場面で食べたいか、どういうお店で売りたいか。

  • 翌年1月 卒業前の最後の食品製造bのラーメン

    • 5月から紆余曲折、ITくんは、ラーメンの研究をつづけました。こってり味噌ラーメンやトマトラーメン、イベント用にラーメンパンを作りました。その集大成がこの醤油ラーメンです。

    • 閉めのラーメンは、シンプルにこだわった魚介出汁に、醤油を合わせたあっさりラーメンです。叉焼も、もちろん手作りです。飾りに、だしを取った昆布を添えています。

シンプルな醤油ラーメン

改善点            ※本人のMicrosoft Teamsへの学習投稿より
・チャーシューが大きく少し噛みにくいところがあったため、少し切り込みを入れる
・香味油を入れ、香りや後味を加える

↓ 気になったとおもうので、ラーメンパンです。油そばのラーメンにガーリックとナンプラーを効かせました。細部にラーメンを再現するために味を研究。でも、コッペパンがむずかしかったようで、パンがいまいちでしたが、ラーメンがとても、好評で、「販売したい」というお店も現れる次第でした。

町内のイベント用に開発したラーメンパン


  • 令和4年卒業生 NSさんの 「おいしいパンを作りたい」という研究

    • 4月 昨年習ったパン作りを自分一人で、製造し販売し、お客様においしいと言ってもらいたい。お店に並んでも、そん色ないものを作りたい。という目標で研究が始まりました。

    • まずは、基本の「塩パン」

    • コンセプトは、「主に10〜30代の男性で、仕事の合間に食べられる風味豊かな塩バターパンです。」

4月一人で作った「塩パン」
  • 焼き終えて、全くイメージ通りの形にならず、へこんでおりました。発酵の難しさを実感しました。焼きのタイミングが合わず窯が、開かずに過発酵になってしまったようです。

  • 改善点          ※本人のMicrosoft Teamsへの学習投稿より
    ・過発酵気味になってしまったので発酵時間を5~10分短くする
    ・生地が柔らかくなり過ぎたので、水分量を65%にする
    ・成形は、端を細く尖らせるように巻く

  • 改善点もかなり具体的にできているので、きっとうまく作れるようになると感じました。

  • 1月ラスト 集大成の「クロワッサン」です。

  • 誰にも、教えてもらわずに、自分で調べ、研究実践を行い作り上げたクロワッサンです。クロワッサンは、前日から生地にバターを織り込む作業が始まり、とても繊細な感覚がないと焼き上げることができないパンです。

  • ポイントは、高校生が一人で焼き上げた「クロワッサン」ということです。

集大成の「クロワッサン」
  • 改善           ※本人のMicrosoft Teamsへの学習投稿より
    ・生地の切り方に気をつける
    ・巻き終わりを下で固定する
    ・火力を最初の10分 4で、残り5分 3で焼き上げる

  • 丁寧な性格で、しっかり勉強してから作り上げる。しかし、丁寧過ぎて数が作れない、そんなときもあり、「塩パンを40本作り上げろ!」という指令に取り組みました。

  • 断面の写真を取り忘れてしまったのが残念です。もし見つかったらアップします。プロのクロワッサンに比べるとまだまだですが、本当にバターの香りが感じられる、サクサクのパンを焼き上げることができたのは、すごいことだと思います。

食品ビジネス系列には。。。。

 この系列の「食品分野」には、基本は「食」の道に進みたいと思う生徒が、学ぶ系列です。(「ビジネス分野」は、簿記の勉強をしますが)
「やりたいことを、できる力を身に着ける」ということを大切にしています。「やりたいことに、チャレンジする」だけではなく、「できるようになる」ということが大切です。
 企業や職場では、学校のように「できませんでした。すいません」は、通用しないはずです。
 1000円を頂いた、ラーメンには、250円を頂いたクロワッサンには、その頂いたお金に見合う価値がなければなりません。「すいません。高校生だから、できませんでした。足りませんでした」は、ありえません。この現実の厳しさを、一番の教材にしています。
 では、なぜ、こんな厳しい指導を乗り越えられるのか。それは、「先生が教えてくれないから」です。先生からの指示や指導で、作るのではなく、「自分の意思」で「やりたいこと」に取り組むからです。

 だからこそ、やりきらなければ、お客様が買ってくれない。おいしいと言ってもらえない。と、体感できることができます。
 そして、「おいしかったよ。」と言ってもらえるうれしさを一度体験すると、「もっと!もっと!」と前進することができます。



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