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【LINEとYahoo!の経営統合と、楽天とメルカリと、この先のこと】

 まだしっかり情報を精査していないので、中間報告程度のコメントとしてご理解のほどを。

 LINEとYahoo!が経営統合したとで、最も注目したいのはYahoo!が若年層にリーチが効くようになった点である。日経MJが先日行ったネットライフ1万人調査によると、LINEは全世代で4割以上の利用者があり、老若男女に利用されているSNS。LINEペイの利用者年齢層を見れば、10代後半で58.9%、20代で53.6%と、明らかに若年層の利用者が多いことが分かる。

 対してYahoo!ショッピングは楽天と同様、若年層の利用が鈍く、特に今回の調査でメルカリに抜かれてしまったヤフオクに関しては男性比率が高く、データでは出ていないが年齢層は高めだと推測する。PayPayに関しても利用者比率をみると54.6%と他のスマホ決済を圧倒しているが、年齢層別でみると30代以上が多く、40代以上にいたっては男性で6割を超えている状況で、こちらも「中高年層に強いPayPay」という状況になっている。

 これらを踏まえて考えると、Yahoo!はLINEの8100万人の利用者数、特にこれからキャッシュを生み出す若い世代をYahoo!ショッピング、ヤフオク、PayPayモールに取り込むことができるようになった点は非常に大きいと言える。先日買収したZOZOも含めれば、若年層へのリーチは相当強化されたと言える。

 対して楽天は同調査によると、40代と60代で利用率が7割を越える高齢化が問題になっている。10代後半は26.5%、20代は49.0%と若年層の利用者数は低迷。全年齢層で60%以上の利用率を誇るAmazonと比べると、明らかに楽天の若年層へのリーチは見劣りしてしまう。

 そんな高齢化問題を解決するために仕掛けたのが、楽天の携帯事業参入だった。しかし、こちらはご存知の通り先が見えない状況。本来であれば、キャッシュレス事業に投資してPayPayと互角に戦いたかったが、携帯事業への投資で手が回らなかった感は否めない。結果、リアルでもネットでもPayPayの独走を許す形となった。ちなみに楽天ペイの利用率は同調査で34.1%で3位、2位のLINEペイの44.3%に負けてしまっている状況だ。

 楽天の低年齢層へのリーチがうまくいかなかったのは、クレジットカードを中心に複数のサービスを展開して、ポイント還元を行っている点だといえる。カードの利用者が多い中高年を惹きつけることはできるが、カードを制作できない若年層では利用者が伸び悩むのは致し方ない。逆を言えば、楽天カードと楽天ポイントに依存し過ぎたツケがここにきて楽天の利用者の高齢化に拍車をかけてしまったところがある。

 こうなると、LINEという若年層の集客エンジンを手に入れたYahoo!は相当な強さを持つ。すでに、銀行、証券、FXなどで「PayPay」の商標を取り、圧倒的な「PayPay経済圏」を作ろうとしているので、冗談抜きでネットサービスで“1強”を作り上げる可能性は高い。楽天が得意としていたカードや銀行、証券のフィンテック事業がYahoo!に食い込まれれば、これはこれで楽天にとったらECと金融の両方で大きな痛手になる。特に2020年にはLINEも銀行事業に参入する予定なので、この点を踏まえて考えれば「楽天市場 VS Yahoo!ショッピング」よりも「LINE銀行+PayPayキャッシュレス VS 楽天銀行&楽天カード」のほうがことは深刻に思える。

 一方、LINEにとってもずっこけ続けていたコンテンツ事業やEC事業をYahoo!がフォローしてくれるわけだから、こちらも願ったり叶ったりの経営統合と言える。長年、莫大な利用者数を誇りながらも、事業のマネタイズ化ができなかった課題も解決されるし、同調査によるとSNSの利用者数は58.0%となったが昨年と比べて利用者数は2.2ポイントの減少という厳しい数字も出ている。利用者数の頭打ち感は否めないところがあり、そう言う視点で見ればLINEにとってYahoo!の抱える中高年の利用者は魅力的だと言える。

 じゃあ、楽天市場は今後どうなるのかという話になるが、実はしばらくは問題がないというのが僕の見解である。
「てめぇ今まで煽っておいて何言ってんだ!」と思われるかもしれないが、そう簡単に人の生活スタイルや習慣というのは変わらない。同調査でも首位の楽天64.9%に対して、2位のAmazon64.8%でほぼ拮抗状態。これだけAmazonのサイトが使いやすくてAmazonプライムで映画が見れたりしても、やっぱりみんな楽天ポイントを貯めることが大好きで、楽天のスーパーセールが好きな状況は変わらない。

 日本人は変化が嫌いで、新しいことに警戒心が強い国民性だというのは未来永劫変わらず、世界に比べて日本は中小零細企業が多く、外資系が参入する際に「世界で最も難しい市場」と評価されるのも、やはり日本人特有の「そう簡単には新しいものに食いつかねぇよ」という生活習慣にあるんだと思う。それがおそらく日本人の情や忠誠心、ワビサビの問題になってくると思えば、まだまだ楽天からECの客を奪い取ることは難しいのではないかと思う。

 ただし、5年後10年後は正直分からない。若年層の集客エンジンを持たない楽天の将来性は正直心もとない。LINEとZOZOを手に入れたYahoo!に分があるのは明らかであり、この点に関しては楽天の携帯事業の参入に将来はかかっていると言える。ただ、今の40代が80代ぐらいになる40年後でも、おそらくネット通販を利用しているはずだし、ポイントもせっせと貯めているはず。そう考えれば40年ぐらいはまだ大丈夫なんじゃないかと思ったりする。人口のボリュームゾーンから考えても、そう簡単に楽天の流通額が落ちるとは思わない(これ以上流通額が伸びるとは思わないけど)。
 なので、安売りに耐えられて、3980円以上送料無料に耐えられる覚悟がある店舗であれば、すぐに慌てる必要はないと思われる。

 今後、若年層を多く抱えるメルカリが、どう動くかには注目したいところである。楽天に身売りしたら面白くなるし、Yahoo!に身売りしたら、それはそれで楽天の高齢化に加速がかかる可能性もあるから、その点は次の分岐点として注視しておきたいところである。

 ということで、続きは2020年の予測カレンダーで。今、死ぬ気で頑張って作ってますので、もう少しお待ちくださいませ。先行予約販売でお安く購入したい方はメルマガの登録のほどよろしくお願いします。

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