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夢は「世界征服」ー カラダに埋め込むチップで新しいID認証方法を作るQuwakにインタビュー

こんにちは、千葉道場ファンドの木村です。この度、千葉道場ファンドはカラダに埋め込んだマイクロチップによる新しい認証プラットフォームを手がけるスタートアップのQuwakに出資させていただくことになりました。

この記事では、Quwak代表の合田瞳さん(@hichan02109)にお聞きした、同社の事業内容やアイデア誕生のきっかけについてお伝えします。まったく新しいその事業アイデア、そしてそれを手がける合田瞳さんという起業家がどう生まれたのか、ぜひ本稿を読んで知っていただければと思います。

カラダに埋め込んだマイクロチップで認証

千葉道場ファンド 木村(以下、木村):改めて事業内容をお聞かせください。

Quwak CEO 合田さん(以下、合田):フィジカルに存在する肉体に紐づくアイデンティティと、インターネット空間に存在する「デジタルアイデンティティ」を一致させる認証プラットフォームを作っています。例えば、銀行を例に挙げると、私たちは普段、複数の銀行口座を持っていて、それぞれの銀行でIDとパスワードを持ち、バラバラに生体認証などをしています。Quwakはその認証手段を、カラダに埋め込んだマイクロチップに置き換えることで、肉体というただ1つのアイデンティティと、インターネット上に存在するデジタルなアイデンティティを一致させます。そうすることで、様々なサービスの認証ができるだけでなく、自分のアイデンティティを本当の意味で自分が管理できるというプラットフォームを作ります。

木村:様々な生体認証の方法があるなか、マイクロチップでの認証がもつメリットとは何でしょうか?

合田:マイクロチップでの認証は、指紋、顔、虹彩などを利用した生体認証とはまったく違うレイヤーにあると思っています。今や指紋や虹彩もハッキングできる時代ですが、肉体は変えられません。指紋をハッキングされたとしても、指紋を張り替えることはできないんです。また、秘密鍵となるものを普段から露出してしまっていることも問題です。感覚的には、銀行のパスワードを顔につけて歩いているのと同じだと個人的には思っています。例えばSNSに上げた画像などから指紋や顔をハッキングされてしまう時代において、そのようなものを認証手段として使うことには違和感があります。

一方で、マイクロチップはハッキングされたとしてもIDを入れ替えることができます。また、ブロックチェーン的な思考で、IDが毎秒変わっていき、それにアクセスすることは誰にもできないという方法でIDを生成しているので、比較的複製が難しいとされている技術です。

これまでは、パスワードという認証手段では十分ではないので、要素を複数重ねることで安全性を担保する多要素認証の時代でした。ただ、「要素を2つ重ねても十分ではない」「指紋などもハッキングされうる」という新しい時代において必要とされる新しい認証手段が、マイクロチップによる認証だと考えています。

アイデア誕生のきっかけは、たまたま出会った留学制度

木村:認証プラットフォームというアイデアが生まれたきっかけについて教えてください。

合田:
認証事業のアイデアが生まれたのは、16歳ぐらいのときです。当時、私は高専に通っている学生でしたが、高校1年生の冬に「トビタテ!留学JAPAN」という留学制度の説明会がありました。その時は、先生から「参加したら無料で留学に行けるかもしれない」という言葉にのかって参加したいなと軽く考えているくらいでしたが、後になって留学するには選考や審査があることが分かりました。その審査に受かるためのビジネスアイデアをずっと考えていたのですが、ある時、歩いていると「マイクロチップ」というワードが急に頭に振ってきたんです。その後、日本で実際にマイクロチップをカラダに入れているという人に話を聞いたりして、マイクロチップによる認証プラットフォームというアイデアが固まり、結果的にそのアイデアで留学選考に受かることができました。多分、私は前世でマイクロチップに出会っていたんだと思います(笑)

木村:卒業後すぐにこのビジネスを始められたのですか。

合田:最初は電子カルテのデータをマイクロチップによって管理する、というビジネスアイデアを持っていたのですが、実現するのはとても困難だと思っていました。病院が簡単に基幹システムを入れ替えてくれるとも思わないし。なので、最初はずっとやりたいと思っていながらも、それを具体化させることはできていませんでした。

新型コロナウイルスが流行していた期間、学校の授業がすべてオンラインになり、とても暇になってしまって、友達と一緒になってプログラミングの勉強を始めました。また、ちょうど同じ時期に、飲食店でのバイトを始めたところでもありました。飲食店のオペレーションを観察してみると、人間がやらなくてもいいのに、と感じるものが多く、ちょうどプログラミングの勉強もしていたので、「これ自分でシステム作れるんじゃないか」と思い、友達と一緒に飲食店向けのシステムを作りました。

木村:そのシステムは、飲食系の大手企業にも採用されたと聞きました。

合田:最初は、大阪のある店舗に営業していたつもりだったんですが、テレアポを取った先が実はそのグループ企業の本社だったんです。「うち1500店舗あるんですが」と言われて始まて気がつきました(笑)。その後、担当者の方と話していくうちに正式に採用してくださることになり、それには法人を作る必要があると言われて法人を作った、というのが初めてのビジネス経験です。

ずっとやりたいと思っていた認証事業はできずにいましたが、ある時、知り合いの起業家経由で今のCTO(現Quwak CTOの水野さん)と出会いました。彼は、認証プラットフォームという私のアイデアにとても共感してくれて、「一緒にやりたい」と言ってくれたのが大きな後押しになり、現在の事業を本格的に始めると決意しました。

夢は「世界征服」!

木村:まったく新しい認証プラットフォームを作るという大きなチャレンジですが、直近で乗り越えなければならないステップにはどんなものがありますか。

合田:まずは様々な人を「口説く」ことが必要です。実際にマイクロチップをカラダに入れてくれるユーザーも、それも認証手段として採用してくれる事業会社も、そしてそれを認める政府も口説くことが必要です。

また、いま課題に感じているのは、どうやってグローバルで勝ち抜くチームを作るかということです。本当に世界で戦おうと思うと、例えばアップルだとか、世界的な企業と人材の引き抜き競争をしなければいけません。その競争にQuwakがどう勝てるのか、ということを日々考えています。

木村:話していると、合田さんからとても強いパワーを感じるんですが、そのモチベーションの源泉は何なのでしょう。

合田:モチベーションは、「世界征服」です!例えばスマホやクルマなど、世界には「これがないと生きていけない」と思うようなサービスやプロダクトがたくさんあります。そのようなプロダクトはもちろん誰かが作ったものですが、私はなぜか、そのようなプロダクトを使うことで、そのプロダクトに支配されていると感じるんです。どうせ誰かに支配されるのであれば、そのプロダクトを自分で作りたいと思っています。マイクロチップがないと生活ができない、と色々な人が感じる世界を実現できれば、世界征服という私の夢も叶います(笑)。

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