言霊【秋雨】

　発した言葉通りの結果を現す力があるとされる、言霊。
その効果を信じている人は果たしてどれくらい存在するのだろうか。
デジタル化が進み、膨大な情報に埋め尽くされている現代社会において、
オカルト的とも捉えられる考え方には懐疑的な人も多かろう。

　しかし一方で、初詣には多くの人間が足を運ぶことから、古来より受け継がれる神的な考えは人々の心の奥底に強く根付いているといってもよい。
言霊、言霊、コトダマ……。

　というわけで今回は、言霊について少し考えてみる。

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　最初に、「言霊を信じますか？」という問いについて。
私の答えは勿論イエス。何故なら、願いを口にし、そして実現したことが
今までで何回もあるからだ。

　その代表格は大学受験だ。今から約2年前、受験勉強が佳境にさしかかっていた頃。私は気が触れたように勉強に取り組み、「俺ならできる、俺ならできる」と常に自らに言い聞かせていた。過酷すぎる受験勉強によって
精神が崩壊しており、自分はできるという暗示をかけなければ気を保つことができなかったのだろう。
（あの頃は本当にツラカッタ……泣）

　また、言霊とは少し違うが、参考書の裏表紙にマジックペンで「第一志望絶対合格！」「やればできる！」等々、自分を奮い立たせる言葉を殴り書きしたりもしていた。モチベーションを保つために考え得ることは全て試していたのだ。すげえなあ、とよく友人に感心されていたっけ。

　終わりよければ全てよしと言うべきか、私は無事に千葉大学に入学することができた。受験後の体感からして合格したのは奇跡以外の何物でもないのだが、今思えば言霊パワーが後押ししてくれたのかもしれない。

　もう一つは、先日行われた大学祭においての出来事である。今年の春、夏と失恋を経験した私は、「大学祭で新しい女子と仲良くなるんだ！！」と固く決心していた。決心するだけではなく、仲が良い友達に実際に言いふらしていたのである。「はいはい」「まあ頑張れよ」と友達は笑っていたが、私は本気だった。

　そして実際に大学祭を迎えたところ、宣言通り新しい女性の方と知り合い、食事に誘うところまで行き着いたのである。そんなナンパ紛いのことが自分に出来るとは。大学入学時の自分には到底想像出来なかっただろう。自分のやったことに自分自身めちゃくちゃ驚いてしまったのだ。
まさに有言実行、言霊パワー全開である。

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　さて、ここまでの文章から「言霊は最強！　言霊は願いを叶えてくれるんだい！」的な雰囲気が漂っているが、私は決してそんなことを言うためにキーボードを叩いているのではない。というかそんなことはありえないのだ。
そもそも、言葉にするだけで何でも願いが叶うなら、人生はひどく退屈で空虚なものになってしまうに違いない。

『言葉＋努力＝言霊パワー』

　その上で、私が導き出したのがこの方程式である。つまり私が言いたいのはこういうことだ。願望を実際に口にすることで自分を奮い立たせ、モチベーションを高めて努力を重ねる。その結果行動に結果が伴い、振り返って「言霊の力だ！」と認識するのである。
それが言霊の正体だ。

　とあるボクサーは、試合前に挑戦的かつふてぶてしい態度をとって良い意味でも悪い意味でも世間から注目を浴び、練習しなきゃいけない状況に自らを追い込み、自分を奮い立たせて結果を残したと聞く。
言霊も似たようなものなのだと思う。
まずは言葉にして、それを叶えるために行動する。
至極簡単なプロセスの上に言霊という概念が成り立っているのだ。

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　言霊に関して自分なりの結論は出した。

　最後に自らの願いを言葉に変えて叫び、この文章を締めくくるとしよう。

「絶対に小説家になる！」
「幸せな人生を送る！」
「著名人になる！」
「彼女を作る！」

　思いは言霊に乗せた。
　あとは、努力あるのみ。