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「U-NEXT Pirates」Mリーグ2021大航海日誌(2)~10/22瑞原選手視点~

2021/10/22(木)
U-NEXT Pirates(以下、パイレーツ)にとってのシーズン6日目。

シーズン序盤ではあるが、これまでチームを牽引してきた船長・小林剛選手がマイナス107.1ポイントと苦しんでおり、チームポイントもマイナス。
小林選手が復調するまで、他3選手でプラスを積み上げたいところだ。

第1試合を任されたのは瑞原明奈選手。

ここまで2戦は2着キープ。自身3戦目、できればトップが欲しいところだ。

「あきなーーーーーーー」って、どこかで誰かが叫んでいる気がした。

このnoteで取り扱う内容について(再掲)

基本的に麻雀の細かい話については自分の勉強用で、選手の打牌選択に異論を唱えるものではありません。〇〇選手はこういう思考だったのかな?自分だったらこういう思考で別の選択もあったかもなということをアウトプットしたいだけです。それ以外の部分はファンやサポーターのみなさまと喜怒哀楽を分かち合うために書いています。「」内は自分の心の声です。

牌譜はMリーグ公式の牌譜ビューワを使用し、スクリーンショットの画像で引用させていただいています。

第1試合

東1局

緊張の配牌~第1ツモ。

「ツモ!」

って、言えたらどんなにいいだろうか。
日清食品様から副賞として「日清焼そばU.F.O.一生分」がプレゼントされる。一生分って何個やねんって思ったけど、しっかり定義づけされていた。

※一生分=365日×(日本人平均寿命-地和和了時点の選手年齢)

日本人女性の平均寿命は87.74歳だって。めちゃめちゃもらえるやん!
地和をアガったら、87歳になるまで毎日U.F.Oを1食ずつ食べなければいけないと考えるとなかなか大変な話だなと思った。

「ツモ!」はならなかったが、明らかにマンズのホンイツがみえる好配牌である。ここは当然ピンズに手をかける一手。

5pから切るとモロに手役を狙っている感が出るので打8p。こう打つ人がほとんどな気がする。

ちなみに相手からみると第1打の2・8切りは保留の手で、役牌トイツを保有している可能性が通常時より上がるらしい。たかちゃんねるで多井プロが言ってた。第1打で1(9)が切られているときに4(6)を持たれているのと同じくらいの確率らしい。30%くらい?本当に困ったときの読み材料として覚えておきたい。

まあここまで整っていることはレアケースで、役牌トイツのしょぼい手(ゆうせーさんの本に書いてあった)のことも間々あるから、高いとは限らない切り出し。

自分もおそらく8pを切る。どうしても引っかけたい相手がいるときは西を切ることもあるけど、やりすぎの部類。自風の西の重なりを逃したら痛すぎる。

2mをポンした後、1mを引きテンパイ。全然ホンイツに見えない河である。
いちおうカン8m待ちと4m發のシャンポン待ちが選べるが、發でアガるとマンガンのため4m發のシャンポンに選択。

全然ホンイツのテンパイにはみえないし、中盤までは發の出アガリも十分に期待できそう。

「チャンスー!!!」

日向選手からリーチが入り、三色含みのイーシャンテンで粘っていた瀬戸熊選手から發が出た。瑞原選手が8000点のアガリ。
シーズン初トップに向けて幸先のよいスタートとなった。

「ナイスーーーーー!!!」

東2局

ドラなしだが形はよい。途中でドラの2sや赤5を引く可能性も十分にあるため、素直にリーチ手順を踏むのがよさそうだ。

あっさり7pを引いてイーシャンテン。手なりなら3sとなる場面だが。

6sを先に切ってリャンメン固定。6sと北の重なりはリーチのみになるため、三色・ドラ引きの打点上昇変化がある3sを残した。
6s自体中盤以降危険度がかなり高まるということもあり、かなり実戦的な一打だと思う。ドラが1枚あれば判断は異なったかもしれない。

親の丸山選手から2副露入ったが、5mをツモって北切りリーチ!5巡目の6sが引っかかっており、6s→3sの切り順から、8sは盲点となりそう。

6s先切りはたまに赤5sまたぎの47sには当たる可能性あるが、8sは何かしらの理由があって固定していた時しか当たらなそうだ。今回がそうだけど。

テンパイをしていた丸山選手から8sが打たれ、2000点のアガリ。

「いいよー!!」

東3局

持ち点が36000点となって迎えた親番。リーチまではいけるかもしれないが、手牌にドラがなく先手をとれるか微妙な手牌なので、相手の押し返しに注意しなければいけない。

いったんオタ風の西から。未来予想図が立てにくいときはとりあえずオタ風から切っておけばそれほど間違いはないと思う。ドリームズカムトゥルー。

するするっとまとまって7mツモでテンパイ。どうする?

カン4mで取りダマとした。これはけっこう難しい選択だなと思った。
自分は何が正解かわからない。

不特定多数相手のフリーならリーチまである。なぜなら相手が見合わない手で強引に攻め返してきて、4mで討ち取れる未来もあるからだ。しかし見合わない手での押し返しが少ないフィールドで、親とはいえドラなしリーチのみ愚形46待ちはかなり最悪に近い。5も近しいけどいちおう赤がある。フリーではリーチ上等となりやすい愚形ドラ1でもけっこう微妙である。

テンパイ外しをするということは9pを残すということで、57p引きで両面変化があるが、ピンフ1ハンアップ+両面変化程度であれば、ドラ2m引きや赤引き、6s引きでのタンヤオ変化もあるし、取りダマがよいかもしれない。

親とはいえしょうもない手なので、4mダイレクトツモを逃すのもきつい。自分も取りダマにしそうだ。

次巡、6sをツモって考える。9s切りリーチでタンヤオをつけてカン4m待ちか、好形優先で打3mのリーチのみ58m待ちか。あるいは9s切りでタンヤオ変化させて取りダマか。

どれも微差な気がする。9s切ってヤミもありかな。出アガリ利くし。とりあえずカン4mはドラそば愚形で自分にドラがないという最悪な条件が揃っているから、リーチをかけるなら枚数的にも58m待ちに取りたい。見た目で赤5mも残っているし。

悩みぬいた末に58m待ちでリーチ。すると同巡、丸山選手から追っかけリーチが入り、ペン3p一発ツモ。

「うええええ、まじかー・・・」

ペン3pは最後の1枚だった。これはは丸山選手のリーチ判断がお見事だったとしかいいようがない。

ちなみに瑞原選手の長考リーチについて、傷になるという意見もあり、実際その側面はあると思うが、それは瑞原選手自身が一番よくわかっていること。それが傷になって失敗するよりも、ここで安易な選択をして失敗してしまうほうが後悔することが多い。迷ったら時間をかけて考えるべきだと思う。優先順位を間違えないことが大切。

丸山選手はドラドラなので、いずれにせよ即追いかけリーチが入っていたと思う。

東4局

次局、ドラ3でカン6m待ちでテンパイ。

1枚切れだが、役なしドラ3。これは自信をもってリーチ!

「これはなんだかいけそうな気がする~~~」

いったん8sトイツ落としで回った日向選手が再度テンパイを果たし、3sツモアガリで終局。赤5p引きで若干手牌価値が上がったところで3mをプッシュした日向選手のバランスがお見事だった。

「くやしいけど、次、次!」

南1局

「南入でーす。後半戦もがんばりましょう!」という声が脳内で再生されたが、Mリーグではそういう声はない。実況の日吉さんが叫ぶことも当然ない。これはどこの雀荘のコールだったっけか。

ここは1m切り。愚形がすでに複数個所ある場合は1mにくっつけてさらなる愚形を作っても厳しい。大切なことは中が出たときにポンをするかどうか考えておくことである。

4mを引き選択。4mと7mがかぶっているので受けが広いのはどちらかを切ることだが、愚形が多く目先の両面変化を求めたいところ。

ペン7sを払っていく。最序盤のペンチャンと孤立37のメンツ化率はほぼ同じくらいというデータがあったと思う。微差だが、個人的には瑞原選手と同様にペンチャン外しが好みである。

8sから切るか9sから切るかは、7sを引いたときにフリテン両面を残すか残さないかであるが、後手を踏みそうな手なので若干の安全度を重視したか。5sがあるので7sを引いてもカンチャンで使えるという点もある。

メンツが増えないまま中盤に入り、チートイツのイーシャンテンとなった。

チートイツに決め打ち打3s。4sが瀬戸熊選手の中筋、日向選手、丸山選手の片筋になっており、3人に対して無筋の3sよりやや守備力が高い。なんとなく外寄りの牌を残さないことが重要である。

丸山選手がリーチをかけて、1300・2600のツモアガリ。

南2局

ドラ表示牌が消えているが、ドラは6mでアンコ。終盤で58s北でテンパイしリーチ!

「頼む!お願い!!!」

これは日向選手と2人テンパイで流局。

日向選手は終盤メンホンチートイツのテンパイが入っており、途中で2pと8pの待ち選択があった。どちらも2枚切れで差がないようにみえる。

悔しいという気持ちとともに助かったーって思った。瑞原選手は大物手をなかなかツモれていないイメージがある。タクサンツモレールあげたい。持っていたら自分で使うけど。笑

南3局1本場

流局1本場で迎えた親番。ドラは9s。

すでに2メンツあり、先制リーチができそうな手なので、オタ風の西から打ち出した。

ピンフ効率だけみれば打中で西や北に雀頭を求めたほうがよいが、トータルではあまり差がつかない場面。中を第1打に切るとピンフになる可能性が若干高まる代わりに、場の警戒度も高まる&ピンフ系の手と読まれやすいというデメリットがある。

全部役牌から切り出す打ち方で成績を残している強者もいるし、人それぞれである。大切なのはそれぞれのメリットデメリットを把握したうえで選択をすること。絶対ピンフにしなければいけない局面ではピンフ効率を求めたほうがよいし。

マンズで4連形ができてさらによい形となった。どうする?

パッと見8p1枚切れをみて9pかと思ったけど、この場況だと8pがかなりよさそうに見える。8p引き9s引きで一気にピンフドラドラになるためその道は残したいと考えると打2sだろうか。

場況よしとしても8pが1枚切れている事実があるので、3s引きでの両面変化をみて自分は9pを打つかもしれない。

サクラナイツの堀選手はこういう28牌も抱えてギリギリまで両面変化を見るイメージがある。自分は堀選手に打牌指導を受けたことがあるが、無造作に中張牌の孤立牌を切ったときに「リャンメンを作りたいんですよ!」って強く言われてたことを鮮明に覚えている。それ以来自分はかなり孤立牌くっつきでの両面変化を意識するようになった。

まあ28牌は3~7牌と比べたら1種類しか両面変化しない弱いくっつきなので、好みの範疇だと思う。

打2sとした。8pの場況がよいことと9pが安全度が高くなりやすい牌ということでの選択だったと思う。ドラ色のソーズは場況よくなりにくいし。

4sを引いてどうする?

ここで9pを切った。中盤に入り、ダイレクトでリーチを打つ構えをとった。カン5sでもカン8sでもリーチになりそう。
しかしマンズの4567を持っているのでマンズが伸びたらソーズを切る予定だったのだろうか。

3sを引きどうするか。

47mの危険度がだいぶ高まっているので、先に4mをリリースした。ドラの9sを抱えているのが少し怖い場面である。

リーチをかけた瀬戸熊選手の1人テンパイで終局。リーチがかかってからは無理しないで~と念を送っていた。先制リーチを打てていた手順もあるため、ここは要検討したいところ。

「流局でオーラス勝負でもおもしろい。手入ってくれ~~!」

南4局2本場

配牌は自風の北がトイツだが、鳴くとトップまで届かないうえに守備力がなくなってしまう手牌。

白が重なって4トイツとなったが、678のメンツがあり、チートイツにはしたくない場面。

1枚切れの白をそのままリリースした。

「北があるし、1枚切れの白トイツがあるとむしろ遅くなるかもしれないからこれはよいかもー」

8mを引き、さらに強気な選択をする。北切りだ。

「すげええええええ」

瑞原選手のトップへの執念、昨シーズンからの変化がみえた瞬間だった。同じ戦い方じゃ勝てない。強い私でいよう。そういう決意の打牌だったと思う。

ドラなしでパンパンにして攻めるのはかなり怖いけど。

678の三色がみえる手牌だったが、25sの両面とリャンカン残しの選択。

4枚目の4mを持ってくる。

「うおおおお、なんかわかんないけどすごい!」

丸山選手はかわし手を作ることはあるけど、無理してトップを狙わなそう。マークすべきは3着目の日向選手とラス目かつ親番の瀬戸熊選手である。

マンズの真ん中がたくさんあるけど、2人に対してはかなり通りそうだ。

応援しているときは熱くなっているので捨牌とか細かくみえていない。だから怖いと思った。今みたらあんま怖くなかった。笑

「こうなったら全力でトップ狙いだー!!!!」

恐れていた瀬戸熊選手と日向選手からリーチが入る。親の瀬戸熊選手は赤5mを早々に捨てていて、しょうもないリーチではなさそう。それに対して追いかけた日向選手も逆転手が入っているだろう。

さすがに2軒リーチに対してトップ狙いを続けるのは無理と判断し、丸山選手から打たれた5mをチーして25s待ちテンパイ。冷静である。

すぐに2sを日向選手からアガリ終局。瑞原選手のシーズン3戦目も2着キープで終わった。

「よかったーー!!」

この局の思考については路上感想戦で触れられている。

「2着ナイスー!!!!めっちゃかっこよかった!!!」

おわりに

瑞原選手、最高にカッコよかったです!!

パイレーツは昨年までとは変わらない闘い方をするとファンミーティングで木下監督がおっしゃっていましたが、瑞原選手は自身で何が足りないのかを考えて、対Mリーグver.3を作ってきたように思います。
オーラスの強気な手組は着落ちのリスクよりもトップの価値に比重を置いた結果でしょう。2→1の+40ポイントは大きい。

魅せる麻雀、強くてポイントを稼ぐ麻雀、論理的な説明、ファンへの対応、これらをすべて兼ね備えることができる可能性があるのが、瑞原選手だと思っています。

自分は終わったあと友人に「瑞原さん、らしくないんじゃない?」ってメッセージを送ってしまいました。送った瞬間に反省しました。らしくないってなんじゃと。信じて応援すると言っておきながら、自分が瑞原さんのことを信じ切れていないのではないかと。

ううん、信じてる。少し心配になっただけ。

ファンがネガティブになってどうすんねん。自分が出来ることは、力の限り応援し続けることだけ。

瑞原さんファンの方は、一緒に叫ぼう。

「あきなーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」

余談(瑞原選手の通り名について)

ダメ?FF7の「レッドXIII」みたいでカッコよくない?
瑞原さん採用してね💕

おしまい。

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