2021年3月のお薦め本
一ヶ月が経つのが早い。あっという間ではないか。1ヶ月に読んだ本を紹介するこのNOTEも、始めたばかりのつもりが気がつくと3回目になっている。
でも、本を読まなかったかというと、そんなことはない。同じく「百冊挑戦」を試みている山崎亮さんや筧さんと、同じペースでは読んでいるはず。
というか、実はこの歳になって読書にはまっているのだ。
気に入った本があったら、同じ作家の本を続けて選ぶことができる。例えば、村上春樹の数々の名作翻訳シリーズや、國分功一郎が今までに書いた著書などの中から、「どれにしよう?」と選ぶ必要がなくなった。だって、全部読めばいいのだから。これは大きな気持ちの変化。
それから外人の本も、ときどき読みたくなる。今月だと、ハーディ傑作選、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』。それから韓国作家の『アーモンド』。独特の翻訳本ならでは雰囲気があって、好きなのだ。
ということで、3月に読んだお薦めの本を並べてみる。
1. アーモンド (お薦め度:★★★★☆)
「本屋大賞」に目がなくて、先入観なく取ってみたら、想像以上に読みやすく、展開もわかりやすくて、なるほどと唸った一冊。扁桃体が人より小さくて、恐怖を感じることができない高校生が、母親、祖母、友だち、そして徐々におぼろげに恋心を覚えていく様子が描かれていて、一気に読むことができる。「韓国だからな〜」と意味もなく偏見をもっていた私、反省しなさい!
2. 呪われた腕 ーハーディ傑作選 (お薦め度:★★★★☆)
村上春樹の「特別解説」に惹かれて買った一冊。ちなみにトマス・ハーディは英国生まれで、表紙裏には由緒正しそうな顔が載っている。が、しかし堅苦しい論文かというととんでもない!つらつらと、船乗りになってなかなか帰ってこない旦那とヤキモキして待つ奥さんの話や、ドイツ兵に心惹かれ駆け落ちも考えるがやはり決意できない女性との切ない話など、2-30ページの短編で一生を描いてしまう潔さが、逆に心地よい。
3. 庭とエスキース(お薦め度:★★★★★)
本を読んでいて泣いてしまうことがある、そんな体験をさせてくれた一冊。若き写真家・奥山淳志さんが、北海道に住む80歳を越す弁造さんの姿を10年以上にわたって撮り続け、そして突然でもあり当然でもあるさよならに、彼の亡き後に気持ちの整理をしながらまとめたルポタージュでもある。奥山さんは作家ではない、写真家だ。でも弁造さんを取り囲む「自給自足」がどれだけ手間がかかり、時間がかかり、弁造さんを励ましつづけ、そして切ないものか。その足どりは、写真ではなく、奥山さんの目で語られている。いや、奥山さん自身が共に体験したのだ。そう感じずにはいられない、めったにない良書である。
4. はじめてのスピノザ ー自由へのエチカ(お薦め度:★★★★★)
國分さんの本も、今月で3冊目。彼の話法にもだいぶ慣れてきた。哲学者といえば、私の若い頃、柄谷行人が人気だった。何を隠そう、私も随分読んだものだ。でも國分さんとは随分、語り口が異なることに気付いた。柄谷行人はとにかく回りくどい。簡単なことも、見事なくらいに難しく説明する。國分さんは哲学としての正しさを尊重しつつも、必ずその後に例文を示し、スピノザ、ハンナ・アレント、デカルトなどの思考を紐解いてくれる。時代の流れは、もちろん國分功一郎を推している!
5. さいえんす川柳 (お薦め度:★★★★☆)
気分転換に、さいえんす川柳はどうだろう? 私の場合、電車の中で読みはじめたのだけど、思わず吹き出ししまい、慌てて声にならない声で「すみません。。」と謝らなければならなかったほど、ツボにはまった。
「あぁ、その日?
俺はいいけど
ハエがダメ」
ショウジョウバエで実験をしている科学者の姿が目に浮かぶでしょ。
6. キミは珍獣と暮らせるか?(お薦め度:★★★☆☆)
飴屋法水さんが、動物堂という動物ショップを経営している時に書いた本。先月、飴屋さんの『彼の娘』を読んだのだが、「もっと前に書いた本の方が面白いかもよ」と言われ、手に取ってみた。動物を売るという行為がいかに非合理的で暴力的なことか、動物を知っている飴屋さんだからこそ語れる実話がたくさんあった。
「どれも、ひとつも、正しくはない。それでも飼えばいい、と私は思う。飼って、飼って、飼いまくって…そうやって狂いながら、どうか見つけて欲しいと思うのだ。かろうじて節度と品格のある狂い方を」
最後の言葉に、想いがこもっているような気がする。
7. これからのデザイン経営(お薦め度:★★★☆☆)
8. キャッチャー・イン・ザ・ライ (お薦め度:★★★★☆)
9. しろひげ在宅診療所 (お薦め度:★★★☆☆)
10. 自民党 (お薦め度:★★★☆☆)
ああ、23時を過ぎてしまった。もう寝る時間だ。もう少し読んだ本があった気もするけど、思い出したら来月のリストに加えることにします。おやすみなさい。
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