見出し画像

バレンタインデーの、文字通り苦い思い出


小学生だった頃の笑い話である。
私は休日のキッチンで1人、鍋と対峙していた。

リビングには家族がいた。
「何作ってるのー?」「教えないよ!」
こんなやり取りをしながら、わくわくして鍋を見つめていた。

私は父親と弟にバレンタインのチョコレートを渡そうとしていた。
市販の板チョコを鍋で溶かして、ハート型に固めて渡そうという計画であった。

これが、お察しの通り、見事に失敗したという話だ。

今の小学生ならスマホでググるかもしれないが、当時はぎりぎりその世代ではない。
その上、「チョコを溶かして固め直すだけなら当然美味しい味のチョコが出来上がるだろう!」と思っていた。
料理好きの方ならご存知の通り、恐らく高温で煮詰めすぎたのだろう、
出来上がったチョコは表面がブツブツ&白い&まずいという、
ハート型であることだけが救いの、いや、救いようのないお菓子だった。

渡した後に発覚したため、泣きながら「全部私が食べるもん!!」と言ってチョコを取り上げ、悔しい思いをしたものだ。
食べてみるとまるで罰ゲームの味。
甘さゼロ、苦くて、もさもさとしていた。(好きな人にあげなくてよかった)

以降、失敗しない無印良品のキットに助けられてなんとかやってきた。

そんな苦味も、今日の料理を引き立てるスパイス。
今は人並みに料理をするが、両親にご飯を作ると、この話題でよく一笑い、二笑いするのである。

#料理はたのしい

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?