クラガンウィックの持つ二面性と変遷 ~手綱は緩める方が難しい~

4マナ、パワー5、タフネス4。
リミテッドならば採用されるスペックだ。
スタンダードだとしたら?
バニラなら、もうお呼びが掛からないだろう。
もはや、パルデュビアの大群が盤面を止められる時代は終わったのだ。
ましてやモダンの場合、4マナパワー5にデメリット持ちなんてデッキに入れるのも憚られる。

かつて、モダンは4ターンキルフォーマットと呼ばれていた。
もしそれが真実であったのなら、4マナ非速攻クリーチャーなんてものは何もなしえない。もちろん現実的に考えると、長引くことはあったのだけど。

とはいえ、相手が回ったら、場に出すことなく終わりうるカード。
それが、モダンの4マナ域なのだ。

では、ここで仮定の話をしよう。

その4マナのクリーチャーに「場に出たときにあなたはゲームに勝利する」と書いてあったとしたら?

実は私は、一番早いデッキを作りたいと思ったことはない。

その願いは貪りなのだ。
強欲なんてものはいつも、カジュアルプレイヤーの身を焼き焦がす形をしている。ルナチャン調整で痛いぐらい思い知ったことだ。

夢の跡


そんな私が求めるのは、相手よりほんのちょっとだけ早いデッキ。
生き延びて、死ぬほんのちょっとだけ前に、相手の首を刈るようなデッキ。

「クラガンウィックの死体焼却者」には、私の求める夢の全てが詰まっていた。


コンボ全振りしたら早い紙束なんだが

cipで人を潰せるカードは限られている。場に出た、唱えただけで勝てる4マナ以下のカードはmtgモダンにおける貴重な資源なのだ。
特に、更地の場に降り立った瞬間勝てるものは珍しい。

クラガンウィックの死体焼却者、着陸。
捨てるのはセラのアバター。本体20点ダメージ。


ええ……(困惑)

まあ冗談みたいな絵面をしてやがるが、可能性だけは認めざるを得ない。
先程貴重な資源とまで言い切ったのだ。少しは考察をしても罰は当たらないだろう。
まず、コンボとしてのクラガンウィックの特徴を挙げてみよう。

ひとつめ、クラガンウィックはcipで本体火力を飛ばすコンボである

しばしばクラガンウィックコンボはブリーチエムラの下位互換と誤解されてきた。そもそもマナ域とカードタイプと知名度が違う(そしてこれが思ったより大きかった)のだが、理由となるのはそれだけではない。

例えばブリーチなら、エムラを出して殴ったところで、神聖な協力を撃たれたら相手を倒すことはかなわない。そもそも罠の橋が相手の場にあったらゴミだ。(グリセルブランドを除く)

一方、クラガンウィックはどちらの場合にも相手に火力を飛ばしてくれる。それで勝てるのならば、本体火力は殴る手間がいるカードの上位互換になりうる。

ふたつめ、もう一方のコンボパーツを場に出す必要が無い
先ほど引き合いに出したブリーチは5マナのカードだ。もちろんモダンには4マナ以下での2枚の無限コンボが既に複数存在する。例えばデボーテコンボ、あとサヒーリフェリダーとか。

2マナ×2マナ+α、3マナ×4マナ


しかし、例えばサヒーリフェリダーは両方のパーツを場に出す必要がある。必要なマナはそれらの合計値になるため、見た目より重い。もう一方の例として挙げたデボーテコンボはカンパニーで2枚抜きしやすいだけで、実質3枚コンボだ。何を言ってるか分からない? ブルースティールでピリパラコンボ使えば分かるよ。


それに比べてクラガンウィックのコンボパーツは手札から捨てるだけ。除去も当たらないしマナも掛からない。
なんと、現代に蘇った双子は、思わぬところに存在していたようだ。

ハンデス?
動じない大ワームの横にまともなカードがあったらそっちを捨てるでしょ?
 
実際砲弾の見た目がアンプレイアブルカジュアルクソカードなお陰で、コンボパーツの割にハンデス回避することは度々あり。結構いけるんじゃね?

みっつめ、ランダム。

「予想外の結果!」(SE)

なんだ、ただのブリーチの下位互換か。

待って。ブラバはやめて。ちょっとだけ話を聞いて。

確かに手札が7枚あったとしたら、大ワームを2枚持ってたとしても本体火力の成功率はおよそ3割ぐらいだ。一流バッターの方が打ってくれそうだ。

とはいえ、それは感情的な評価でしかない。
客観的に考えれば、手札にカードが7枚あるタイミングなんて、ゲーム開始時ぐらいのものだろう。

例えばミシュラのガラクタ。
シュート時には邪魔にならず、準備が整ってないときはカードに変換できる。

例えば猿人の指導霊。
いつでも赤マナになって手札から消えてくれる。

この時点でデッキの朧気な形が見えてくる。
コンボオールインを組むのなら、デッキはコンボパーツ以外は軽かったり手札が減らせたりするのが望ましい。
つまり、こうだ。

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ぼくのかんがえたさいきょうのデッキコンセプト

クラガンウィックの死体焼却者 4
パワー20の紙きれ 4
歌って踊れてドローできてマナにもなる霞 52

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結局、モダンの0をかき集めても不可能な願いだけが残った。

それは仕方ない。
(もともとコンセプトが破綻しているのだ)
とりあえずたたき台としてマナ加速とかルーティングとか入れてそれっぽく組んで……

1日のやり直しを撃たれた瞬間変な汗と動悸が止まらなかった

あれ? 思ったより回るな?

キルターンのカタログスペックは4~3.5
シングルエリミでは徳が足らず、2/3のシュートを2連続で外して3回戦で散ることになってしまった。
それでも速度だけはモダン標準を突破しているように見えた。

(実はこの少しあとに進化搭載型のオールインクラガンウィックも組んでいた。後述する問題点は改善できておらず放棄したが、キルターンはこっちの方が早かった)

なるほど。思ったよりこのデッキはやれるのだ。
そう思った私は、フレンドリーリーグにこいつを放り込んでみた。
結果は、1ー4と2ー3だった。

やっぱりゴミじゃないか(歓喜)

言い訳すると、当時の環境も悪かった。

解禁:血編みと神ジェイス

この頃のモダンは、ジャンドと青白の海と化していたのだ。
介入手段の多いこれらのデッキが、オールインクラガンに勝つために必要なカードはたった4枚。
撃たれるハンデスまたはカウンターを乗り越える術を、私はこのデッキに持たせていなかった。

結果論、デッキの52枚を霞にするのは失敗だったのだ。
そのうえ、ランダムが牙を剥いてシュートを外すことも珍しいことでもない。このデッキの価値は、オールインのクラガンに依存していたが、こいつがやはりというか、結構外す。
ランダムは思っていたより当たるが、思っている以上に信用できないのだ。

しかし、この経験は無駄ではなかった。
なぜ青白コンに勝てないのか。
直接的な原因はシュートをカウンターでブロックされるからだ。
ならどうしてブロックされるのか? 
52枚の霞に、相手をメインでタップアウトさせる(つまり、全体除去を切らせる)圧力がないからだ

この思考の結果、クラガンで青白コントロール相手に勝つのはそこまで難しくないと私は結論付けた。
当時の青白コントロールにはテフェリーがおらず、全体除去は評決が主に採用されていた。(霊廟の放浪者で打ち消せないバグの修正はまだですか?)ならば、2~4ターン目までに囮の肉を出しつつハンドを減らし、タップアウトでの評決を釣る。
返しにクラガンウィックで本体大火力を叩き込む。

これならいけるはずだ。
(まだ魂の洞窟とかいうオールインならば神になるカードに気がついてない。結果的には気が付かなくてよかったのかもしれない)

つまり、現在のデッキは軽すぎるのだ。
私は再び鉛筆を取る。
描く青写真は、こんな感じで。


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クラガンウィックの死体焼却者 4
なんかデカイ砲弾 4
土地とか相手にタップアウトしてもらうために先出しする囮とか 52

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解読不可能。ヴォイニッチ手稿か何かかな?

まあ、出来る限りのことはやろう。
少なくとも、オールインのクラガンはダメだった。
でも、クラガンウィック自体の力を諦めるには、まだ早い。

2.ビートダウンの中押しを兼ねた
過労死コンボパーツ 

「4マナ5/4のクリーチャーに本体5点火力が着いてたら、結構強くない?」
クラガンで手札に余ったクラガンを捨てる、ということは度々起こる現象だった。
その場合は、2マナ5/4+2マナ本体5点火力の2枚のカードと言えるのではないか。
どちらもモダンにあれば一戦級のコストパフォーマンスといえよう。セラの復讐者みたいなデメリットが付いてるけど、そこは気にしない方針で。

ところで、まるで気軽そうに言ったビートとコンボの融合。
それでは、今のモダンでビートダウンとハイブリッドする、ということはどのようなことを意味するのだろうか。

例えば紛争Zooを母体とすれば、4マナまで伸びないだろう。
ならばとマナ域的に一番近いはずの重Zooの方を見ると現在大絶賛死滅中だ。

悲しいことに、モダンで素直な純正ビートダウンはもうほとんど息をしていない。
結果を残してるデッキは、その中でも撹乱的アグロまたは4キルベースのスピードを持っているコンボに寄ったデッキだった。5C人間とか親和とか。
結局、デッキベース設計を含めて自作するしかなかった。
……というところで、クリーチャーコンボ御用達のあるパッケージに思い至る。

頑強、不死、トークン生成生物+異界の進化パッケージ

特に、絡み根の霊の存在が、私の背中を後押しした。

京町杯2回戦の引導火力

相手目線の動画

セバタークラガンウィックを既に組んでたとは思ってなかった


もともとのオールインクラガンでも、アグロ相手に時間を稼ぐために絡み根の霊はサイドに4枚取られていた。
こいつはチャンプブロッカーを兼ねつつ相手のライフを調整する力が高く、メインで使いたいと思わせるだけの存在ではあった。(ただし、デッキ全体で見た場合、これはデッキの欠陥をサイドカードで無理やり改善しようとする悪例のひとつでしかない)
おそらく、マナシンボルが違えばもっと使われていたであろう1枚だ。
ただ、唯一の問題点として、非力なことだけが気がかりだった。

早いし粘れる。しかし、パワーは2~3。
同じ2マナ域のタルモゴイフはパワー4に簡単になる。
それを考えると、どうしても優先順位が落ちる気がする。
1マナから出てくるナカティル相手に相打つことすら一苦労なのだ。

されど速攻パワー2。進化でサクった後ならパワー3。
異界の進化でクラガンウィックを持ってきて15点飛ばす前提ならば、これほど適切なカードはない。
4~5点削って、圏内にライフを押し込んだらチャンプで時間を稼いでエースにつなぐ。そのうえ、プッシュ稲妻1枚では落ちない。ゲームプランの変化に対応する能力は、絡み根が一番高いように見えた。想定されるゲームプランにおいて、タルモでは鈍重すぎる。

今回、その絡み根と相性が良い進化を使う、というところまでは既定路線だった。
また、どうせコンボで勝つのであれば、2マナのクリーチャーは異界の進化で使い捨てても良いということになる。
オールインクラガンのベストパートナー、獣相のシャーマンを余った2マナ域に4枚投入することにした。
3マナ域は……キッチンとかで埋めてみようか。
キッチンは3マナパワー3、非速攻。遅い。
しかしこのデッキのビートダウンプランは、結局ライフを削って圏内に押し込みつつ、青白相手にフルタップさせるたいというのがスタート地点なのだ。
弱くても仕事をしてくれれば、文句を言う気などない。強欲は善かもしれないが、身を滅ぼすのだ。

クラガンウィックの死体焼却者 4
パワー15の安定した砲弾 3
パワー1~20の不安定な砲弾 1
絡み根の霊 4
獣相のシャーマン 4
異界の進化 4
稲妻 4
肉っぽいなにか 16
土地っぽいなにか 24

ちょっとは見れる何かになってきた気がする。
その後ちょいちょい一人回しで修正して、こんな感じになった。

まだ紙束


このクラガンのフレンドリーリーグ一発目の戦績は3ー2だった。
経験則だが、どんなに粗削りでもそこそこ優秀なコンセプトを持っているデッキは、フレンドリーリーグで勝ち越す。
とりあえず、論外というわけでは無さそうだという感触は得られた。
しばらくこれをちょいちょい弄りながら回していたが、割と重大な問題が2つ浮上してきた。

まずひとつ目。
もう1つの仮想敵。ジャンド系にあまり勝てていなかったのである。

考えてみれば当たり前の話で、多少肉を増やしたところで、それがタルモに踏み潰されるサイズなら、時間は稼げてもシュートしないと勝てないといった問題は改善されない。
勝率は3~4割。決定的にどうしようもないわけではない。
ならばその原因は、肉の選定にあるのではないか。
実際、初期はカードパワーより場持ちの良さに重点を置いてカードを選んでいた。
それが、カードパワーの高いデッキである対ジャンドにおいて、ウィークポイントとなっていたのではないか。ならば、カードパワーの底上げを狙おう。
候補は、タルモゴイフ、漁る軟泥、不屈の追跡者。
選んだのは漁る軟泥と不屈の追跡者。
全部を積めるだけのデッキスペースはなかった。
ならば、相手のタルモゴイフを無力化しうる軟泥を優先する方がスペースの節約になる。
トラッカーは出してフェッチを切るだけで1対3交換が確定するが少し重い。まあ2~3枚も積むぐらいの余裕はあるはずだ。
実際、この改造案によって、対BG系列の戦績は劇的に改善した。
ハンデスでコンボパーツを抜かれると相手の重さを支え切ることができなかったアグロクラガンが、逆にジャンドを自重で押しつぶし始めたのだ。

マナスクリューは悪化した(爆)


そして、もうひとつの問題点。
先程言った通り、マナスクリューがすごく多い。
このデッキ、土地は24枚前後で回していたが、その枚数ではなかなか土地4までストレートに伸びてくれないのだ。
もちろん手札に土地が余るのは大変まずいことだ。
しかし、マナスクリュー状態ではクラガンのキャストどころか、その手前のハンドを捌く段階すら乗り越えられない。
引いて許される土地枚数のレンジが狭く、マナソースとしての土地をストレート土地4安定枚数まで積めないことに起因していたこの問題。
一応追加のマナソースとしてオールインクラガンの名残で猿人の指導霊を使っていたが、あるときふと気がついた。

「そもそも、緑のマナクリーチャーを使わない理由って無くない?」

それは、あまりに大きな凡ミスだった。
マナクリーチャーは継続的にマナを積んでいくことができる上、土地のように手札にかさばることがない。
本来、コンボチックなデッキは自分の動きができたら勝つからマナフラ気味に組むべきなのに、クラガンの特性自体が手札に土地を余らせることを許さないジレンマを解消できた瞬間だった。

まだセラのアバターが残っている。ガルタはドコ?

オールインにこだわっていたら、こうはならなかった。
別に、オールインすることが悪な訳ではない。
ただ、道具の特性が、オールインに適しているか、否か。
それを見極める必要があるというだけなのだ。

3.ビートダウンプランの補強と蛇足

ドミナリアの発売により、青白は劇的に強化された。

どうして土地が起きるんですか?

ドミナリアの英雄、テフェリーの採用はこれまでのクラガンウィックのゲームプランを否定するものだった。
相手がフルタップしてこないのである。
そもそも対青白は、ビートダウン、シュート、月メイガス嵌めの3つの手から一番効く手で攻めて2ゲームむしり取るマッチアップだ。
どこかで隙を見せた一瞬を狙い撃ちにするものなのに、その隙を相手が見せてくれない。
また全体除去の終末への切り替わりも着々と進んでいた。

どうして1マナで撃てるんですか?

以前は有利だった相性が、少しずつ悪化し始めていた。
もちろん、黙ってみていただけではない。
まず、魂の洞窟をメインに採用した。
え、クラガンウィックは種族統一が殆どされてないだろって?
INS-RTR期のスタンダードでは種族統一がされてないミッドレンジに魂の洞窟が入っていることを確認した私に隙はない。
例え崩壊する痕跡になろうと、魂の洞窟採用で青白コン(あとリマンド撃ってくるストームとか)にクラガンウィックを押し通せるようになるのならば、それだけのリスクをとる価値はある。


偶然の一致

ちなみに私はサイドにも1枚魂の洞窟を置いていたが、青白相手以外にもたびたびサイドインしていた。
具体的にはジャンドのような、マナクリーチャーを抜きたいマッチアップでのマナスクリュー軽減として使っていたのだ。
お気に入りのサイド枠だったが、正しかったのかどうかまでは分からない。

もちろん、悪いことばかりではなかった。
クラガンウィックの3マナ域の弱さ。
キッチンがアグロ向きではなく、トラッカーは重い。
そういった問題点を改善するカードが、ドミナリアには存在していた。

魂の洞窟+トリプルシンボル? こいつシャーマンだっけ?

もちろん、マナベースに深刻な問題を抱えうるという点は否定できない。
まあ、魂の洞窟は崩壊する痕跡ではあるのだ。
とりあえずエルフを指定して鉄葉を出しておいて、赤のダブルシンボルの捻出は後でトップした土地に任せてもいいだろう。
そもそもマナクリーチャーが6枚入っているのだ。なんとかなるだろう……というかキッチンがアグロプランでやっぱり弱すぎて例えマナベースに多少問題抱えようがコイツじゃねぇとカードパワーが違いすぎるんだよクソが。
つまり最近のスタンダードあるある、よくばりマナベースの先取りである。
もしグルールの呪文砕きがこの時期にあったら、そっちを採用していたことは言うまでもない。

まあ口先だけで事故原因にしかならなかったらこいつはすぐに抜けていったのだろうけど、結果として私以外のクラガンウィックユーザーが鉄葉の有用性をいち早く見出してくれた。
そもそも月メイガス使うデッキなのにマナベースヤバすぎだろとたたらを踏んでいた私も、採用したらもうコイツの居ないクラガンウィックが想像できない中毒状態に陥った。それだけパワー5の回避能力持ちはビートダウンにおいて優秀だったのだ。

以前のクラガンウィックは、コンボが無ければ5.5~6キル程度の鈍足を、シュートと月メイガスやサイドカードによるハメ技で補うデッキだった。
しかし、鉄葉採用でそれががらりと変わった。
そもそも、相手が何もしなければ2ターン目鉄葉だけて5ターン目までに15点稼いでいるのだ。
どこかで適当な妨害カードを放り込むだけで、様々なデッキに対して間に合うスピードをクラガンウィックは手に入れた。
絡み根進化の相方を横断地のクロコダイルから狩猟の統率者、スーラクに入れ替えたのもこの少し後だ。

カードパワーの差が大きすぎて発狂した

絡み根+異界の進化だけで、スーラクならば4ターン目までに18点入る。
しかもスーラクは後続に速攻までつけてくれる。
4キルラインを大幅に緩和してくれるのだ。
オマケとして、何故か場に出たガルタが、速攻を得て走っていくのだ。
クロコダイル君はストレージで永遠の眠りにつくことが確定した。

それから少し後に、モダンでのPPTQに参加するようになった。
そこそこまめに参加したつもりだが、結果としては勝率5割ちょっとでPPTQ抜けるのは厳しかった。エイトに1回残ったが、結局1回戦で、私は緑白カンパニー相手に順当に負けた。

そう、この頃流行っていたのは、鱗親和と緑白カンパニーだった。
クラガンウィックはどちらに対しても不利なデッキだった、


さて、PPTQシーズンの終わりごろ。
減衰のマトリックスを採用して両面撃破を狙うも、こちらの獣相やウーズまでもが機能停止してしまい、目覚ましい効果は得られなかった。
しかし、私はふと気が付いた。
このころは、タッチ白をするか否か、悩んで赤緑を使っていた時期だ。
鱗親和も緑白カンパニーも、クリーチャーの起動型能力を使ったコンボだ。

つまり、こういうことである


マナベース? 知らんな?

まあ、だいたいは異界の進化経由で場に出すため、シンボルは気にならない。コイツをサイドインするマッチアップはマナクリを残すことが多いため、白のダブルシンボルはタッチ用の寺院の庭にマナクリ、あと魂の洞窟指定天使などを使って捻出できないこともなかった。

さて、こうしてクリーチャーコンボとの相性は改善した(鱗親和にはかなり有利、緑白カンパニーにはちょい不利)がグリ影には勝率3割程度(改善できる気がしなかったので無視)だったのが足を引っ張り、私はPPTQを抜けることができなかった。結局は、その程度のデッキではあったのだろう。


さて、時はまたすぎてラヴニカのギルド発売後。
モダン環境は、二つのデッキが覇権を争っていた。

本体火力VS万能パス

今度はジャンドとドレッジの二強がモダン環境の主流となった。
これは、クラガン目線は大変助かる変化だった。
まず、ジャンド。
もともと衰微だった枠に戦利品が差し変わるため、相性は改善するだろうと言えた。
一方ドレッジ。
まあ、有利とはいえない。
それでも、対ドレッジはサイドカードを使ってうまく対策しながら戦うマッチアップではあるのだ。
墓地対策カードを増やせば、そこまで恐れることもないだろうと思っていた。
クラガン目線の収穫は、4マナ6/6疑似呪禁持ちのフェロックス。

デメリット? あ、呪禁が2マナではがれるところ?

スペルが唱えられない弱点は、進化3稲妻4しか入ってないメインボードでは無視できる範囲だった。
サイド後は結構抜くことが多い。
もちろんジャンドが増えていることを見越してのメイン採用だ。
使っていて、タルモを確定で乗り越えられるのは大きかったので正解だった。

そして、サイドを現環境に合わせたつもりで参加したモダンチャレンジで、風が吹いた。

大会通して超回ってた。

予選の道中で1回負けたマーフォークに準決勝で勝ち、ジャンドとドレッジに全て勝って優勝。
ガードを下げた人間やスピリットとは当たらずに済んだのは大きかったが、ようやくクラガンウィックという存在をクソレアではない何かへと押し上げることができたように感じた。どちらかといえばカジュアル側の人間としては十分嬉しい出来事だった。

そうだ。一度大会で優勝できた今なら、胸を張って言える気がする。

オールインの快感に抗うことは難しい。

それでも、私はオールインの夢を諦めたからこそ、クラガンウィックのもつ優秀さ、冗長性を生かせるデッキが組めたのだと。

とりあえず、ここではそう締めたいと思っている。

なお、これ以降頭角を現し始める青赤フェニックスという氷の中の存在を4枚メインから投入したクラガンコンセプト全否定デッキに大変苦戦することになるのだが、それはまた別の話だ。

クラガンウィック入門動画。こんな駄文読むよりこっち見て!

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