平家物語

角川ビギナーズ・クラシックス→謹訳平家物語と読んできたので、そろそろ原文を読もうと思い、講談社学術文庫を買ってきた。『新版 平家物語 全訳注』全4冊のうち1冊目だけ。何が新版かというと、全12冊で刊行したものを全4冊にまとめ直した模様。電子書籍だと合本版もあり、大幅セールもあるので迷ったりもしたけれど紙にした。

原文→現代語訳→語釈→ 解説の4段構成。原文は新字だし鉤括弧を使ったり読み仮名も親切で、古典の読みにくさをかなり解消してくれている。語釈は古語辞典がなくても読めるというだけでなく、人物名や役職名の説明なども豊富。調べ物をせずに読書に集中できる親切設計。その代わり分量がそこそこあるので、全部読むとなかなか進まない。解説は平家物語という作品がどう書いて(描いて)いるかという説明に加えて、史料を引いたり異本と比べたり。古典の元ネタを追っていくのは醍醐味と言えど、自力では難しいから解説でわかった気になれるのはありがたい。
章段を更に細かく分けて、内容のまとまりごとに原文~解説を掲載して次のまとまりへ進むので、コンパクトに読めるし読み返しやすい。原文を読んで分かりにくかったところをすぐ確認できるのは学習者向けという感じか。
一通り誉めてしまったが、何ももらえません。

解説で驚いたのは、祇園精舎について「この序章は、盛者必衰の理が貫徹する歴史への旺盛な関心を示して物語の世界へ享受者を導入しようとするものであって、哀調を帯びた表現ではあっても、厭世的な無常観のなかに人を誘うものではない。」というところ。
祇園精舎の最初の部分は暗唱した記憶さえあるけれど、授業の内容は具体的には思い出せない。ただ、平家物語の根底に無常観があるというか、そういう観念を訴えているというと思い込んでいたな。
勿論、この解説が全てではないはずだけれども、当面はこの解説の読み解き方に従っていく。

今は禿まで読み終えたけれど、まだまだ第一巻が続く。現代語訳で通読したときもそれなりに時間がかかったけれど、原文や解説含めて追うとなると気が遠くなる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?