義経千本桜 浄瑠璃を読もう/義太夫を聴こう

義経千本桜の記憶が薄れる前に、『浄瑠璃を読もう』『義太夫を聴こう』の該当箇所を読み返した。

『浄瑠璃を読もう』
賢い弁慶像は勧進帳以降とのこと。
浄瑠璃以前の知識なども復習しつつ。
浄瑠璃姫の話はよく知らないので、どこかで読みたい。牛若丸時代の話は全体的に把握しておきたいな。

『義太夫を聴こう』
現行詞章は削除や挿入がありますよ、との説明。
そんな話を読んだ記憶はあったのだが、初めて義経千本桜を読んだときには詳しく確認していなかった。自分が読んでいるのは元の詞章。
現在では錣引きのエピソードが加わっているという。錣引き自体は丁度出世景清を読んだばかり。好まれたエピソードというか、平家物と言えば引っ張り出したくなる存在なのだなぁ。
道行の一部を切り出して、読解してくれるのだが、この解像度で読めるようにはなれないのが残念だが仕方がない。それぞれの語句がどういう意味を持つのか分かればもっと楽しめるのに。
というより、これだけの意味を込めて書ける作者が恐ろしい。本当にそこまで考えているの?と疑いたくもなるし、当時の言語感覚ではどのくらいまでが常識なのだろう?とも思う。
橋本さんのように読めというのは最早無茶だし、普段自力で読むときは、「よくわからんがそういうもんなんだ」とサラサラ進めている。そうしてインプットしたものに他の作品で出会うと、少しずつ分かってくることもあるが、それが限界。意識的に、モチーフになった古典を辿ったりしているけれど、浄瑠璃作者相当の語彙力(と一括りにしていいのか?)は得られはしない。

初めて『浄瑠璃を読もう』を読んだときは、仮名手本忠臣蔵、義経千本桜と続くのがなかなか辛くて。まだ原文にあたっていないのがまずかった。
橋本さんの解説は一般的な解説になっていないというか、作品の全貌を分かりやすく伝えるタイプではない。ご自身でも、はっきり書かれている。
周辺知識を与えてくれる脱線箇所はそのまま読んでも言っていることは分かるのだが、浄瑠璃本文の解説となると、ある程度内容を頭に叩き込んでから読むか、原文を手元に置いて見比べないと理解が進まないのである。特に三大浄瑠璃は元の話が妙に込み入っているので、そこに橋本さんの視点を加えて理解するのは初見では大変。
と言うと、一連の著作を否定するようだが、決してそのような意味ではない。これだけ詳しく文意に言及したり、設定を噛み砕いてくれるのは貴重だし、語り口は優しいし、ちょっと砕けた表現をしてくれるところも親しみやすい。

同時に、浄瑠璃を読解する解説書がもっとあれば、読み比べられるのになとも思う。

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