卯月の潤色
「いろあげ」って知らなきゃ読めないよな。
上巻は卯月紅葉の末期の道行ほぼそのまま。最後の発見されて与兵衛だけ生き残る所が少し書き足されている。
中之巻では、伯母らがおかめの口寄せを頼む。おかめは伝三(伝三郎)らの悪事を非難するとともに、与兵衛が試し物になることを恐れ、出家させることを願う。
出家した与兵衛のもとにおかめが現れて、呼び出してもくれないなんてと責める。おかめが去った後、与兵衛は後を追うことを決意。伯母からもらった白縮緬で位牌と手を縛って自害。
下之巻の書き置きでは、昨年おかめと共に死んだもとして回向してくれと言う。
卯月紅葉では、おかめが与兵衛の生き口を寄せる→今作ではおかめの死に口
卯月紅葉で伯母から贈られる緋縮緬→今作では白縮緬
と、前作との対応が取られている。
前作の終盤をもう一度見せておくのは、例えば映画の続編でもよくある導入の仕方だなと思った。
舞台の続編という概念はいつ頃からあるのだろう。
心中の死にぞこなった片割れは試し物になるという。これは知らなかったな。
そして、心中二枚絵草紙が空間を隔てた心中ならば、後追いは時間を隔てた心中と言っていいものか。
死者が現れて何か語っていくのは、能によくみられるけれど、当然意識していると考えていいのだろうか。
与兵衛は「物にばかされたるごと」き状態で、訪ねてきたおかめと対話し、おかめが去った後でおかめが既に死んでいることに気づく。
死んだ人が現れたら幽霊なり幻と判断するしかないわけだが、その判断のない状態で話が進むのは、能の異空間みたいだなと思った。
気になるのは書き置きのところ。これは人形を遣うのか?浄瑠璃だけでは?と思うけれど、どうなのだろう。
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