足摺まで

巻第三を読み始めた。俊寛についてはこの後に有王、僧都死去が控えているけれど、平家女護島のエピソードはここまでか。

解説でも指摘されていたけれども、赦免状をまず最初に俊寛が読んで事態を理解するというのはかなりハードな描写と思う。悲しい知らせを自分だけがまず知って、共有すべき相手には嬉しい知らせという。

船を見送らざるをえない悲しみの中にそれでも身投げしない俊寛。死を選ぶのが順当と感じられる語りだな。

1つ前の赦文に出てくる変成男子の法は、安徳天皇女帝説もあって気になるところ。
解説によると「胎内の女子を男子に変ずる」ものだそうで、お腹の子が女子だと思ったからわざわざやったのか?ということは確かに気になる。当時は産むまで分からなかろうし、やるとしたら絶対に男子を産まねばならないとしてやったのか。それとも当時なりに(非科学的な理屈であろうが)女子であることが予想されたのか。
そして、変成男子の法が成功するなら産まれるのは男子に間違いないことになる。平家物語はそういう物語なので、その手の修法は効果が出そうだし、となるとこの後に女帝を匂わせるのも変だと思うだけれども。

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