五十年忌歌念仏

久し振りの浄瑠璃読書タイム。
飽きて積んだ訳じゃないぜ!!

タイトルの「五十年忌」は本文を読んだだけでは分からないが、実際の事件で処刑された清十郎の五十年忌。
史実のおなつは狂ってその後どうなったのか?

上之巻ではおなつ清十郎は登場せず、勘十郎と左治右衛門(清十郎の父)のやり取りから、清十郎が主人の娘=おなつに手を出したらしいことが分かる。同時に、勘十郎が左治右衛門を騙していると伸べられる。

何がどう嘘なのか?と思ったところに、中之巻。蚊帳での密通。妊娠騒ぎは大袈裟過ぎだが、おなつ清十郎の関係は本当なのである。
密通が発覚し、
左治右衛門が書かされた証文→一家転覆を狙った疑惑
おなつの金を清十郎が持っていた→盗人確定
※実際は勘十郎のために預かっていた
という風に勘十郎に陥れられ、追放される。

清十郎は勘十郎を殺そうとして、誤って源十郎を殺す。
おなつは狂乱。

下之巻では、清十郎は処刑を待つ身となり、直前で自害。後を追おうとするおなつ。
そこで勘十郎の罪が暴かれるが、清十郎は死に、おなつは尼となってこれを弔う。

事件の流れを中心にメモするとこんなところ。

まず、主人の娘に手を出すってどうなんだ?というところだが、勘十郎は平和に添える可能性もあっただろうと言う。現実的にはどうなんだ?

完全に悪役の勘十郎。金のために重ねた悪事。下之巻では罪が暴かれ、一部証拠がない部分も誘導されて自白。清十郎が源十郎を殺さなければ、盗んだ金は源十郎に擦り付けるつもりだったと。
読者や観客からすれば勘十郎が悪い奴なのは明白なのだが、それをしっかり罰する、勧善懲悪なんだなと。

勘十郎の悪巧みに荷担した源十郎だって悪役である。。密通を発見して、秘密にすると言ったそばから告げ口した、これが発端と言えないこともない。時系列では勘十郎の悪巧みが先なので、遅かれ早かれ事件は起きたのだろうが。
とはいえ、清十郎に刺し殺されているのでそれ以上はどうにもならない。

煙管で自害とは?と思っていたのだが、なるほど喉に押し込んで。
清十郎はそれっきりで終わるかと思えば、最後に勘十郎を責め立てる。事切れる前にしゃべり倒すのはよくあるけれど、得物が煙管となるとなかなか死にきれなくて辛かろうと思う。
早まって自害しなければ…という雰囲気なわけだが、(おなつとの関係はともかく)源十郎を誤って殺害した罪だけの場合、罰はどのくらいなんだろう。

槍で後を追おうとして助かるのは厳しくないか、と思うけれども、おなつは尼となる。史実ベースだから、死なせられないためか、近松の慈悲もあるのか。

西鶴も読みたいよな。在庫切れが多発しているけれど、岩波の好色五人女はあったよね?
と思って調べると、好色一代男も今月重版になっていた!!
https://www.iwanami.co.jp/news/n52687.html

現時点では『好色一代男』『武道伝来記』『西鶴文反古』『好色五人女』が在庫あり。
『好色二代男』『好色一代女』『日本永代蔵』『本朝二十不孝』が在庫なし。
好色2冊は買っておきたい。
出版社在庫なしでも、本屋巡りで探すのが楽しかったりしたけれど、実店舗が減ったりネット在庫連動だったりで、昔ほど探し出せる機会がなくなっている気がする。

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