Chicory 感想
基本データ
プレイ環境
序盤タブレットでのリモートプレイ PC (RTX4070Ti)プレイ時間
9hプレイ日程
2023/6/5-2023/6/7クリア状態
ストーリークリア
感想
いまいちSteamのPVやらスクショを見てもどんなゲームか分かりにくい気がするが、シンプルに言ってしまえばストーリー主導の2dゼルダライク(軽い謎解きメインという意味)のADV
大前提
ペイント系のゲームをやったことがある人ならわかるだろうが、パッドでの色塗りやお絵描きは滅茶苦茶操作性がしんどいのでコントローラーでしかやれない人は操作性で-10点くらいはあるかもしれない。
滅茶苦茶スペック的に軽いゲームなのでノートPCでもいいからPC版がおすすめ
人間の弱さ、友人や家族の大切さを描く普遍的で沁みるストーリー
本作のフックとなる要素は明らかにペイント要素だとは思うものの、本作におけるメインの評価点は間違いなくストーリーだと思う。
世界に唯一色を与えることのできる魔法の絵筆とそれを使うために代々受け継がれてきた使い手、本作の主人公は当代の使い手である「チコリー」に憧れているただの一般人である。(最初に好きな食べ物を聞かれてそれが主人公の名前になる)
いつも通り絵筆の塔の掃除の仕事をしていた主人公が突然世界から色が消えてしまったところからシナリオが始まる。
そこに落ちていた魔法の絵筆と部屋に話しかけても出てこないチコリー、それを見て主人公は魔法の絵筆を手に取り使い手として行動することとなる。
ストーリーの中、ひたむきに使い手を目指し随一の使い手になったチコリーの重責と苦悩
単にチコリーに憧れて偶々使い手になって色々な人に持て囃されたり頼まれごとをする立場になったが、本当にやりたい事なんだったかと確信が持てないワナビーでしかなかった主人公。色々な立場のクリエイターの内面や周りの人との関係性という人の内面にフォーカスしたシナリオは完成度が高く、やって良かったと素直に思える作品だった。
街などには他の住民もたくさん存在し、軽い頼み事のようなちっちゃなサブクエもどきを頼んでくることも多い。そのような人たちとの交流をする中で主人公のモヤモヤした気持ちが生まれたり、それでいてシナリオの節目では彼らが再登場してちゃんと気持ちを伝えてくれる場面もあり会話はなるべくしたほうが楽しめる作りになっている。
2dゼルダライクとしては簡単で邪魔にならないフィールドアクション
プレイ時間の大体を占める普通にMapを攻略していくのは、いわゆる2dゼルダライクに作られており一見しただけでパッと解ける難易度のものが多い。
チャプターを進めるごとに新しい能力が得られて新しいMapに行けるようになる一般的な作りになっており、初見あそこ行けないなーというところは後から行けるようになることが多い。
爆弾で岩を壊すだとか、インクに潜れるようになるだとかすぐにルールがわかるように作られているのは好印象。
脇道には収集要素が置いてあることが多く、そちらはメインよりやや複雑な謎解きを要求されることもある。(特に仕掛けとアクション性の同時要求が多いので、やはり筆の操作性が重要になる)
一方で基本が白黒から始まるので、高低差の把握しにくさ•視認しにくい細い道などで難易度を作っている部分がありその辺は気持ちよさはあまり無いように感じた。
他の要素と関連性はないが程々によくできたボス戦
基本的に戦闘は通常Mapでは無いが、チャプター毎にボス戦が用意されていたりする。
ダメージを喰らいすぎても演出が入るだけでペナルティも何も無いし、実際オプションからボス戦スキップの選択肢もあるくらいまぁオマケみたいな感じではあるが、ちょっと仕掛けの入ったJS&Bのようなツインスティックシューター感は割と合間合間に楽しめる出来となっている。(ペナがないから楽しいだけでノーダメ前提とかされてたら割とイラっとくる感じだった気はするが)
センスを要求されるのに報酬がないMapの色塗り要素
本作最大の特徴であるMapに自由に色塗りができる(最初は全てモノクロ)という部分が個人的には微妙だったのがこの作品を手放しで褒められない点である。
色塗りの仕様自体は、木など明らかにオブジェクト範囲が決まっているものは塗りつぶし挙動、それ以外の地面などは好きに塗れるようになっておりわりと作りとしては妥当に作られている。
このゲームのスクショとして紹介されているものを確認してみると、あたかもカラフルな世界での旅のように思える
ところが現実はまさに非情である。
初期のMapはこんな感じになっており
それを5分くらい自分のセンスで頑張って色付けしてみたらこうなる。
いやこれダッセーなとなるだろうが、実際自分で見たところでなんかあんまり嬉しさがないのが辛い。
割とマップが広いため全体に色付けしようとすると結構時間を取られる割に、出来上がるのがこれかぁ、、となってしまうのである。
それでいて色を塗ることでのゲーム的な報酬は基本的にない。
勿論サブクエストで壁にグラフィティ描いてよとか、そういった軽いシナリオのところでは描こうとも思うが大半の部分はパッと見の見た目が少し良くなるだけでそれ以上は何もない。
するとどうなるかというと色塗りが謎解きで必要な時以外基本白黒の寂しい画面の世界が出来てしまうことになる。
これがぶっちゃけ見た目は寂しいし面白みが薄れるので世界に愛着を持てないのが悲しい。俺の世界は色とりどりの物語じゃないんだ、、
同じように色を題材とした作品だとペーパーマリオとか思いついたりするが、あの感じで初期からある程度塗られていたり塗ったら報酬が出てきたりみたいに何かしらのフォローがないとセンスなし人間としては辛いなぁと感じてしまった。
総評
重責への不安、何かへの憧れ、本当に望んだ幸せなのかという自省など人間の内面をテーマにゼルダライクの簡単なゲーム性でまとめた作品。
大枠としてはシナリオが良いので楽しいのだが、メイン要素である色塗りに関してはできる人/楽しめる人なら良いが、絵や色彩に関心がないとゲーム的な報酬がないためイマイチ乗り切れない部分がある。
その辺をもっと誰でも楽しめるように報酬があった方が万人向けにはなったのではないかと惜しさが残る
点数 : 78点