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バイオショック インフィニット 感想

基本データ

  • プレイ環境
    PS5

  • プレイ時間
    18h

  • プレイ日程
    2022/2/12-2022/2/15

  • クリア状態
    本編・DLCをクリア (難易度Nomal)

感想

ゲーム性

バイオショックシリーズといえば間違いなくストーリーが主眼のゲームではあるが、冷静に考えるとそれなりの時間を戦闘に費やしておりその部分を考える。バイオショック1ではレンチを持って殴りかかる狂人というゲームの側面が強かったが、本作ではかなり普通のFPSのようにきっちりと銃撃戦をする前提の作品になっている。

一般的なFPSと違う点はあくまでも本作はRPGライクであり、銃器といえどもお金を払って強化する点にある。また銃器だけではなく超能力を戦闘に使うことが基本であり、ランボープレイで相手に突っ込みながら超能力で敵を浮かして無防備になったところで撃ちまくるとかのプレイを要求され、なかなかの難易度になっている。バイオショックシリーズらしく最高難易度以外では死んでもすぐにリスポーンが行われるので多少難しくてもいいやという風になっているのだろうが、お母さんボスあたりはかなり難しく感じた。
アクション要素に目を向けると、明るいフィールドを生かすためか空中のワイヤーをフックで移動するアクションがシリーズとして新しく足されており、スピード感と位置取りを変えられる戦略性とうまく機能している。

コロンビアはとても明るく表面的に美しい



全体的にFPSであるため特別な何かがあるわけではないが、実装されている要素はうまく嚙み合っておりゲーム体験としても良質に仕上がっている。


DLC2においてはステルス重視の戦闘になっているが、こちらは正直敵配置や感知能力の調整がこなれておらずめんどくささが勝ってしまった。

ストーリー

やはり本作のメイン部分であるストーリーに関してだが、本作は主人公個人の物語とアメリカ史二つの事象をわりと個別に描いている作品だと感じた。
プレイしてて自分の世界史の知識のなさにガッカリしていたが、本作ヒロインの特殊能力である別世界線への干渉ということを活かしたアメリカ史における負の側面である奴隷制・民族浄化を露悪的に詰め込んだ舞台設定は見事であり、歴史を知っているとより楽しめたのではないかと思う。

もう一方の軸である主人公とヒロインの物語はバイオショックらしいオーディオログなどを漁らないと理解しがたい構成を持ちながらも、最後の戦いを終えてからの20分程度の操作できるイベントで明かされる大きなどんでん返しは世界線をまたがる物語としてはよく見るというかあまり選択の余地がない落としどころを選びながらも、実際に見るまでどこに着地するか全くわからず種明かしをするときに驚愕をもって終わるシナリオは圧巻であり一人称視点で没入感あるイベントの見せ方としてやはり頭一つ抜けている作品だと思う。
主人公の贖罪の物語であり、ラストのラストで全てが明らかになる構成はばら撒かれた伏線を改めて確認したくなるように作られておりリプレイ性が低くあるこのジャンルでもう一度遊びたくなる作りは素直に凄い。(積みゲーマーなので崩すために実際にやれてはいないのだが)

ではストーリー要素は満点なのかというと、そうはならないところもストーリーって難しいよなと思う。具体的に何がいけないかというと、上記で上げた2軸の関連性が薄いところにある。勿論個人の感じであり、歴史的教養や本作への深い理解があれば違うのかもしれないが二つの要素はあくまで単独のものとして存在し、関連性が薄い気がした。
主人公の根源となる洗礼のきっかけがアメリカ史の暗部である民族浄化に基づいており、そこで洗礼をもって奴隷撤廃に進まず繁栄を謳歌する人間とそこから逃げ出したために個人として世間から脱落し、その結果失ってしまったことへの贖罪という意味では二つの物語は密接に絡んでいるが、それぞれの贖罪と功罪というテーマの描かれ方は独立しているように感じる。

特にそのように感じてしまうのが、本作の大きな流れが
エリザベスと見つける ー> アメリカ史 ー> 自己の物語の結末
と流れるのにたいして、アメリカ史の部分に入っていくきっかけがエリザベスに会ったがだましていたことがばれて逃げられてしまった。その時気絶させられた流れで、飛行船が使えなくなった。これを借りるために武器を調達しなきゃ。ここの流れのちょっと古めのRPGのおつかい感が唐突であり自然に移行できていない部分が微妙に感じるのかと思う。
またこのお使いの中で障害を世界線を移動することで解決していくのだが、全く違う世界の様相を見せる世界線でなんで未だに武器持ってけば飛行船もらえるところは変わってないと思えるの?という疑問がつきまとい、この辺は正直練りこみ不足なのではないか?と思う。
あくまで主人公がいる世界線はそのままで、干渉能力で物とかをほかの世界線から持ってくるだけであれば納得できたが完全に移動したのに前提が崩れていないと思って行動するのはどうなんだろうと思った。

ただしこんなことは正直プレイしてる間はそこまできにならず、あくまで振り返って考えたときの難癖レベルではあると思う。

DLCに関しては正直シリーズファンに向けてのサービスという感じがして、勿論明らかに狙ったであろうオーディオログは恐縮ながらめちゃくちゃ興奮したが、冷静に思うとこれをつなげる必要はあるのか?となる部分はある

総評

ゲーム性はややFPSに寄せてそれ単体でも十分に遊べるレベルに仕上げながら、バイオショックシリーズらしいあまりにも驚きをもって迎えるメインシナリオとその舞台で描かれるアメリカ史はものすごくよくできており、名作であることが明らかにわかるような圧を感じる。
一方で本作を深く理解し楽しむためにはアメリカへの理解が不可欠であり、歴史に興味なくアメリカの思想にも疎い自分ではその本質は捉えられていないだろう。伏線を張りまくっているシナリオを勉強したうえで再訪したくなるとても気合の入った作品だった。


点数:83点(多分教養があれば90点以上はあったんだろうなぁ)


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