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Unheard 感想

基本データ

  • プレイ環境
    PC

  • プレイ時間
    8h

  • プレイ日程
    2023/5/10-2023/5/12

  • クリア状態
    実績コンプ

感想

過去の出来事を音だけ追体験することで、その現場で実際に何が起きたのかを紐解いていく謎解きゲーム

高いオリジナリティ

最初の状態

初期の状態では上記のように黒の人型である自分と、全体図・そして破線の丸で表現されているその時にいた人物の位置が示されている。
ここで再生をすることで自分がいる部屋で行われた会話を聞くことができ、それを統合していくことで実際に何が起きたのか全貌を探っていくゲームとなる。
会話に対しての字幕や演出は一切なく、長いシナリオだと20分を超えるものになるので必要な情報はメモをしていくことが必要となる。(上記のうち例えば二人のどちらの発言なのかは破線丸がエフェクトをだすのでそれはわかる)

人物にタグをつけると常に位置は表示されるようになる

会話の中で人物の名前がわかったら上記のように人物のタグをつけることができ、一度タグをつけると常に位置が表示されるようになるためなぜあいつがあそこに?とか、なぜこの二人が会話している?みたいなところでその部屋にいって実際に話を聞くことで全体像の理解が進むようになっている。

本作はここまで上げた要素でも他のゲームではないようなオリジナリティを見せる中、オリジナリティだけでなく推理ゲームとしての出来の良さが非常に素晴らしい部分である。

全部を提示しないテキスト

ここまで新しい発想で作られた作品だとゲーム内容自体は凡庸になってしまいがちなところ、本作は謎解きとしても上質な体験を提供することに成功している。
全てのセリフを書き起こして、ゲームシステムの中で提供される情報全てを把握しても問われている謎にちゃんと答えるには自分で補完しなければ解けないようになっている。
前に建てた計画と当日の流れはシナリオで音声として流れるものの、じゃあその間の日付に実際どういう行動をしたのだろうというところは他の人間の発言や現在の状況から推測せねばならずしっかりと推測をして解き明かすことがプレイヤーに要求されるという点で満足感の高いシナリオを提供している。
状況としても会話を追うだけで簡単には把握できないようにシナリオごとに複数のグループによる思惑が絡まりあって発生してしまったケースが多く、初回プレイで一人に着目して会話を聞くだけでは全然理解できなかった状況が、繰り返し他の人の会話も聞くことでどんどん全貌が明らかになっていく作りは非常に秀逸。
ゲーム本編にはチュートリアルの短編を含めた全5シナリオとボリュームという点ではまぁそこまでないものの、各シナリオはどれもよくできており満足できる仕上がりになっている。

完璧なDLC

本作には一つ無料DLCが配信されているが、これが本当にやりたかったことだろと思うレベルの異常な完成度のシナリオになっている。
物語の構造自体はクリア後の謝辞で作者が書いている通りいくつかの映画のオマージュであるため製作者のオリジナルというわけではないが(ネタバレになるのでタイトルも書かない)、それらの要素を再構築し、このゲームの間違いなく最初に行うそれぞれの人物を決定していくというスタイルを二重構造にして展開するシナリオは見事というしかない。
DLCだけでも1.5-2hくらいのボリュームになっており、このゲームをするならば必ずDLCまで是非やってほしいと思うほどに完成度が高いシナリオだった。
元々は中国で作成されたゲームなので、まだ未翻訳のDLCシナリオも配信されているのでぜひ翻訳に期待したいところ。

総評

斬新なシステムだけにとどまらず、一級品の謎解きまで兼ね備えた非常に完成度の高い作品。
特にDLCに関しては元ネタが映画であるため、まさに練りこまれた映画を見終わった後のような感じで、計算されつくした緻密なシナリオに圧倒される。
いかんせん地味な絵面なので万人受けするかは微妙であるが、新しいと思えるゲームを求めているならぜひともやってほしい傑作


点数:87点(本編)93点(DLC)

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