私は良い母親にはなれない。

ほんの一年前まで自分には縁がないと思ってずっと足を踏み入れたことがなかったアカチャンホンポや西松屋も、今ではスマホにアプリを入れて持ち歩いているし、何回もマタニティ用品や出産準備品を買いに足を運んだ。

先日も母親とアカチャンホンポを見ていた。母親が突然「これはいいよ~」と言うので何がいいのかと見てみたら、それは「おしりふきウォーマー」なるものだった。

飯ごうのような機械におしりふきを入れておくと、機械がおしりふきを温めてくれて、赤ちゃんがおしりふきの冷たい感触に驚かなくなるものらしい。なんだそれは。

こういうの アフィリエイトじゃないよ

赤ちゃんにとってのおしりふきウォーマーは、大人の温水便座や、冬の朝の給湯器と同じようなものなのかもしれない。なくてもいいけど、あると嬉しい。

大人だったら温水便座があった方がいいか、冬の朝はお湯を使いたいか、費用対効果を自分で判断して生活に取り入れることができるけど、まだ言葉が話せない赤ちゃんにそれはできない。だからおしりふきウォーマーは、言葉が話せない赤ちゃんが最大限快適にベビーライフを過ごせるようにという愛が詰まって開発されたものなんだろう。

だけどごめん。私は初めておしりふきウォーマーを見たときはそこまで思い至らず、率直に「いらなくない?」と思ってしまった。そして「世の中の母親にはそこまでの赤ちゃんのケアが求められているのか?」と思って怖くなった。

愛情はお金じゃないなんて言うけどさ、私は毎回ベビー用品を買うとき、"赤ちゃんが最大限快適に過ごせるように"よりも"最低限必要なもの"を探しているし、ベビー用品にはかなりドライに向き合っている。それに妊娠8ヶ月に入る11月頃まで、ベビー用品の購入に一切手を出さなかった。
母親・祖母「これは必要なんじゃない?(育児経験者)」
私「いや、それは必要ないと思う(育児未経験者)」
みたいなやり取りも何回もした。ちなみにこういう会話をするときも、私はその商品の利便性よりも先に「値段はいくらなんだろう…」と考えてしまう。

アカチャンホンポに並べられたおしりふきウォーマーの価格も、確か4000~6000円くらいだった。
ただでさえ出産準備品もベビー用品も揃えるのにはお金がかかるし、一番お金がかかるベビーカーやチャイルドシートも中古で見繕った。おむつメーカーのサイトにはベビー用品を買い揃えるのには10万円以上かかると書いてあったけど、私は現時点でおそらくその半分もお金をかけてあげられてない。

赤ちゃんの快・不快を想像して、このおしりふきウォーマーを買うお母さんは素敵なお母さんだと思った。私はそうはなれないな、とも思った。

思い返せば今回こんな気持ちになったのはこのおしりふきウォーマーが初めてではない。妊娠してから見たドラマ・コウノドリで、産後うつになった母親(高橋メアリージュン)の部屋がベビーベッドや新生児向けのおもちゃ、生活用品で埋め尽くされていたシーンを見たときも同じような感覚になった(そういう意味ではコウノドリのシーンで一番リフレインするのは高橋メアリージュンのマンションの部屋かもしれない。)

じゃあ予算が潤沢にあったらおしりふきウォーマーも買ったし、コウノドリの高橋メアリージュンみたいにベビー用品で部屋を埋め尽くすようになるのか?と聞かれたら多分、ならない。そうであってもベビーカーやチャイルドシートは中古で買ってたし、ベビー用品も必要最小限に抑えたと思う。

赤ちゃんのために、子供のために… そういう無意識の圧力みたいなのに多少のアレルギーというか、辟易している部分もあって、やっぱり「これくらいでいいかな」という気持ちはベビー用品と向き合う時にどうしても思ってしまう。そんな私がおしりふきウォーマーなどというものを買うはずがないのだ。この感覚はきっとベビー用品に限らず、これから先も続いてしまうんだろう。申し訳ない気持ちでいっぱい。

だからお金をかけて子供に最大限快適な生活を提供するという意味での良い母親に、私はこれから先もなれないかもしれないけど、何かあったときのために学資保険もちゃんと積み立てるし、あまり苦労させないようにお金の勉強もするよ。

さいごに、こんな守銭奴でも値段を見ないで買ったベビー用品がある。それはおしりの部分にクマのデザインが施された、アカチャンホンポの長袖のプレオール。

こういうの


もはや赤ちゃんの快適さとか関係ない。完全にかわいい姿を見たいだけ。

早く着ているところを見せてね。


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