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no.2
朝の8時前、誰もいない喫茶店でモーニングを食べた
螺旋階段をのぼると大きめの音で音楽が流れていて、店の奥には電話ボックスらしいものが見える
朝ドラに出てきそうな穏やかに年季の入った空間にほっとする
窓際の席に座り交差点を渡る自転車の列を眺める
ガラスの縁が斜めにカットされているおかげで、横断歩道の途中で一瞬人々が消えて見える
ハリーポッターの9 3/4番線みたいだと思った
ゆっくりと運ばれてきた、ワンプレートにあらゆる食材がひしめくモーニングセットに心が躍る
当たり前のようにあつあつコーヒーも、チーズの下にキュウリが隠されたトーストも、食べにくいくらい半熟の目玉焼きも最高だ
りんごの皮には丁寧に切り込みが入れられていて、バナナはちゃんと甘い
そういう全部に喫茶店の心遣いが詰まっているのを感じてああ、やっぱりこういうお店が大好きだと思う
コーヒーフレッシュが浮かんで広がる模様をしばらく眺める
お会計の時、この時間にどんなに満たされ癒されたか伝えたいと思うのに今日も伝えられない
近すぎない距離で、媚びずにそこにいることを受け入れてくれる心地良さを知っているからかもしれない
螺旋階段を降りる途中には植木鉢が置かれた棚があって小さな花が咲いている
あくまであっさりと他人の心を満たす、喫茶店はどこまでもかっこいい
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