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揺れ香る


「もうすっかり秋だね」

境内に転がる黄色い落ち葉に視線が移り、

光に反射した有希子の横顔が今はもう眩しすぎた。



「ここで鬼ごっこしたっけ…」

圭一はまっすぐそびえる木々が風に揺さぶられ頭の上をかすめた途端、


落としてきたなにかたいせつなものを拾い集めるかのように
ぼそっとこぼした。