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謎解き日本一決定戦Χ2023決勝大会 体験レポ(後編)

この記事について

こんにちは。ちーたーです。
この記事は、2023年3月26日に放送された『謎解き日本一決定戦Χ』の決勝大会に参加してきた体験レポの後編です。まだ番組を見ていないよという人はまずは番組を、前編をまだ読んでないよという人はまず前編を見ることをお勧めします。

↓番組は期間限定でこちらから見れます

↓前編はこちらから読めます

2nd STAGE 「呪術廻戦謎解き」(後半)


五条先生「脱出謎解きに挑戦してもらいま〜〜す」
「キターーーーーー!!!!!!!!!」

そう、俺はこれをやりに来たんだ。ここまでは絶対に勝ち上がりたかった。テレビ局の財力で作られたでっかいセットを使った、世界でたった数人だけが挑戦できる、脱出ゲーム。去年テレビで準決勝を見て「これをその場でやれたらなあ…!」とずっと思っていたあれが、ついに出来るのです。競技とか忘れてワクワクが止まらないちーたーです。

2人ずつ分かれて、アイマスクをして会場に連れて行かれます。
既に楽しい〜〜〜〜!!!!!
「じゃあ、ここで立ってて。開始の合図があるまでアイマスクは取らないでね。」
「はい!!!」
どきどき。何が始まるのかな♪

一回やってみたかったやつ。

説明によると、「お札を貼る」という動作があるそうな。正しいお札を呪霊に貼って、全ての呪霊を倒すゲームなんだな。なるほど。そして間違ったお札を貼るとペナルティタイムが設けられるとのこと。ちゃんと分かってから動こうね、ってことだね。

さあ、1通り説明を聞いて、いざ、行動開始!!!

1つめの部屋

目隠しを外して辺りを見回すと、「するべきことが書いてある貼り紙」「謎」「4枚のお札」「不気味な人形」。
ここから実はしばらくこのゲームのシステムを理解できずにいました。「次の部屋には次の呪霊がいて、次の謎もある」を理解するのに相当な時間がかかりました。良くない。

そして、それを理解してからも純粋に謎が解けません。これ、テレビだとめちゃくちゃカットされて早く解けた感じになってるんですが、僕は1問目でめちゃめちゃ詰まってます。「5行だから五十音表」が何故か頭から離れなかったのです。最初に「とんかち」「くぎ」を当てはめてみるべきだったんですが、なぜか五十音表からスタートしてそれを埋めてみて「あれ?おかしいな、ときなみ=かなづち?」みたいなことをずっとやってたので、詰まるのもそれはそう。

まあまあ迷走した末に解けはしました。「渦」のお札を人形にぺたり。人形が倒れる。なるほど、そんな倒れ方するのね。この段階で他の人にどのくらい遅れを取っているか分からないので、ただひたすら不安に駆られます。焦りもありますが、今は目の前の謎を解くのみ。次の部屋への扉を開け、次の謎に取り組みます。

人形にお札をぺたり。

ところで、僕が人形にお札を貼った時のネットの反応がこちら。
「丁寧にお札を貼るちーたーくん好き」
「ちーたーお札の貼り方優しくて好き」

……この反応がこの後どのように変わるのか。必見です。

2つめの部屋

謎はすぐ解けました。「カゲ」の「カゲ」です。「図形をアバウトに見てみる」はめちゃくちゃ得意です。ここはだいぶ巻いたでしょ!「かげ」のお札はどーこだ。

……無い?

え、ほんとに無い?光を裏返して貼るとか?でもそれって納得感薄いよな。
1つめの部屋にもなかったよね。んんんんん?????

謎の答えはどう頑張っても「かげ」にしかならない。でも「かげ」のお札は無い。どうすれば???

ここで、何となく「日へん」のフォントが変だなということには気付いていました。でも、流石に、ねえ。そんなことが起こると思わないじゃないですか。
N→Zとか、6→9とか、シ→ツみたいな、回したりひっくり返したりすると重なる文字同士の関係はよく謎でも扱われ、基本的に把握しています。でも、「暗→影」なんて当然頭の中にありません。だって、普通はそうならないんだもん。

なんか、日へんの形変だな〜、後で使うのかな。
かげってどういう漢字だっけ。「影」だよな。……ん?この3本の線、もしかして…。
嘘だろ??まさかそんな。
(ここで「暗」を手に取る。恐る恐るひっくり返す。)
見える…!!!
どう見てもこれは「影」だ。おいマジかよ。こんなところでアンビグラム出す???(一応アンビグラムという概念は知っていました。だからこの「まさか」がありえると判断できたんだと思います。)

この2つめの部屋は自分にとって大きな衝撃でした。いままで謎解きをやってきて、こんな頭の使い方をしたことが無かったんです。「暗」を逆さにすると「影」になる、という、普通だとありえないことを、目の前の情報から「まさか…?」と想像し、試してみる。すると実際にそれが起こる。想像力とその結果に対する驚き。僕はこの驚きを忘れることはないと思います。

ちなみに、このアンビグラムに気付くタイムが一番早かったのはたぶん今田さんです。今田さん強すぎ。なんで分かった。

3つめの部屋

最後の部屋です。もしかしたらもう負けてるかもしれない。でも解くしかない。普段あまり感じたことのない不安の中での謎解きです。

まずは指示通り赤の「呪霊」の字を殴ります。すると「呪霊の体にある文字」と出てきました。
倒すべきは甲冑。「月」と書いてあります。しかし目の前にはでかい格子が。大謎のようです。さあどうする。

正直この格子を見たとき僕のテンションは爆上がりしています。
謎クラというものは、どう考えても乗り越えられなさそうな大きな壁にぶち当たった時、感情が大きく昂るもの。そしてそれを乗り越えた時の喜びは筆舌に尽くし難いものです。
その「大きな壁」が、文字通り、壁となって目の前に現れたのです。絶対に越えてやるよ。

まず、格子そのままで、格子の奥の甲冑に貼る方法を考えますが、少なくとも物理的に自分が格子の向こうに行く方法は無さそうです。となると、長い物かなんかで甲冑の奥に手を伸ばす?でもそんな長いものは現状この部屋に無さそうです。じゃあどうする?

自分が今までやってきたアクションは「お札を貼って呪霊を倒す」です。そうなると、もしかしたらこれまでの呪霊と同じように倒せる可能性がある?だとしたら、この格子は3つめの部屋にあるので、甲冑と同様に「格子に書かれた文字」のお札を貼ることで倒せるはず…?でも格子に文字なんて書いてない…。

ここで僕はしばらく停滞しました。焦りが先行します。

しばらく悩んで、困ってしまってちょっと離れてぼーっと格子を眺めていると、
「ん?何かここの板、変じゃない?」
気付きました。この格子、おかしい。明らかにありえない繋ぎ目がある。辿ってみると、「口へん」が見えました。右側を見ると、「兄」の文字が。「呪」だ!!!

すぐさま1つめの部屋に戻り、「呪」のお札を取ります。そしてそのとき絵を見て気付きました。格子、描いてある!!!最初その絵を見たときは全く気が付きませんでした。格子、絵に描いてありました。

これで全てが納得できました。
いますべきことはただ1つ。急げ!!!!!
お札を持って3番目の部屋に走ります。お札を、貼って、格子を倒す!!!

必殺技でも使ってるのかこの子は。

半ば格子を押し倒し、格子の上を乱暴に歩き、甲冑に!「月」のお札を!貼る!!!倒れろ!!!!!

クリアだ!!!!!

あ、甲冑がぶっ壊れた……。え、だいじょぶ?これ。僕やらかした???

このときのネットの反応がこちら。
「ちーたー!!!なんか壊してない!?!?」
「呪霊をぶっこわすくらいの勢いで飛び込むの好き」
「呪霊を倒す(物理)」

ちなみにこのゲーム、実は2人ずつやってあとで動画を同時再生してるんですが、僕は前半組の1人でした。そして後半組の2人はゲームが始まるまでにめちゃめちゃ待たされたらしいです。たぶん僕が壊した甲冑を直してたんだと思います。ごめんなさい。いや違うんだって。これまでの呪霊は全部倒れてくれたじゃん。甲冑もバターン!って行ってくれるもんだと思ってたの!!!

ゲーム終了後

先ほど述べたように、実はこのゲームは2人ずつプレイしています。そして勝ち残ったか落ちたかも知らない状態で全員のプレイ動画を同時再生して皆で見ます。僕ははっきりと時間がかかった自覚があったので、プレイ後に控室で「ここで帰りたくないよ〜〜〜」ってずっと言ってました。動画再生のときもヒヤヒヤです。あれほどまでに自分頑張れと思ったことはないです。

準決勝進出を決め、安堵。

2nd STAGE 後半まとめ

まず簡単な説明と現在の状況を見てゲームシステムを瞬時に理解する力、そして1つめの部屋は「シンプルな難問謎」、2つめの部屋は「変化球の新ギミック」、3つめの部屋は「ストレートな大謎」と、様々な力が問われたステージでした。日本一決定戦という場にふさわしい良い脱出ゲームだなあと思います。そしてこの短いゲームの中で何度も感動させられる場面があったので、本当に良い体験だったなあとしみじみ。あのゲームをあの場で遊べるたった4人の人間になれて本当に嬉しい限りです。

おまけ

このステージで呪術高専の謎解き非常勤講師に仮採用されることが決定しました〜〜〜!!!正式に採用が決まったら五条悟さんから連絡が来るそうですが、いまだに連絡は来ません。ワンチャン就職先が決定するかと思っていたのですが、どうやら就職活動は普通にした方が良さそうです。

ちなみに、2nd STAGEの冒頭に五条先生から「謎解き非常勤講師」の話が出たところでは本当にちょっと嬉しそうなちーたーが見れます。録画を巻き戻して見てみよう。

準決勝 「ドラマ謎解き」

僕は正直ここに何が来るか全く予想が出来ませんでした。というのも、呪術廻戦コラボの謎解きが去年のドラマ謎解きにあたる枠だと思っていたので、もうドラマは今年はないと思っていたからです。なんならぶっちゃけもう1個脱出やってくれって思ってました。

今田さん・小芝さん「準決勝、ドラマ謎解き〜〜〜〜〜」
「おおおおお!!!今年もあるんだ!!!」

ということでドラマ謎解きです!ちなみに僕は去年テレビで見たときシンプルにこのステージが苦手だったので、ちょっと心配です。でも目の前の謎を解くしかないからね。ここまで来たらもうロックボタンにも慣れてきました。自信持って行きましょう!

舞台は最終予選の裏側のよう。我々が決勝大会進出を決めた大会の裏でとんでもない事件が起こってたんだとか。

ついついドラマに見入ってしまいますが、謎解きも忘れてはいけません。特に大切なのは「状況の整理」。ストーリーについて行けなくなったらおしまいだと思うので、現状把握に全力を注ぎ込みながらドラマを見ます。キャストの雰囲気的にどうやら白井さんの無実を証明する手助けをしつつ、碇さんを殺した真犯人を見つける謎解きなんだな。やってやるぜ。

1問目

ドラマを見ていたら、突然龍禅寺さんに話しかけられました。シンプルに嬉しくなっています(この表情もはっきりと確認できます。巻き戻して見てみよう)。良いでしょう。そのパスワードの謎とやらを解いて差し上げましょう。

最初に出た情報は、「4/25のパスワードが『じかん』」ということ。そしてもう少しくらい情報が出てから解答がスタートするもんだと思って呑気にしてたので、制限時間の60秒が突然始まりそうな雰囲気になって慌てました。やっべ。もうこれだけで解ける問題な感じする。どうやって解くんだろ。

ここからの頭の回転はぶっちゃけめちゃくちゃ速かった気がします。
「例示1つでもう解けるということは、何か明確に碇さんと関係が深い、碇さんが作りそうな規則によってパスワードが定まっているのだろう。」

「パスワードの規則なので、一番考えやすいのは『4→じ』『2→か』『5→ん』の1対1対応かな。」

「ただの1対1対応だと、1や8に関する情報がないので2/18のパスワードが一瞬で分かる訳がない。最初に考えたように、碇さんに関係のある言葉が規則になってるとか?」

「碇さんの名前とかだと分かりやすいな。そういえば碇さんの下の名前って、じん何とか、みたいな感じだった気がする。「じ」も「か」もあってるし間違いない。でもまずい、名前覚えてない。ドラマ内で言ってくれ、頼む」

制限時間60秒スタート!

「わ、すいとんさん押した。やっぱこれだけで解ける問題だよね、じゃあやっぱあってるよこれ」

「あ、しょっぱなに名前言ってくれた!『いかりじんいちろう』やな。9文字だから対応できる。218を抜き出すと、『かいろ』。言葉になった!間違いないはず。一応ダブルチェック。あってる。よし押そう」

ここまでをあの時間で出来た自分を褒めてあげたいですね。瞬発力がさらに上を行っていたすいとんさんには及びませんでしたが、かなり良いタイムが出せたと思っています。

そしてこの問題でおいたくさんが大きく遅れをとってしまう展開となりました。ただ、おいたくさんが勝負強いことはここまでの戦いでよく分かっています。彼はありえない押しを平然と決めてきます。油断はできません。
とは言ってもリードしているのは間違いありませんから、確実な正解を積む方針で行くことにします。

2問目

この問題むずかったよね。うん。

動画を見て犯人が死体を隠したトリックを問う問題。ここに来てかなり推理寄りの問題が来ました。普段使ったことのないタイプの思考です。

そして僕はこの問題で致命的な指示の聞き間違いをしています。最初に松丸さんが言った「この動画が撮られているのはスタッフルームの廊下で間違いない」という言葉を、頭の中で「この動画で入って行ってるのはスタッフルームで間違いない」と処理してしまい、この部屋がスタッフルームでない可能性を排除してしまいました。それじゃあ解けるはずないよね。聞き間違いしてなかったとて解けてたかどうかは分かりませんが。

1回目の再生で「窓あるのおかしくね?」ということには気付きました。次はトリックです。ただ僕はここがスタッフルームだと信じて疑ってないので、「なぜ窓がないはずのスタッフルームに窓があるのか」考えながら2回目の再生を終えてしまいました。タイムを見てみると残り時間は4秒!無理!!!

前のモニターを見たら誰も時間内に答えてないので安心。解説を聞いて納得。これ1分鬼畜すぎるだろ。

……ん?ということはこれ犯人福田さんでは?
と思いながらドラマの続きを見ます。

てかこれ誰も正解してないけどドラマだいじょぶ?と思ってたら全員不正解のパターンのドラマもちゃんと用意されててえら〜〜〜い、になりました。

3問目

やっぱり福田さんが犯人だった!というところで証拠となる血のついたアイテムを探せ、という問題です。

前半部分でも言われた通り、バッジは福田さんから手渡されたもの。可能性は高いです。というかおそらくバッジでしょう。そういえば最終予選終わりにバッジを渡されましたが、「代わりはないから絶対に当日持ってこい」と強く言われていました。なるほど、あれだけバッジを強調したのはこの問題のためだったんだな、と考えると納得いきます。僕はこの長方形のサイズをバッジ2枚分ぐらいだと見誤っていたので、確信には至りませんでしたが、8割ぐらいバッジだろうと思っていました。

実際にこの問題が始まる直前に、僕が自分の付けているバッジを見ている様子がテレビに映っています。このときは「え?ひょっとしてこれじゃね??これ血付いてんのマジ?」と思っています。

解答スタートの直前、バッジを見ている

制限時間開始前にこれだけ分かっていたとはいえ、勝負に出る必要はありません。この問題はステージ内最終問題。現在3位のおいたくさんのタイムが迫るまで情報を待って押すことができます。おいたくさんは攻めるしかないので1秒で押しました。そのため、僕は30秒程度のところで押せばOKです。「バッジ」と書いた状態で動画を見ると、確かに答えが正しいことを後押ししてくれる情報がたくさん出てきたので、答えに確信を持ち、タイムが迫る5秒ぐらい前に押しました。

正解判定では、なんと鑑識の方がスタジオに登場。我々のバッジを持って行き、ルミノール反応の検査を行います。
この辺りの演出が、視聴者のみならず我々を楽しませようとしてくれてる感じがして嬉しかったです。実際めちゃくちゃ楽しんでます。

決勝進出!!!

準決勝 まとめ

このステージは1問目でほとんど決着が着きました。とはいえそれは2問目が誰も解けなかったからの話。もし誰かが2問目を解けていたら話は変わっていたと思います。というかこの問題を1回目の動画再生の段階で解けたらこのステージはかなり有利に進められたでしょう。今後Χの決勝大会の対策をすることがあれば、こういう問題が大きな課題になるかもしれません。ま、決勝大会に残るのが一番大変なんですが……

決勝

いよいよ、決勝です。ここまで勝ち進んでしまいました。

控室にも2人しかいません。2人となると流石にピリつきます。仲良く話してはいますが、お互いに今から倒すべき相手として強く意識している感じがありました。初めの方はとにかく楽しむぞ!の気持ちで望みましたが、流石にここまで来ると絶対に勝ちたいという気持ちが募ります。あと1つの戦いを制すれば、謎解き日本一です。リドラの皆さんはこの決勝戦という舞台にどんな謎を用意しているのでしょうか…?緊張と楽しみが入り混じった複雑な感情で、スタジオに呼ばれます。

最初には8つあった解答席も、いまは2つ。ピンクの席に座り、ボタンのチェックをします。決勝はやっぱり早押しなんだ。ロックボタンとは違い、押し遅れると解答権すら得られない。シビアなシステムです。
そして、去年と同じように、ただの早押しではなく、正解すると何らかの挑戦権を得るシステムなのでしょう。席に座って、簡単にインタビューを受け、説明を待ちます。

実は、準決勝までは松丸さんや芸能人の皆さんは別室にいて、イヤホンと映像を通してのみ会話を行っていました。しかし、決勝ではその皆さんも目の前にいらっしゃいます。その空気感が余計に緊張感を煽ります。

去年と同様、「トロフィーを手にしたら勝ち」というルール。そしてトロフィーの前には階段が。ここで松丸さんが、かたせさんにパネルを置きに行かせます。パネルの模様は△に!が書かれたようないわゆる「注意」のマーク。このパネルを置くと、何とびっくり。階段が回転し始めました。

大きな仕掛けに驚きを隠せない。

目の前で起こっているあまりに大きな演出に唖然としつつ、今起こったことをメモします。「△に!→上2つが回転」。
そして、「早押しで正解するとパネルを置ける。パネルは上にあるセンサーで読み取る。目の前にトロフィーに続く階段が完成したら勝ち。」とのことでした。よく分かりませんが、とりあえずパネルを見て回転の規則性を掴むためにも、早押しで正解しなければなりません。一旦、早押しに集中します。

1問目(早押し部分)

シンプルな1枚謎が来ると思っていたので、「空気清浄機を使った問題」と言われたときはかなりビビりました。そして画面に映し出されたのは煙で真っ白な画面。空気清浄機で徐々に謎が見えていく形式のものでしょう。

しばらく眺めていると、僕はとんでもない光景を目にしました。

「?が表 三文字は?」

どう見ても「す」が消えています。まずい。この問題、普通じゃない。
そして上にある「スモーク除去中」も認識しました。頭をフル回転させて今の状況を推測します。

ただ空気清浄機でスモークを除去しているだけの動画謎だったら、「スモーク除去中」なんて書く必要がありません。わざわざ書いてあるということは何か書く意味があるということ。そしてその記述と「『す』の文字が消えている」というおかしな状況を組み合わせて、「これは『すもーく』という文字が消えているのでは?」という結論を導きました。縦に「すもーく」を埋めて考えてみます。

このくらい思考が進んだところで、煙はだいぶなくなり、謎の大部分が見えていました。真ん中の例を処理します。「み6ー」が右のイラスト「ミラー」を表しているので、6が「ら」を表す。6番目に「ら」が来るのは音階です。ここまで分かってから、「よ5」を認識してボタンを押しました。

ボタンを押してから答えを求める処理に入ります。「5」は「そ」です。そして最後には「すもーく」の4文字目の「く」が入るはず。「よそく」。うん、言葉になった。間違いないはず。

「よそく」と解答。正解です。謎の解説の間は、頭を切り替えてパネルと階段のことを考えていました。1問解けたからといって当然安心できません。大謎を解かなければ勝つことはできません。

ていうかちょっとだけ話戻すんですけど、この問題やばくないですか???決勝戦1問目ですよ?こっちは結構緊張してるんだよ?いきなりガチ変化球出してくるマジ?ただ謎がだんだん見えてくる動画謎ならまだ良いんですよ。「スモーク除去中」マジ???自分よくこれ落ち着いて処理できたなあと思いますよ。この問題を決勝の1問目に出そうって言ったやつ出てこい。15分ぐらい説教します。

1問目(パネルを置くターン)

さて、1問目を取り、中央の台座へ。15枚のパネルを初めて目にします。ここで思ったことは、「やけに色分けがはっきりとしている」。おそらく何かしら色が関係した規則なのだろう。階段の色はよく見てなかったけど、一番下は黄色くなっている。パネルは黄・青・緑と縁取りの黒のみから構成されているので、たぶん上の方が青と緑なのだろう。そしてこのとき全部のパネルを見渡して、「どのパネルの絵も黒で縁取りがされている」「黄・緑・青すべてが使われたパネルは存在しない」ことも確認しました。

また、この時点ではまだ「パネルによって次の階段の状態が決まる」のか「パネルによって回転する段がどれか決まる」なのか分かりません。後者だとすると前の状態によって置くべきパネルを選ばなければならないので、戦略が求められるゲームになりそう。前者だとすると分かりやすく正解のパネルを置けば良いことになります。

一旦、規則が分からなければどうしようもないので、何かパネルを置くことにします。いま黄色だけが見えているので、青と緑が使われている地球の絵が描かれたパネルを置くことにしました。(このとき、「パネルにある色だけ回転するとかだったらこれが正解だな」と思っています。かたせさんが最初に置いた例のことを完全に忘れていました。反省です。)

すると、全ての段が回転し、青と緑だけが表に来る状態になりました。ここで、「パネルにある色だけが表に来る」と分かりました。そして、「勝つためには黄・緑・青の全てが表に来るパネルを置けば良いが、あの場にある15枚にそのようなパネルは存在しないので、それを見つけるのが大謎だな。」という言い換えをしました。

……この言い換えが僕の敗因となったことは皆さんも知っている通りです。最初に「どのパネルも黒が使われている」ということに気づいているのなら、「黒に対応する回転板があるはずだ」と考えるべきでした。しかしあの場の僕はそれをスルーして考えを間違った方向に固めてしまいました。この後、僕は3色全てが使われたパネルを探し求めて辺りを見回す人になります。

2問目(早押し部分)

漢字謎っぽい。例示の絵は「空」。左のドミノに書いてある漢字の1部分を組み合わせると確かに「空」という漢字になります。あとはどのような規則で1部分取り出しているのか考える必要があります。

ここで、「ドミノを倒そうとしているイラスト」である意味を考えると、実際にドミノを倒したときに見える部分が「空」であることに気づきます。あとは同じように下も考えるだけ。パーツを確認して、「客」になるな、と頭で思うと同時ぐらいにボタンを押しました。

「客」と解答。正解。再び中央の台座へ。情報は全て揃っているので、ここで決めたい、と思っています。

ここで一旦小謎の話。この小謎、面白い!漢字の一部を組み合わせるのにこんな表現方法があるのか。2問目のあとに僕の笑顔が漏れたのは、純粋にこの謎が面白くて、解けたのが嬉しかったから、です。

小謎が解けて嬉しかった故の笑顔。大謎は解けてない。

2問目(パネルを置くターン)

僕が1問目のあとにたどった思考としては

「バッジは?」→「あまりにカラフルすぎるので納得感ないし、あそこにはめるには小さすぎる。」
「消しゴム?」→「白い。あとこれも小さい。」
「他にパネルっぽいもので黄緑青3色使われてるものある?」→「見つからない…」
でした。

そして、かたせさんの時にパネルの裏に黒で「Χ」と書かれているのは確認していましたが、一応、全てのパネルの裏を見てみます。しかし、どのパネルも同じで、僕が求めている「3色全て使われたパネル」は見つかりませんでした。

どうしようもなく1分が経過し、とりあえず上手くいかないことは分かっていつつも最初に目についた黒矢印のパネルを置きます。思っていた通り、全ての段が後ろに行きます。

分からねえ…という焦りを抱えながら、解答席に戻りました。

3問目(早押し部分)

②に「いえ」をそのまま当てはめると「すいえい」になることを認識しました。ということは問われているのは③の「うす」をそのまま当てはめて「はうす」。

ここまで考えたところでボタンが押されました。これに関してはすいとんさん早すぎです。すごい。

3問目(パネルを置くターン〜ラスト)

今度はすいとんさんが真ん中へ。引き続き僕は大謎を考えます。このあと一発で決められることをこのときの僕はまだ知りません。相変わらずキョロキョロと会場を見回す僕。しばらくすると実況の矢野さんの「何だこの置き方は!?」という声。それを聞いた僕の頭の中に嫌な予感が走ります。

「『置き方』…?」

「あ、縦だ。」

そして、すいとんさんも縦にパネルを置こうとしているだろうということが、何となく、伝わってきました。パネルは上から読み取っている。確かに、パネルを複数枚、縦に置くことで、側面を読み取らせることができる。

僕が見たパネルは明らかに白だったはずなので、側面を見せることでなぜトロフィーに手が届くのか、僕はまだ分かっていません。ただ、たぶんこれは正解なんだろう、という予感だけは頭の中にあり、そのときの僕ははっきりと負けを悟っていました。

そして、ステージが回転し始めたのを見て、ようやく全てを理解しました。床を見ると、確かに黒いマットが敷かれています。その後は、テレビで放送された解説の通りです。


……ああ、面白い。

この決勝、めちゃくちゃ面白いじゃん。
すげえよ、これ。綺麗に思考の裏側を突かれてしまいました。

これを解くには「床が黒」「パネルを立てることもできる」という2つのことを閃く必要がありましたが、僕はどちらも気付けなかった。

明確な完敗です。

しかも、小謎の早押しで負けた訳じゃない。僕は2問先に取っているので、十分優勝のチャンスは与えられていた。あまりにも清々しい負け。

それにしても大謎が面白すぎる。本当に面白い。
決勝の面白さに感動しつつ、その面白い謎を自らの力で解くことができなかった悔しさで頭がいっぱいになり、ぐちゃぐちゃの感情を抑えながら、最後のインタビューに答えていました。

すいとんさんの「音」発言には恐怖すら覚えた。

本編撮影終了後、僕は解答席で「おもしれえ…」と言いながら涙を堪えられずにいました。一応カメラは回っていましたが、テレビでは使われなかったようですね。決勝がこんなに面白くなければ、この涙は流れていなかったでしょう。この涙が悔しさから出たものなのか、はたまた感動から出たものなのか、僕は説明をすることができません。

決勝大会全体を通して/おわりに

昼から始まり、ずっと謎解きをし続けたこの1日は、間違いなくいままでの自分の謎解き人生の中で最高の1日でした。

僕は広く謎解きというものを知り始めてから2年弱と、まだそんなに歴がある訳ではありませんが、それでもかなり多くの謎解きに触れてきました。一方、経験値が上がるごとに謎解きに大きく感情を動かされることは減っていきました。
謎解きは日常になり、楽しいとか面白いと思うことはあっても、それ以上に心が動くことはなかなか無くなってしまいました。

そんな僕が、決勝大会の収録に参加していたおよそ8時間の間、本気で頭を使い、本気で謎と向き合う中で、驚き、悔しさ、感動……様々な形で大きく感情を揺さぶられた場面が何度もありました。
決勝大会は、僕に謎解きの面白さを思い出させてくれた。長い間眠っていた感情を呼び起こしてくれた。そう思っています。

特に決勝戦は、自分が経験してきた全ての謎解きの中で間違いなく一番の体験だった。本当に悔しかったし、本当に感動した。

このような素晴らしい機会を与えてくださったリドラの皆様、そして大会に関わった全ての皆様に感謝を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。





……思えば、僕が謎解きの世界に入るきっかけも、松丸さんをはじめとした、当時AnotherVisionにいた皆さんが制作していた『東大ナゾトレ』でした。僕が中学生のときの話です。それと同じメンバーという訳ではないですが、現在リドラで制作を行っている皆さんにも、当時東大ナゾトレの制作に関わっていた方がたくさんいらっしゃると思います。

どうやら僕は、また同じ人たちにお世話になってしまったみたいです。
僕を謎解きの世界に連れて来てくれたのも、最高の経験を通して謎解きの面白さをもう一度僕に教えてくれたのも、皆さんでした。

本当に、ありがとうございました。





次は僕が、誰かのきっかけになれたら良いな。

次は僕が、誰かの心を動かせたら良いな。

皆さんからもらったいろんなものを胸に、僕は今後も、謎解きを制作し続けるでしょう。

これからもどうぞよろしくお願いします。

思い出の断片

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