2020/01/28 コントの中の人たち

突然ですが、私はコントが好きです。お笑いそのものが好きなのでそりゃあ漫才もコントも大好きですが、どっちと聞かれたらコントの方を取ります。どうしてと言われても説得力のある理由は出てこないんですが、何となくめちゃくちゃ大好きなんですよね。

「コントの中の人たち」はまさにコント好きのコント好きによるコント好きのためのライブでした。前回は残念ながら行けてないのですがバティオスだったらしく、バティオスから座・高円寺2に会場を大きくしたのは英断だったなあと思います。こんな良いライブ絶対一人でも多く観た方がいいし。
普段はここにレポなどを載せる都合上メモを取りながら観ていることが多いのですが、もう余程の執念と技術がない限りメモなんて取っていられない状況だったのでめちゃくちゃうろ覚えです。各コントの題名を載せた紙を配ってくださっていたのが幸いでした。

コントの中の住民たち

101   やさしさ / やさしさの人
102 「嫁」という漢字がおかしいと思っている人たちのオフ会 / オフ会の人
201   童貞総理大臣 童貞総理大臣の人
202  借金取り / 借金取りの人
203  美容室 / 美容室の人
301  アイドルコンサート / アイドルコンサートの人
302  出待ち / 出待ちの人

コント村があるならこちらはコントアパートといった具合でしょうか。実に色々な人たちが住んでいます。一巡目は表題のコントを行い、二巡目はエキストラも交えてそのアナザーストーリー的なコントを行うことでコントの中の人たちの人間模様をさらに見てみようというライブなのです。めっちゃ良くないですか?

やさしさは岡野陽一さんの鶏肉に風船をつけてあげる例のやさしいおじさんのお話。悲鳴が上がるどころか風船が上がっていく度に猛烈に拍手が上がり、あと一歩でおじさんと一緒に「頑張れ!」って言っちゃう人もいそうなくらいの熱気に包まれる座・高円寺2。みんなおじさんが大好きなんです。やさしさの人ではなんとおじさんが妻と二人の息子を持つ一家の大黒柱であることが分かります。長男は動物と書いて「うごもの」、次男は愛護と書いてそのまま「あいご」と読むパンチの効いた一家です。そしておじさんの確固とした美学も判明します。生命に対する行き過ぎた尊重は冒涜であり、生命を大切にしない奴は殺してもいい。かっこいいー!
「嫁」という漢字がおかしいと思っている人たちのオフ会はかが屋さんのコント。妻が家を出て稼いでいるのに表記では嫁と書かれるのはおかしい、という思いから生まれた上記の言葉がTwitterでプチバズりした男性が、同じ思想を持った妻と共にオフ会を開きます。「何かこの夫婦ア◯ウェイとか使ってそうだな…」という妙に信用できない感じが次のオフ会の人で爆発。第一回の勢いそのままに第二回も開催する夫婦ですが、やってきたのは彼らが予想していないタイプの人で…。決して夫婦は博愛主義者ではないことがよく分かる絶妙なやりとり。人間の嫌な部分が上手く炙り出されていてたまりません。
童貞総理大臣は昨年の行列の先頭グランドカーニバル2019でも(https://note.com/cheekama/n/n14d922f1df9f)披露されていたザ・マミィさんのコント。一国の主である総理大臣は五十二年物の童貞だった、ということが判明してからの総理と秘書の攻防が描かれています。童貞総理大臣の人はそれから十年後のお話。童貞の総理大臣として国民に親しまれ童貞イジりを受け入れることで外交も上手くやっている総理についに恋人が!何と流れで童貞も卒業してしまいます。どうなる童貞総理大臣!?どうする秘書の林田くん!?そして総理と痴女の愛の行方は…!?
借金取りはサメゾンビさんのあの手この手で借金取りから見逃してもらおうとする男とそれに巻き込まれながらも楽しんでいる借金取りのお話。人間の色々な側面を全部ひっくるめておおらかに許しているコントが大好きなんですが、まさにそういう感じの内容で初めて拝見しましたがとても好きになりました。借金取りの人では登場人物が増えてさらにパワーアップ。とにかくみんなでわちゃわちゃするのは大人数でのコントの醍醐味だと思っているのですが本当に良いわちゃわちゃになっていました。全力で入れ替わっていたランチさんの熱演が素敵でした。
美容室はジグザグジギーさんが演じるある美容室での一幕。正直これとそのアナザーコントでその日一番笑ったと思います。私、普段は「東京のシュッとしたコントが好きですけど?」みたいな面して構成がどうだのって言ったり言わなかったりしているんですが(客観的に見ると嫌な客だ!) はっきり断言できます。堂々とした下ネタが一番面白いです。でかい声でうんことかちんことかそういう単純な下ネタを叫んでるだけでも呼吸困難になるほど笑ってしまう…。美容室の人はアナザーコントの中で唯一同じ時間軸の話で、一本目の補完をすると同時にさらにその外まで想像の余地を広げられるような素晴らしいネタでした。
アイドルコンサートはGパンパンダさんの大好きなコントです。アイドル「りさぽん」の超古参TOの内本さんが現実を目の当たりにしたときの葛藤は、三次元の推しがいたことのある人間にはとにかく刺さる。自分はガチ恋ではないし推しの恋愛や結婚は気にしない派ではあるんですが、それでも推しは雲の上の存在なのであまりプライベートな部分を知りすぎるのは嫌なんですよね。でも本当はやっぱりちょっと知りたい。相反する二つの感情に板挟みにされた内本さんはアイドルコンサートの人で一つの到達点へ辿り着きます。でも一方で内本さんのように良くできた人間ばかりがいる訳ではなく…。ちょっとした人間讃歌でした。
出待ちはモダンタイムスさんによるやっと出禁が解けたヤバい女芸人のストーカーと女芸人の出待ちでのやり取りを描いたコント。自分も時折出待ちをするので素直に笑えない部分もあったのですが(もしかして私も要らない物を渡しているかもしれない、とか) 身近な題材であるからこそ現実との乖離した部分がとびきり面白く感じました。一本目でも名前が出ていた通り出待ちの人ではファイヤーサンダーの藤田さんが本人役で出ていたのですが一番サイコというか地味に狂った役でした。あれでいいのか?

コントの後は「住民定例会議」と称してコントの中の人たちが一堂に会し事前に寄せられた質問に答えていくコーナーだったのですが、コントの中の人たちとしての回答なのかコントをやっている人たちとしての回答なのかが分からず少しフワフワした感じに。しかし、「隣のマンションに住む上田さんはコント村なる集会を開いていて、『かが屋を守る』『若手芸人にお金を配りたい』と話している」だとか、「ザ・マミィはたけし杯優勝者無しに本気で傷付いている」だとか色々な情報が飛び交っていました。
最初から最後までコントに対する愛が詰まっていた本当に激アツなライブでした。元のコントが素晴らしいのは勿論ですが、エキストラであるフランスピアノのなかがわさん・ハルカラのランチさん・ファイヤーサンダーの藤田さん・ラフレクランのきょんさんが演じる様々な「中の人たち」の登場でコントの世界が広がっていく様にとてもワクワクしました。本当に良いライブだったなあ!

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