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コレクティブハウス本町田 新生活、はじめました #2(2/2)〜植物パワーとコーヒーの香りと〜

それは、ちょっと大きな植木鉢の移動から始まった。朝から屋外での園芸作業を終えた有志の面々、仕上げに館内1階にあったモミノキの鉢を三人がかりで2階に運び上げた。コモンルーム前の5~6m四方のスペースは自然の光も雨も当たるので木にとってはこっちがいいだろうと考えたのだった。ちなみに関係者から開所のお祝いにいただいたモミノキとコニファーたちである。

さて午後になり、再びここで顔を合わせた3人の男子(もっと正確に言えばオジサン)たち。しばし立ち話をするうち、Yさんから「コーヒー飲みませんか?」の提案、アウトドア好きの彼が持って現れたのは、キャンプ用のガスコンロと珈琲豆をミニ鉢ですりつぶす素朴な道具だった。

コモンルームからテーブル・椅子を持ち出して即席カフェーが始まった。通りがかりの人が飛び入りするたびに椅子を追加。一人分ずつ豆を砕いて淹れて注いで出す。メンバーは入れ替わり立ち代わり、次々と話に花が咲いた。コモン付き賃貸の人など含め10人くらいの人と犬も寄って行ってくれた。

秋の日は落ちるのが早い。とっぷり傾いた夕日が西側の山々(高尾山?)に落ちていく。前日の雨のせいで格別の鮮やかさに息をのむ。じっと見とれる人、スマホで撮る人。

日が沈むと急に気温が下がった。が、カフェーは続く。誰かがまっすぐ上を指さした。広がる空に輝く一番星だった。時のたつのを忘れるという通り、いつしか時が過ぎた。次はナべでもしようかと言いながら解散した。

3階建ての建物の心臓部ともいえる位置にありながら、これまではコンクリートの殺風景な「通り過ぎる」だけの場所だった。植物が空間を変えた。つられて人が集った。その活気とコーヒーの香りがさらに人を誘った。けっこう大きな建物に入居者はまだ多くないし、互いの交流が少ないと嘆くことも多い。そんな中ふと実現した、なんとも楽しくてぜいたくな数時間だった。(居住者K)

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