7-5 下僕、ついつい我慢できず爺の講義をちょいと逸脱す 小説「女主人と下僕」
天蓋のベッドの中であるから天蓋から下がったカーテンで朝日が遮られて薄暗くはなってはいる。
だが、それでも朝であるから、ベットで横たわったマーヤの白い裸身はディミトリには見えすぎるほどに良くみえた。
扇のように広がる艶々しい長い黒髪の上に、真っ白な、マーヤの肌理の細かい、内側から光るような裸身が横たわり、くねくねともだえる。
その肌理細かい肌のうちでも、特別に、まるで濡れて光っているのかと見まごうような滑らかでつややかな双丘が…その中心にはぷっくりと薄い薔薇色に色づいたちいさなちいさな突起を含めて…ふるふると震え揺れる。
ディミトリも自身の麻の灰白の粗末なシャツを脱ぎ捨て、鍛え上げた軍人のような精悍な半身を晒してマーヤにのしかかった。
「まって!ディミトリ様!どうか、お願いします、痛くしないで下さいませ...どうか、やさしく」
「大丈夫...心配しないで…俺の耳はまだ、聞こえます。今日はこないだみたいには訳がわからなくなどなっておりません。今日は、まだ、まだ、正気だ…」
だがそうはいってもディミトリは極度の情と欲の高まりのために、普段の職場でかぶっていた羊の皮…恐ろしげな首輪といかつい外見で人に必要以上に嫌われない為に、長年無意識にも意識的にも作り込んだ、やわらかい態度や、やさしい雰囲気…をついにどんどんと失ってきて、けだものめいた眼光を光らせはじめていた。
更には、昂りすぎて、まるで唸る野犬のような荒々しい溜息を何度も何度も吐くようになってきてしまっていた。
ディミトリの指が、唇が、マーヤの白い裸身の脇から線を描くように乳の突起を通ってへその下に流れていっては同じ線を通って再び脇に戻ってゆく。
今度はマーヤの頬を、首筋の敏感な部分を通りながら乳の突起を通り、そして同じようにマーヤの秘所ギリギリまで流れていっては、戻ってくる。
海岸の波が、限りなく、打ち寄せては返すように、ディミトリの指がマーヤの白く光る肌を流れていく度に、マーヤは時には甘いため息、時にはちいさな悲鳴をあげる。
その反応を見ながら、時にはディミトリは繰り返し繰り返し双丘の上だけにゆっくりとさっきと同じ線を這わせると、マーヤはいっそう鳴き声をあげる。
(技術をもって丁寧に時間をかけて奏でれば、女からはこんなものすごい反応が出るものなのか…!)
(女というのはまるで腕のいい楽師に奏でられない限りうんともすんとも鳴らない気むずかしい楽器みたいなものなのだな…)
(おそらくマーヤ様は生まれつき感度がすばらしい性質の女性ではあろう。だが、それでも、ザレン様から知った技がなければこの1/10も乱れさせることは不可能だったに違いない、しかもその技とは、こんな、知りさえすれば誰にだってできる、こんな、こんな、簡単なことだったとは…!)
そのうちにディミトリは乳の先を指で通り過ぎているだけでは自分が我慢が出来なくなって再び自分の唇で乳の突起を舐り出した。
「どうだい?…くすぐったかったり、痛くはないか?」
ディミトリの息は既に荒いにも荒く、できるだけ甘い優しい声を出そうとしているのに、声は昂りで震え、低く掠れてしまっている。
マーヤはただただ甘い鳴き声を上げる。
「…じゃあ、これは…?くすぐったすぎるなら、やめろ、って仰いなせえ」
ディミトリは、マーヤの反応を見て調子に乗ってきて、とことん優しく力を入れずに、柔らかく柔らかくではあるが、ついに突起の上半分にまで攻め込んでみたのである。
「ぁ!ぁ!…ぁ!」
マーヤは泣き咽びながら途切れ途切れに言った。
「う!...すごくきもちいいけど...だんだんと…身体がもどかしいというか...切ないというか...このまま続けられると...っ!ぁぁ...痛くないのに...何だかもう、頭が変になってしまいます…ぁあ!」
ただ、マーヤはシルクのネグリジェの上から乳の先端を舐られたときのように逃げ出そうとすることも、降参することもなく、そのまま舐られていた。
(…そう嫌がってはいらっしゃらない…?上半分もむしろ感じておられる…?…いける…!)
ディミトリは極度に荒い息を吐きながら上半分も舐り続け、尋ねた。
「もどかしくなるって...いったいどこがもどかしくなるんですか?...どこだ...!教えてくだせえよ...」
「え?...か、身体全体が」
「まだ、ご自分でも解らないかもしれないが...ひょっとして...ひょっとして…とくに…ここ…がもどかしいのじゃあないか、ね?」
ディミトリはうすい小さな白いレースの下着越しにマーヤの秘所をそっとなぞる。
マーヤは狂ったように手枷になったネグリジェを振り解き、必死で口を押さえたまま小さく悲鳴を上げた。
触った瞬間、じつはディミトリも脳天から背骨を通って1番下まで熱いものが身体を貫くほど興奮した。なぜって、憧れの貴婦人だったあのマーヤ様が、下着どころか、シーツにまで伝わるかというほどぬるっぬるに濡らしているのが解ったのだ。昔寝た、どいんらんのおかみさんや、何人かの金で買った女達などよりも、盛大に!
あの上品な女性が、この俺に、こんなに興奮してる!
「…驚いたぜ…貴婦人だって…マーヤ様だって…濡れるんだな…しかもこんなに…完ッ全にやる気まんまんじゃねぇか…いやはや、こんなにべっちょべちょのぬるっぬるになってる女なんてはじめてだぜ…」
まぁ、実のところ、ザレン爺からは「期待感や恐怖感から濡れるのと、本当に感じさせられて準備万端に仕上がる事は全く別の事だ。濡れたことを指標にするのは愚の骨頂だ。若い女で健康ならならまったく気持ちよくなかろうが、ひたすら怯えて恐怖で気が昂っているだけだろうが、阿呆みたいにどろどろのぬるっぬるになるもんさ」と、散々釘を刺されていたが、それでもディミトリはマーヤのこんなあられもない姿が、心底嬉しかった。
「ごめんなさい!お願い、そ、そんなこと仰らないで!ここまでこんなふうになるなんて、自分でも訳がわからないのっ!ごっ、ごめんなさい…ごめんなさい...!」
「?なんで謝る…?あ、そうか...申し訳ねぇ...えげつねぇ言い方しちまったのか...違うんだ、違うんだ、その、褒めたつもりだったんですよ...最高にすばらしいお身体です…これはすごくいい事なんですよ…俺はうれしいよ…俺がずっと好きだった憧れの方と床に入ったら俺にこんなに答えてくださるこんなすばらしいお身体をお持ちだったのが、俺は心底うれしいよ…」
「は、ずかしいです...!自分で自分がいやなの!ああ...ごめんなさい!」
そんなマーヤを見ながら、もう耐え切るのも臨界点に近付いて、ディミトリは欲が迫り上がって来る度に、マーヤから目を逸らして下を向いては、唸り声をあげる野犬のような溜息を何度も吐いた。溜息を吐いた瞬間、時にディミトリの腕にびっしり鳥肌が立ったほどであったが、それでもディミトリはなんとか耐えた。
(ザレン爺様は俺に「なぁに、途中で耐えられなくなったら、そのたびに、お前も、一発、二発、女の目の前で自分で女の腹の上にでもアレを出してしまえばいいではないか、そうすればお前もすこしは冷静になって続けられるだろう?さりげなく手を添えて誘導してやれば、案外と女も怖がらずに触ってくれることもありえる。...ひょっとするとそれどころかしゃぶってくれるかもしれん。処女だろうが何だろうが、女というのは一度肚が決まれば案外度胸があるもんだ」と笑って仰るが…馬鹿いうなよ!男の竿なんか生まれてはじめて見る方だぞ?!そんな女性に、しかもこれから一生添い遂げるであろう女性に、俺の気色悪い姿をいきなり晒せる訳があるかよ…!)
欲の昂りで息も絶え絶えになりながらも、ディミトリはそっとマーヤが口を抑えている腕を優しく持ち上げ、ぬめぬめになった下着の上から下着の布で、そうっと、そうっと、秘所をねぶるように撫でた。
「…どうだい?上の方と下の方…2箇所いっしょに舐ったら…上だけよりはいいんじゃねぇかな…?これならすこしはもどかしさも治まるんじゃないか…?」
マーヤは答えなかったが逃げようとせず先ほどよりいっそう切なげにすすり泣いた。
「な、マーヤ様、頼んます、どうか、口を押さえないで下せえ…貴女の、声が、聞きたいんだ...お願いだ!な、聞かせてくれ、聞かせてくれよ…!」
マーヤはもう訳が分からなくなってすすり泣くような声を上げた。
「…む、そうだ、いけねえ、もう一か所あっためなきゃならねえ場所があるんだった。もどかしいだろうが待っててくれよ。...この場所はあとで、マーヤ様が『もう勘弁して』って泣き出すくらいねちねちと可愛がって差し上げますぜ…そして、そして、俺は、中途半端に感じさせるだけ感じさせて放ったらかしにしたりは絶対にしねえ…俺は決してそんなずるはしねえ。責任持って、最後には必ず腰が抜けるくらいにすっきりさせて差し上げますから、安心して…な、安心して感じてて下せえよ…?」
そう言って、ディミトリはマーヤのおでこや唇に口づけの雨を降らしてから、秘所も胸も放り出して、ザレン爺から教わった、自分なら絶対に思いつきもしない箇所に移った。
それは。
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マヨコンヌの官能小説『女主人と下僕』
昔々ロシアっぽい架空の国=ゾーヤ帝国の混血羊飼い少年=ディミトリは徴兵されすぐ敵の捕虜となりフランスっぽい架空の敵国=ランスで敗戦奴隷に堕…
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