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9-5 されるがままの供物 ~小説「女主人と下僕」~敗戦奴隷に堕ちた若者の出世艶譚~



前話


女主人と下僕 ツタ


応接間のソファに向かい合わせに対峙しギリギリとにらみ合う、大男の爺と、その爺に似すぎるほど似た、精悍な浅黒い肌の若い男。爺の腕の中には蕾がほころびかけたばかりの麗しい女が、震え、くなくなと抱かれている。

「ディミトリよ…いろいろと女を雌にするポイントというものはある…だが…その箇所をくどくど説明はしない…なぜって、場所は女によって少しずつ違うから、言われた場所ばかり責めるなんぞ愚の骨頂だからな。きちんと反応を見ながら自分で探すしかないのだ。いいか、1センチ刻みだ。この女の全身すべて1センチ刻みに、全身くまなく、すべて、確認しろ。体調や年齢によっても変わるのだから、要するに、全部は無理にしても寝るたびに全身1センチ刻みに探すくらいの気概で行け。これは一生かけての宿題なのだ。」

滑稽といえば最高に滑稽な情景だが、だがしかし、それはまさに、老いた虎と、若い虎が、互いにけん制しぐるぐる回りながら雌をめぐって決闘する、野生動物が一生で最も滾る場面そのままであった。


勝気なはずのマーヤであるのに、マーヤは言われた通りに従って目を瞑ったままに言いなりになっていた。動こうにも脚がもつれてい動けないのもあるし、もういまさら、恥ずかしくて、ディミトリにどんな顔をすればいいかも解らなくて、目すら開けられないのである。


獣に追い詰められてぐったりと観念した獲物のようになっていた。


目をつぶったマーヤには見えていないが、ザレン爺は、ディミトリをにやにやとしながら睨みつけつつ、ディミトリに良く見えるように、これ見よがしに、....マーヤの頭をそっとたわむれに齧り、美しい髪の毛を大きな舌でべろり、べろりと舐めまわしはじめた。

目の前で、若い無抵抗な自分の女を、おぞましい大柄な老人が舐めまわして喜んでいる...!そして女の方も何をされているのか解らないまま刺激をすっかり受け入れさせらてしまい、身体を駆け巡る甘い痺れに身を委ねて舐め回されるたびに官能の甘い息を吐いている!


女主人と下僕 タコ挿絵



まるで物語に出てくる、海底の巨大な化け蛸だ。

確かに裸にひん剥かれて触られたわけでも何でもない、たかが髪の毛だ、マーヤだって薄桃色に肌を上気させながらただそっとかすかなため息をついているだけだ。

だが。だが。だが!

そしてディミトリはなぜか足がすくんだように固まってしまい、マーヤの姿を見つめ続けた。

「ほうら、解るか?髪を一本舐めあげただけで、マーヤの腰がわずかに震えたのが。つまり…ここだ。この髪の毛を辿った先の…頭部のここだ、この点に、マーヤが雌になるポイントがひとつ見つかったわけだ…いいか。女がぴくりと反応した時、時間差を加味してそのすこし前、その時お前がどこを触ってやっていたか、思い出して、気長に丁寧に丁寧に同じ作業を繰り返せ。…ひとつ大切な事を言っておく。女は必ずウソをつくぞ?たとえ処女でも、お前を喜ばせようと、ピクピク震えて別に感じていないのに感じたフリをして騙そうとするのだ。それは天性のものだ。健気なものよ。そして、痛みに思わず声を漏らした時も、それが痛みではなく、官能の喘ぎであるかのように芝居がかった鳴き声を重ねて誤魔化す。イヤな感じにくすぐったくてビクッとしたのを、お前に気を遣って、ああ、感じたわ、感じたわと大嘘吐いて、騙しにかかる。…その数限りない数のウソを見分けて、全部除外するのだ。わしだって正直なところ、分からんよ。…しかし、男のわしが見てすらゲンナリするような勘違いをして一生生きている糞どもはこの世に沢山いるがな…」

「まあとにかく女が心地よく感じるような全身のポイントを丁寧に、丁寧に、丁寧に、ひとつずつ見つけてゆくのだ…」

「それができないと…この女と一生添い遂げて毎晩毎晩、鳴かせたつもりで、ちょっと自信のある竿でただ物理的に痙攣させてそれなりに絶頂させたに見えたとしても…この女の本当の…雌に変身し喘ぎ狂う変わり果てた、本当の本当のいやらしい顔なんぞ、一度も拝めないというわけよ」

「まぁ、いくらなんでもこの状況であるから、いま、マーヤがしっかり身体を開いて心地よさに委ねることなどありはしないが…本気の時の1/100でも、それでも、まぁ、ほれ」

ザレンはマーヤの肩にそっと掌を置いて、その場でその掌を捻るようにしてマーヤの肩とシルクのブラウスを軽く掴み揺らした。

たいした動作ではない。肩を温かい大きな手のひらで包み込まれながら、シルクのブラウスの布が上半身の上をわずかにさわさわ動いた、それだけの動作だ。

笑ってしまうくらいに頼りない、刺激だ。

だが、さっきまでの、ただ一箇所を触れるか触れないかの淡い、淡い、淡い、刺激と較べると、極度に敏感になっている肉体に、いきなり何倍もの刺激が、マーヤの上半身全体を撫でまわした事になる。

急にがっしりした熱い手のひらがそうっと自分の肩を包み込んだと思ったら、その瞬間わずかに2、3センチブラウスがねじれて持ち上がり、その絹の布が、突然、マーヤの乳房、乳房の最も敏感な先、マーヤの二の腕、マーヤの鎖骨、マーヤの背中、ありとあらゆる上半身の敏感な部分を狙ったようにくすぐったのだ。

「ひぃいいいいいぁぁあ!!!」

マーヤは必死で自分の口を押さえ、目を開けて真っ赤な顔をしてふるふると震えてイヤイヤとするように身体をくねらし俯いて縮こまった。

驚いたのも無理はない。

自分から自分でないような、ケダモノじみた声が勝手に出たのだから。

「どうだ…ん?ディミトリ?聞いたか?…事によると、この間お前がマーヤの秘部を舐めまわしてイかせた時なんぞよりも、案外、雌っぽい声で…鳴いたくらいじゃないか?おお、マーヤ、大丈夫だ、大丈夫だ、安心しろ、これはお前が健康な身体をもつならば誰にされたってこうなるだけの当たり前の事なのだ…なんの恥ずかしいこともない…」

ザレンはそんなマーヤをあやすようにソファーの後ろから悠々と肩をさすってなだめた。

「あとこれも初歩的すぎる、大切な事だが、念のため言っておこう。女に息を吹きかけるときは、ほうれ、そうやっていまのお前のように、浅ましく興奮して口でハアハァゼイゼイと息をしてはいかん」

怒りと興奮で肩で息をしているディミトリを、ザレンは嘲るように、指摘した。

「もちろん息を吹きかけるのは性技のひとつだが、蝋燭を吹き消すようなやり方ではバカ丸出しだ。口で呼吸した息は冷たい。女の身体は冷えると身体が緊張して興奮が覚めるように出来ている。だからお前のそのような息づかいはわざと女の官能をそれこそ蝋燭のように冷たい息で吹き消している。いいか、ディミトリ。どんなに興奮してしまっていても必ず鼻で息をしろ。そして口内に自然に溜まっているだけの温まった息をな、出来るだけ温めて、そっと、ふうわりと女の肌に転がしながら移すように…そうだなぁ、生卵の黄身があるだろう、仮にあれを口に含んで割らずに女の肌に乗せようとするような、常にそんな力加減で口内の息を女の肌にそっと落とせ」

優しくマーヤの肩と背中を撫でさすっていたザレン爺は頭を垂れてマーヤの耳たぶと首筋のあたりを、自分の鼻筋で柔らかく撫でくすぐりながら、熱い、熱い息を、ゆっくりと吐いた。

「えぁああああんんあっ!!」


薔薇  細い



「な?こないだお前が冷たい息をふーふー吹きかけた時よりも…マーヤにとっては好きでもなんでもないこの老ぼれ爺いのくさい息の方が…反応がいいだろう?」

息を吹きかけられただけで!息を吹きかけられただけで!それも好きでもない男に!好きな男の目の前で!もうマーヤは訳が分からなくなってギュッと目を閉じたまま力が抜けた両手をやっとこさで交差して必死に自分のからだを隠すようにソファーの上で震えながら縮こまった。

だがそれでも、さっき一度、徹底的に身体を開かされ、普段のちょっとした刺激でも性的な快感に感じるモードにされてしまったマーヤは、頭で感じていることとは関係なく、身体中から熱い官能の痺れを感じていた。

「あ、そうそう。マーヤは乳房が非常に大きいから、若い男はそればっかり気になっていじり倒してしまうだろうが、実は乳房の脂肪の部分には感じる部分などほとんどない。つまり乳房が大きい女ほど、触られても内心はちっとも喜ばんという訳だ。この世は皮肉なもんだ…だが!」

そう言いながら、今までマーヤの座っているソファーの真後ろに立ったままマーヤに手を伸ばしていたザレンは、つかつかとソファーの裏から歩いてきて再びマーヤのすぐ隣のソファー肘掛部分にドッカと座る。

そしてさらに縮こまっているマーヤをソファーの上で軽々と持ち上げるようにして正面座りからやや斜め座りに方向転換させて、ディミトリにちょうど、マーヤ斜め横と、横向きの豊かすぎるバストがよく見えるように座らせ直した。

ところが、そうやってザレン爺に無造作に身体を掴まれただけですら、掴まれたマーヤのその腕と、子宮のあたりに、熱いしびれが伝わって来るのだ。

「だが、大きな乳房の女でも、丁寧にポイントを探せば感じさせる事は可能だ。たとえば、ここはお前がきっと思いつかない場所なんで言っておくが、乳房をかき分けるように持ち上げてしまえば、脇の下の肋のあたりに結構感じやすい箇所がぽつぽつあるはずだ。こんどよくよく探してみろ、でな、要するにこの辺なんだが、戯れに、こうそっと、絶対に痛くない程度に」

ザレンはマーヤの乳房を持ち上げるようにして脇の下から乳とは言えないほど脇の、肋骨の柔らかい胸の肉を、そっと、軽く噛んだ。

「あああああっ!!!」

その時、息も絶え絶えのマーヤは、口をぱくぱくさせるだけの、ほとんど聞こえるか聞こえないかの声で、ほんのほんの微かに、

「ディ...ディミトリ、さ、ま…!」

と喘いだ。


「マーヤ!」


やっとディミトリが我に返って、マーヤを奪い返そうと、椅子からガタンと立ち上がり手を伸ばした瞬間。

ザレン爺は、そのディミトリの動きの虚を突き、ディミトリの動きのリズムをわざと封じるような絶妙な呼吸で

「と、まあ、こんなもんかな。どうせ急にたくさん教えても頭になんぞ入るまい、ほれ!マーヤを返すぞ」

と、ぐったりしたマーヤをそっと抱えるように抱き起こすと、あくまで優しくであるが、向かい側のソファーにいるディミトリにマーヤをどさりと投げ与えた。

ディミトリは 身体を火照らせたマーヤを抱きしめ、ザレン爺に返事をしないまま、無言でザレンを火のような瞳で見つめている。

「ディミトリ?どうした?…まさかとは思うがマーヤに怒ったりはしてないだろうな。もし悪いとしたら100%お前が悪いのだぞ…おい?返事はどうした。耳が聞こえているのか?…念のため言っておくが、マーヤはな、健気にも、お前のためならと悪い爺に騙されて、こんな芝居にいやいや参加してくれたのだ。お前のために受け入れたのだぞ?それをこんな下らんことでマーヤの頬を打ちでもしたら、わしは即座にお前を殺す…敗戦奴隷の定めに沿った処刑にかけるまでもなく、わしの手でな」

ディミトリはゆっくりとマーヤを抱えて立ち上がった。

しばしの沈黙があった。

「それはこっちのセリフですぜ…こ、こんなになるまで虐めやがって…」

ディミトリは必死でザレンを穴が開くほど睨みつけているが、肩は息をして完全に動揺している。マーヤを抱く、ディミトリの若さで艶々と光るような、健康的に浅黒く日に灼けた、大きく、筋張った、その10本の指は、怒りではなく、

訳の分からない、未知なるものへの恐怖で震えていた。

「おお、そうだ、マーヤ」

ザレン爺はまるで怒り狂うディミトリなど、眼中にないとでもいうように、堂々とディミトリの腕の中のマーヤの手を取り

「姫さまに、逢瀬の最後の別れの挨拶を忘れておったなぁ」

ザレン爺は激昂するディミトリの目の前で堂々とディミトリの腕の中のマーヤの手を取り手の甲に再び口づけた。ただ手の甲に口づけされただけなのに、すでに敏感になっているマーヤに再び、熱い、熱い、電流が走る。必死でマーヤは口を押さえて鳴き声を漏らさぬように耐えた。

だが、そこにザレンは、ディミトリにばれないようにマーヤの手の甲からマーヤの薬指と中指の間の指の股に熱い舌をぐっと差し込み、犯した。

「ぃぃぃぃいァッ!」

ディミトリの腕の中にいるというのに、自分の口を硬く押さえたままだというのに、マーヤはまた獣じみた声を上げてしまった。

マーヤを腕の中に抱きしめたまま、呆然としてディミトリはその、自分の知らないマーヤの嬌声を、のけぞる様を、見つめていた。

ザレン爺はマーヤのちいちゃな白い手の甲に唇をつけたまま平気ですぐ至近距離にいるディミトリを目だけで見つめて、目をぎらりと光らせ、

にいやり、

とディミトリをあざ嗤った。

ディミトリは目を見開いたまま、マーヤの手の上に、マーヤと共にほぼ自分の腕の中で自分をあざ笑うザレン爺の顔を至近距離で見つめた。

ザレン爺はゆっくりとマーヤの手から顔を離して言い放った。

「ディミトリ。…裏口の近くに馬車を待たせてある。今のマーヤの雰囲気では、他の使用人に見られるとちょっとあれだからな。目立たないように、裏の階段から、マーヤを馬車に載せて、家に送り出してやれ。…ディミトリよ、マーヤを馬車に乗せて送り出したら。すぐさま戻って来い!話がある」

「…ちょうど良かった。俺もザレン様に話がある!」

砕けた腰でディミトリに縋り付いているマーヤはハッとしたような顔で、ザレンに振り向いてザレンに叫ぶように懇願した。

「ザレン様…ディミトリに何をなさる気なの?!止めて!ディミトリに罰を与えないで!!!」

ザレンは堂々とそんな2人をまとめて抱きつかんばかりに、ずい、と近寄り、ディミトリの腕の中のマーヤを平気で撫でる。

今度は官能を全く感じさせない撫で方だった。

「大丈夫だぞ、マーヤ、お前が心配するような事には決してならん…実に、上首尾に行った…上首尾に行った…ふ、ふ、ふ、筋書き通りよ!!!可愛いひよこの赤ちゃんや、お前のおかげだ…まかせておけ、まかせておけ、後で爺いが全てうまいこと全て解決して見せるからな?ん?心配しないでいい、お前は今日は安心してお休み…?」

そしてザレンは向き直り、ディミトリの頭にずいと近寄ってがっしりとディミトリ抱き寄せ、マーヤに分からないよう、ディミトリの耳たぶに唇を寄せて低い声で囁いた。

「…馬車に乗り込んだタイミングで…馭者にバレないように、そっとマーヤのスカートの奥に手を突っ込んでみろ…そして、お前が昂らせた時と濡れっぷりを較べてみるがいい」

息も絶え絶えなマーヤは、無言のディミトリにしっかりと抱きかかえられるようにしながら階下を抜けて、そして、馬車に載せられた。

馬車の車内に入った、その瞬間、マーヤは跳ねるようにしてディミトリにしっかり抱きつき、上擦った声で叫んだ。

「ディミトリ…お願い!決してザレン様に手を下す事はやめて!私はあなたと結婚したいの!あなたと結婚したいの!もしあなたがザレンに何かしたら全てがおじゃんになってしまうわ!お願いよ!絶対に手を下すのは止めて!もしあなたがザレン様をどうかしたら私は自害します!どうか!ディミトリ!」

ディミトリは何も言わずにマーヤのスカートにずいと手を突っ込んだ。マーヤはハッとして両脚をがっちり閉じようとしたが、もちろんディミトリの馬鹿力に勝てるわけもない。ディミトリはマーヤの下着を探し出し、薄い布一枚がもうなんの意味もないほど濡れそぼってあまりのぬめりっぷりに触ると布が秘部の上をヌルヌルと滑るのをしっかりと撫で回すように確認して、絶望したように熱い息を吐き、かっと見開いた眼で、マーヤを睨みつけた。

その時マーヤはディミトリに殴り殺されるかと本気で恐怖した。

だが、なにも言わずにディミトリは、優しく、しかし硬く、マーヤを抱きしめると、何も言わす、跳ねるように駆けながらザレンの部屋にもどっていったのである。

「ディミトリ!」

しかし馬車は出発してしまい、馬車のガラガラという音に、マーヤの声は掻き消され、裏口に戻り、ザレン爺の書斎へと一目散に階段を駆け上がっていく、ディミトリにはその声は聞こえるはずもなかった。


女主人と下僕 もも

次回



女主人と下僕 ツタ


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いやだから、わたくし、貞節な奥様ですってば。


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