1-8 茶舗の従業員たち、下僕にマジびっくりする ~小説「女主人と下僕」~敗戦奴隷に堕ちた若者の出世艶譚~
ディミトリと、ディミトリに抱えられたヨサックは、中庭の作業場の奥の奥の行き止まりの方に消えていった。
周囲の人々はもちろん、1番驚いたのは、ディミトリを焚きつけた張本人である、マーヤだった。
確かに、胸の中のとても深い所で、マーヤの中の何かはうっすらと感づいていた。
しかし脳で理解したのは今がはじめてだった。
(やはり!やはりあの男、肚の中は太い男だった。だって!ふだんあれだけ、人に優しくできる男ですもの!他人をかばえる男ですもの!そんな心の広い男が、ただの意気地なし