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テレワークとサブスク別荘

夫は昨年転職活動をし、1月から新しい職場で働いている。
職場と言っても基本的にはテレワークだ。

仕事仲間には
鹿児島の離島で働き、夕方には食料調達のため釣りに出て会議に出なくなる人、
北海道で親の介護をしながら暮らし月に2回ほど出社している人、
など様々な働き方をしている人がいるらしい。

コロナ禍で在宅勤務が普及したとき、
地方で暮らしながら仕事をすることや多拠点生活の可能性を考えた。

夫婦ともに登山をするので、山が近い生活、というのは常に憧れだ。
出勤前に朝活ひとのぼり、アフターワークでひとのぼり、
朝起きたら天気がよかったから山に行くことにした、
そんな生活が、山が近ければ成立する。
都心で暮らしているかぎり、山は車で何時間も移動した先にある目的地であり、週末の天気予報とにらめっこして気合いを入れて向かう場所だ。
窓の外を見たらその日の山の機嫌を伺えるような生活があれば。。

この視線の先にビルではなく山があれば

ただ、それほど在宅勤務が定着するのだろうか、という疑問とも不安ともつかない思いが拭えず、
また、先々におそらくあと何回か転職することも織り込んで考えると、
地方に定住先を持つことは転職の可能性を狭めるように思えて、保留となった。
やがて社会がオフィス出勤の重要性を唱え始め、保留は、却下へと変わっていった。

コロナ禍が落ち着いてきた頃に夫は転職して、今の会社でほぼフルタイムのテレワークが可能となったわけだが、
私の仕事との兼ね合いもあり生活は変えていない。
夫がこの会社で定年を迎えるとは限らないし、会社のテレワークの方針が変わることもありうる。

結局のところ、私たちにとって、本宅にしろ別荘にしろ不動産を持つことは今現在は足かせになるような気がしてならないわけだ。

そんなときにふと目にしたのがサブスクの別荘に関する情報だ。

ワーケーションという言葉ができて、
ホテルなどもワーケーションプランを打ち出すようになってきたが、
やはりホテルはホテル。
キッチンがあり、ある程度生活ができる静かなプライベート空間を理想とすれば、
ホテルの一室では息苦しい。
とはいえ広々とした離れのような客室でキッチンまで付いているようなところを数日単位で使用すれば非現実的なお値段になる。
テレワークのために別荘を購入できるような富裕層であれば
そもそも悩んでいない。

何かいいものないかしら、とアンテナを張っていたところ
鶴の一声のように登場したのがこの別荘サブスクサービスだ。

東京に職場と住居がありながら、
地方に仕事をできる別荘がサブスクで持てる。
これなら東京の家を縮小する必要なく、別荘として不動産を所有する必要もない。
賃貸とも違うので、維持管理にこちらの労力が必要ない。
嫌になればサブスクをやめればいいだけ。
これは…!これこれ、これじゃないか!これだよ!

夫婦で興味を持ったのはこの記事にある『SANU 2 nd Home 』というサービスだ。
山好きとしては、北杜市に拠点を持てるということがまず最高だ。
そして、月額55000円という絶妙な金額設定。
決して小さな金額ではないが、なんとかなる額だ。

早速サブスクプラン加入のウェイティングリストに登録し、
(現在希望者が殺到しているらしく、登録時点でわたしは登録待ち5500番目くらいだった)
登録者も宿泊料金を払うことで利用可能なお試し宿泊体験でどんな施設か使ってみることにした。

夜のキャビン

宿泊当日は八ヶ岳で軽く遊んだ後にチェックイン、と思っていたが思いのほか積雪が多くしこたま雪に翻弄されて時間を食ってしまい、
15時チェックイン開始と同時にのんびり過ごす目論見ははずれてしまって到着時にはすっかり夜のとばりが。
ウェブで写真は見ていたが、実際に見るとやっぱりおしゃれなキャビンだ。
暖色の照明と雪にほんのり照らされていてなんだかほっとする。
チェックインはオンライン化されており、誰とも接触することなく面倒なやりとりもなくスムーズに入室することができた。
自分たちだけでことが進むので、本当に自分が所有しているかのような別荘感がある。

快適で心地よい
広さがちょうどよい

入ると右手にキッチン、左手にバストイレ、
奥にはベッドと書斎、そして奥壁一面の大きな窓。
バストイレ以外は壁で隔てられた別室の作りになっておらず、湾曲した木の壁に半円の穴があいてつながった空間になっている。
視界が遮られず、天井も高いので広々と感じる。

早速横になる
IHコンロ、火力は十分

キッチンはけっこう充実している。調理用具やカトラリー、基本的な調味料は一通り備えられているし、オーブントースター、レンジ、電気ケトルはバルミューダで揃えられている。
朝夕と食事を作ってみたが使い勝手はよい。
よほど凝ったことでもしなければ困ることはなさそうだ。

部屋は機密性が高く、ペレットストーブで雰囲気はあるし、もちろんエアコンもあり、暖かく過ごせた。

メディアで取り上げられることも多い北杜市の有名スーパーで
買い込んだものを皿に盛っただけでやだおしゃれ
ストーブの炎を見ながらデザートも

テレビは設置されていない。
スマホをBluetoothでスピーカーと接続し、
音楽を聴きながら夕食をとった。

夫によると、ネットワーク接続に少々難あり(夫はそちらの専門、門外漢の私にはさっぱりわからないのだが、テレワークするにあたりVPN接続するときにちょっと特殊な技術が必要になるのでネットークが専門じゃない人はけっこう困るんじゃないか?とのこと)だが速度は十分らしい。
静かで窓からの景色がよく、圧迫感がなくて落ち着く。
キツツキがいる。
雪溶け水が滴る音がする。
そういった小さな自然の音がふと耳に入って心地よくなるくらい、静かだ。
夫も気に入ったようだ。

絶対値で考えると我が家にとっては月55000円はパンチの効いた金額だが、正直言って、このクオリティなら全然安い、安すぎるくらいに感じた。
来月から10万になります、と言われても、まあそうだよね、と承服するだろう。

森の中で焚き火を囲むこともできるスペースがある
朝ごはんもいい感じ

テレワークはあくまで仕事なので、
観光地よりこういった静かで落ち着いた別荘のような拠点のほうが相性がよさそうだ。
在宅もよいが、時にこうして気分転換をすると
違う発想が生まれることもあるだろう。

イノベーションを大事にする企業では、
積極的にテレワークを取り入れたり、
休暇を取りやすくする。
その理由は、生活に別の要素をインプットする時間を持つことでイマジネーションを広げ、新たなイノベーションにつなげられるからだと聞いたことがある。仕事で忙しいと生活と仕事で押し流され、インプットもアウトプットも低下する。

働き方、暮らし方に新たな視点が加わるし、
そもそも建物も非常によくできてるし、これはいいなあ。

そしてまた、別荘についての検討が始まる我が家であった。

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