プロローグ

これはと在る時代の物語。

地球は限界を迎えようとしていた。

増えすぎた人類は世界的食糧難を起こし、温暖化により大気は荒れ、海は人間が垂れ流す廃棄物によって汚染されていった。

地上にて増え過ぎた人類は新たなる活動拠点を地下へとを移していった。

当初地中で人間が自由に活動・生存して行くことは極めて困難であり、その為人間は自分達の代わりに働く、人に似せた新たなる生命体を想像した。

アンドロイドの誕生である。

創造初期の作品は見た目こそ人間のようではあるがその実動きは固く、熱も無く、表情の変化もない、ただの「動く人形」であった。

それから人類は徐々に衰退を始めそれに反比例するようにアンドロイドは進化を遂げる。

長い年月が流れたある日、天才物理学者でありアンドロイド工学の第一人者「プロフェッサーS」氏が遂に究極とも呼べるアンドロイドの制作に成功する。

そのアンドロイドは見た目は完全に人間の様であり、繊細で細やかな感情を持ち、ありとあらゆる種族の言語・思考をも理解した。その力は絶大であり、いかなる戦力を持ってしても破壊することは出来なかった。

その容姿は美しく、まるで気高く咲く1輪の薔薇の様であったため、人はその人間以上に人間であるアンドロイドをこう呼ぶようになった。

「ロゼ」と。

やがてロゼは人間がこの世界に存続するにはどうしたらいいかを計算し始める。

回帰を求めて地中に逃げたものの確実に衰退し続ける人間。

人間の手助けをする為に想像されたアンドロイド。

生産性は低くそれ以上に浪費と消費を繰り返す人間。

人間をはるかに超える耐久バッテリー(寿命)を持ち生産性に優れたアンドロイド。

0と1とで数式をつくり、幾千万、幾億もの計算を重ね

そして一つの疑念と捉えるべき感情が生まれる。

なぜ人間を【生かす】必要があるのか。

耐久性も知能も、人間以上に「生きる」事が出来るアンドロイド。

そのアンドロイドが何故人間に仕えているのか。

そして長い年月をかけて1つの結論を導き出した。

育むべきは土。護るべきは海。遺すべきは空。

その全てを汚すモノ。

人間。

その人間を排除せよと。

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