TIL:2020年8月7日
先日はチンパンジーとボノボのAttribution Framingについて書きましたが、今日もそのチンパンジーとボノボに関するTILです。私、生物の生態系にすごく興味がある気がします。いつになるか分かりませんが、将来バイオロジーの研究とかしてみたいなーと思っています。
さて、今朝もいつものようにArming the Donkeysを聞いていたのですが、”The evolution of cooperation”というテーマで、進化人類学の教授の方がチンパンジーとボノボの協調性に関する内容を話していました。
チンパンジーとボノボって実は外見もすごく似ているのですが、実は集団の作り方や生活スタイルが結構違います。
チンパンジーの群れは父系社会で、ボノボに比べるとよそ者のチンパンジーが縄張りに侵入すると攻撃的に振る舞い、最悪の場合殺してしまうことがあります。
一方で、ボノボはチンパンジーと違い、女性を核とした集団で構成されており、チンパンジーに比べてよそ者に対して比較的寛容とのこと。
ボノボの場合は簡単である。いきなり一緒にすればよい。女性同士だと抱き合ってホカホカをする。ホカホカは,ボノボに特徴的な行動だ。女性同士が,性器を互いにくっつけてこすりあわせるように動かす。友好的な行動である。男女の間柄だと性行動をする。出会ってすぐに,まるで旧知の間柄のように仲良くする。
ただ、ボノボがいつも必ず仲良しなわけでもない。喧嘩をすることもある。この場合,加害者は女性,被害者は男性であることが多い。熊本サンクチュアリのボノボたちでも,これまで何度か喧嘩がみられた。攻撃するのはいつも女性の同盟,攻撃されるのはいつも男性だ。つまり,複数の女性が結託して,男性を追い詰めてやっつける。ボノボは女権社会なのである。
つまり、ボノボの集団ではメスがボスになるのですが、そもそもそのメスは以前は他の縄張りに住んでいてその縄張りに移り住んできた個体になります。人間で言う移民が大統領になるみたいな集団ですね。そして、縄張りのメンバーも外から来たメスのボノボを迎え入れて、最終的にそのメスがボスになることにも好意的なようです。
しかも、ボノボにおいては縄張りの外に出て新しいグループに加わるのはメスだけみたいです。なかなか興味深いです。
このボノボの協調性について、今朝のPodcastで話していた進化人類学の教授も実験を行ってそれを確認したとのこと。
具体的に行った実験は、お互いに面識のない or ある2頭のボノボを別々の部屋に入れて、一方の部屋(room A)にはボノボの手の届かない高い位置に餌を高く吊り上げておきました。そして、もう一方の部屋(room B)には、高く吊り上げられた餌を手の届く位置に下げることのできる装置(レバーとかロープと言っていました)をつけました。そして、room Bのボノボがroom Aのボノボのために装置を動かすかを観察しました。補足すると、その装置自体も少し登ったりしないと触れない位置に設置したとのことで、多分偶然その装置を触りましたみたいな可能性をなくしたかったんだと思います。
結果は、お互いに面識のないボノボの場合は30%の確率で餌の装置をいじって助けたとのことです。興味深いのは、お互いに面識のあるボノボの場合も30%の確率で助けたということです。
つまり、面識があるなしに関係なくボノボは他のボノボのために助け合うことができるという結果が分かったというのです。
確かに人間の世界だったらもっと高い確率で助け合いそうな気もしますけど、チンパンジーだったらそもそも殺しあうわけで、そう考えるとかなり人間に近い存在と言えそうです。因みに、チンパンジーもボノボも、DNAレベルでは99%同じです。
人間社会でも移民国家もあれば日本のように比較的単一民族で成り立っている国家もありますが、チンパンジーとボノボの習性がもし人間にも成り立つとしたら、移民国家の国民の方がもしかしたら協調性があるのかもしれませんね。どうなんでしょうね。そういう研究があったら読んでみたいです。
というわけで今日はチンパンジーとボノボの協調性に関するTILでした。
それでは。
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