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TIL:2020年8月14日

昨日は、甲一体(シュータン一体型)についての気付きとアイディアについて書きました。

さて、今日はナイキのジェネレーティブ・テクスチャー(以下GTと記載)についての気付きとアイディアです。

ジェネレーティブ・テクスチャー(GT)の凸構造

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ナイキのウェブサイトの文章を引用すると以下になります。

ボールとスパイクの関わり方をマイクロレベルで研究し、圧力分散図やデータポイントを作り、ジェネレーティブデザイン(人とコンピューターが共同でデザインすること)を起こすパラメータを導き出しました。もう一つ重要な情報としたのは、力の方向です。これらの研究を通し、スパイクに活用できる新しく有効かつ革新的なテクスチャーを生み出すことを目指しました。

私が興味あったのは、このGTを作り出すアッパーの凸構造でした。

GTはアッパー表面にラバーなどの素材をもう一枚重ねたりしているわけではないとのことだったのですが、実際触ってみて確かにその通りでした。

しかし、どんな加工技術使っているのかグーグルで調べてみてもヒットしませんでした。一応英語でも検索してみましたがヒットしませんでした。

そこで、自分なりに方法を考えてみたのですが、パッと思いついたのはPuff print(Puff ink)です。

下の動画が参考になりますが、Puff inkをスクリーンプリントのように塗って、ドライヤーで温めると、インクがPuffする(凸を作る)仕組みです。

パフインクは、プラスチゾル(PVCなどのポリマーベースの液状可塑剤)に、パフインクの添加剤を加えたもので、パフインクの量を多くすると、よりプリント部分が凸になります。

このパフインクをフィルム表面に事前に塗ってパフを作ってから、ニットと熱圧着したのかなって思いました。

もしかしたら全然違うかもしれないので、知っている人がいたら教えてください。すごく興味あります。

因みに、昔別のシューズでパフインクを使ったサンプルを触った時は、引っ掻いたりすると結構パフ部分が取れたりしたので、GT表面の耐久性がどうなっているのかすごく気になります。ナイキのことなのでそこらへんもある程度は考えて作っているとは思いますけど。

GTの次に来るものは?

さて、気になるのはGTの次に来るものです。個人的には、このGTの表面構造の微細化をして欲しいと思っています。どれくらい微細化して欲しいかと言うと、ナノレベルです。

微細化してどんなメリットがあるかというと、ボールとスパイクのコンタクトエリアを最大化できることと、素足感覚に近くなることです。今の数ミリ単位での凸構造よりも、ナノレベルの微細構造の方がボールとのコンタクトエリアも広がってグリップの調整がしやすくなると思います。また、微細構造により突起の高さが低くなるので、より素足に近い感覚でボールを蹴れるようになるんじゃないかと思います。

更に言うと、この微細加工が可能になったら是非バイオミミクリを活用して欲しいと思っています。

バイオミミクリ(Biomimicry)とは、自然界、生物の仕組みに学び、そのデザインやプロセスをまねる(またはインスピレーションを得る)という視点で技術開発を行い、社会の問題の解決と環境負荷低減を実現しようとするコンセプトです。

例えば、サメ肌です。レーザーレーサーに代表されるように、サメ肌は水の抵抗を小さくするという特徴がありますが、興味深いのは、付着物が付きにくいという特徴もあることです。うろこに微細構造がついていて付着しにくい構造をしています。

実際、医療施設でバクテリアの付着を防ぐ目的で、サメ肌のフィルムなんかも開発されたりしています。

発想としてはナイキのACGに近いですが、どんな天候の時にもボールとスパイクのグリップが変わらず、スパイクの手入れもしやすくなるかもしれないならユーザーにとってもメリットがあるのではないでしょうか。

バイオミミクリについて話すと1時間くらいずっと喋れるくらい熱が入るのでこの辺にしておきます。

というわけで、今日はジェネレーティブ・テクスチャー(GT)の凸構造についての気付きとアイディアでした。

それでは。

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