『ケーキのWA』について詳しくお話します!村上信五×チャリティーサンタ

 過日、『ケーキのWA』(※1)プロジェクトリーダー村上信五とチャリティーサンタ 代表 清輔夏輝 が『シェアケーキ』(※2)から派生し誕生したプロジェクト『ケーキのWA』を、皆さんにもっと知ってもらいたいと集まりました。1時間、熱く語った村上さん。お話からプロジェクトリーダーとしての想いをいくつも聞くことができました。

村上さんとチャリティーサンタとの出会いから、これから『ケーキのWA』をどのように発展させていきたいのかまで、村上さんの言葉をそのまま伝えられるように、聞き手(文・構成担当)による対話のやりとりで掲載します。


<村上>
 最初のミーティングで忘れられないのは、家が経済的に厳しくて誕生日にケーキを食べられなかった男の子の話なんですけど、その子が学校でクラスの人から「昨日は誕生日だったから、ケーキ食べた?」って聞かれて「食べたよ」ってウソをついたんですって。その子が家に帰ってからお母さんに、自分がみんなにウソをついてしまったことを悲しそうに話したそうなんです。
 他にも、保育園に通う子のお母さんが、先生から「〇〇くんが、お誕生日で大きなイチゴのケーキを食べて、すごく美味しかったと言っていましたよ」って言われたんですって。お母さんは、誕生日に1度もケーキを食べさせてあげたことがなかったのに、保育園でそんなウソをついていたこと、子どもが大きなイチゴのケーキを食べたかったこと、でも、その気持ちを言えず隠していたことを初めて知って、子どもに申し訳ない気持ちと、親として情けなくなった、と。
 こんな悲しいウソってあります?

 ボクも子どもの頃にウソをついたことはあります、でも、ボクがついていたような親をだますようなウソとは違う。この子たちは、見栄をはらなければならなかったり、親を気遣ったり、こんな種類のウソをつかなければならない子がいるっていうことに衝撃を受けました。
 恥ずかしながらボクは、誕生日にケーキを食べられない子がいることを今まで考えたことがなかった。誕生日は、ケーキを食べるのが普通だと思ってた。無知なことに恥ずかしくもなって、心が動き、僕にできることはないか、というのがスタートだったんです。

ーーー 子どもたちの誕生日ケーキにまつわるウソが、村上さんが、シェアケーキを手伝って『ケーキのWA』を立ち上げ、プロジェクトリーダーになって広めたいと強く思った理由なのですね。まずは、『ケーキのWA』の始まりを教えてください。

<清輔>
 はじまりは、2023年12月2日。文化放送「村上信五くんと経済クン」(※9)に、僕が呼ばれて出演して、村上さんに『ブックサンタ』(※3)と『シェアケーキ』の取り組みについてお話をしました。とても関心を持ってくださって、とても嬉しかったです。
 そうしたら、まさかびっくり、村上さんからメールが来て!

<村上>
 『ブックサンタ』のお話を聞いて素晴らしい取り組みだと思って、その流れで『シェアケーキ』という、誕生日ケーキを買えない家庭に誕生日ケーキを寄付する取り組みがあって、そこに、ファンの子で推しの誕生日を祝ってケーキを買ってSNSにあげていた人が、そのケーキ代を『シェアケーキ』に寄付してくれるって話を聞き、なんて温かいんだと思ったんですよ。
 ラジオは時間が限られているから話しきれなくって、後日、キヨさん(清輔夏輝)から名刺をいただいていたので、直接メールをして、微力ながら何かお手伝いできることはありませんか?ってお送りしました。

<清輔>
 僕たちとしてみたらとてもありがたい話で、さっそくミーティングをさせていただきたいと返信をしました。そうしたら、直ぐにオンラインミーティングの時間を作ってくださって、僕とスタッフで、団体の詳しい説明、シェアケーキの実情と今後についてお話をしたら、チャリティーサンタのスタッフになりたいって言って下さって、村上さんの優しさと人柄に感動して、本当に夢のような時間でした。
 そこから忙しい中で時間を作ってくださって、月に1、2回のミーティングを重ねてきました。

ーーー ミーティングでは具体的にどのようなお話をしましたか?
 
<清輔>
 最初は、『シェアケーキ』の仕組みと、推しの誕生日に『シェアケーキ』に寄付してくれる人が増えている状況を詳しく話しました。
 去年(2023年)の夏に突然、シェアケーキの寄付申し込み者の欄にあるタレントさんのお名前がどんどん並んでいって、え?何が起こったんだ?ってなったんです。調べてみたら、その方の誕生日で、あるファンがSNSで『シェアケーキ』に寄付をしたと上げていて、それを見た同じ推しのファンの人たちが「それ良いね」「わたしもやろう」ってコメントがいっぱいついていて、リアクションの数も多かったんです。スタッフみんなで感動して、シェアケーキがこういう形で認知されて、寄付者が集まるなんて想像もしていなかったんで、素晴らしい人たち、素晴らしい日だと思いました。

 その日から、他の推しのファンの方からも、推しの誕生日にケーキ代が寄付として届くようになったんです。
 村上さんからご連絡をいただいたとき、この状況を多くの人に知ってもらいたいな~と思っていたところだったので、さっそくミーティングで相談をしたら、村上さんもファンから祝ってもらっているという話になって・・・

<村上>
 ラジオでもお話させて頂いたんですけど、ボクの誕生日もSNSでお祝いしてくれる人いるよ、って話をしたんですよ。すっごいケーキ買ってくれたり、作ってくれたりして、グッズをいっぱいならべて、日本のファンの方々はもちろん、中国のファンの方もそうやったんですけど、お店を貸し切って、お店の人が引くくらいグッズを並べてくれてお祝いしてくれるっていうのを見たり、そういうのを見て、温ったかくもあり、おもしろくもあるし、嬉しいですよ。
 その中でもしも、ボクと同じ解像度で同じような気持ちになって、同じようなテンションで、新しい寄付の形に興味を持ってくれる人がいたら、もちろんその人の生活があってのことなので無理にとかではなくって、誕生日にケーキを買えずに食べられない子のために寄付をしてくれたら、それもうれしいな、温かいなと思いまして。 

 そして、ボクだけじゃなく、推された側のタレントさんや俳優さん、芸人さん、歌手の方々も、もしかしたら自分の誕生日にファンの人たちが自分を祝って下さるのは、喜んでいらっしゃるのでは?と想像が出来たんです。だとしたら、誕生日のその日に、誕生日ケーキが食べられない子どもに寄付の形でケーキになって届いているのもサプライズ的に驚きと共に嬉しく思って頂けたらと勝手ながら思いまして。
 そこから、推しの誕生日ケーキを買ってSNSで祝っているファンの人たちに向けた新しい寄付の形を伝えるプロジェクトをやろう、という話が生まれたんです。

ーーー それが村上さんがプロジェクトリーダーになって立ち上げた『ケーキのWA』ですね。
 
<村上>
 はい。プロジェクト名は色々と提案させて頂きました。

<清輔>
 僕たちスタッフもいくつかプロジェクト名を考えたんですけど、村上さんの案が1番ぴったりだったので、村上さん命名になりました!

ーーー 村上さんの解像度をお聞きしたく、誕生日ケーキが買えない家の子どもにケーキを贈る活動について、どんなところが良いと思って共感しましたか?

<村上>
 ミーティングを重ねる中で、実際に誕生日ケーキをもらった子どもやその家族からのメッセージをたくさん読ませて頂きました。そしたら、本当にみんなすっごく喜んでいる。忘れられない思い出になっているじゃないですか。
 それでぼくが思い出したのは、小さいときに、誕生日に母親がチーズケーキを作ってくれたんです!なんの飾りっけもない、ただ丸いホールの普通のケーキですよ、でもね、それがすっごくうれしくって今もはっきり覚えているんです。

 誕生日って1年に1度しかない特別で大切な日でしょ、その日に大きなケーキがあったら楽しい、楽しくって思い出に残る1日ですよ、それってエンタメと同じじゃないかと。
 ぼくね、初めてのドームの景色、今もしっかり覚えているんですよ。ドキドキも覚えてる。でね、コンサートに来てくれた人たちも、楽しかったことをしっかり覚えてくれてるんです。グループになって20年以上になるけど、結婚されたファンの人がね「高校生のときに行って、ああなってこうなって」って演出のことを細かく話してくれて、ぼくはもう忘れてるんですけど笑、そんなに覚えてくれてんねや、思い出づくりに貢献できてるのかって、エンタメ冥利につきるという実感がある。

 思い出に残るうれしくって楽しい1日ってエンタメですよ、エンタメと同じじゃないですか。エンタメに携わる者として、誰かからの誕生日ケーキっていうのは、子どもにとってエンタメと同じような思い出になると思うんですよ。プレゼントは好みがあるけれど、ケーキは誕生日を彩る象徴の1つで欠かせない、ケーキがあれば華やかになるし、その景色は必ず残る。
 ショートケーキワンピースだけでもすごくうれしいものだけど、それがホールで自分のために用意されたものだということは特別だと思うんですよ。ライブに来てくれた人たちと同じように、その1日を楽しんで過ごして欲しいってすごく思う、そういう日が思い出にあるのってすごく大事だと思うんですよね。
 誕生日を祝われた側は、確かによく覚えているよな、って、それが子どもの頃に1度もないと、心配にもなるんです。

ーーー 心配とは?

<村上>
 これも誤解を恐れずにいうと、祝ってもらった人じゃないと、同じくらいの気持ちで人のことを祝えないと思うんですよ。感謝の気持ちとか謝罪とかも一緒で、痛い目にあったから、人にもそういうことはしちゃいけないんだというのと一緒で。
 だからこそ、自分のことを家族や知らない人だけれども誰かが、こんなに想ってくれて祝ってくれるなんて、めっちゃ嬉しいなと思ってくれたら、その子が今度は、お父さんなのかお母さんなのか、友達なのか、身近な人にできることをやりたくなるんじゃないかなっていうのがあると思うんです。体感、体験って大事、一度でも。まずは体感してもらって、体験に移せるきっかけをつくりたい。

 この理念というかそういう部分をいろんな人に知ってもらえたら、『ケーキのWA』で、その一歩のお手伝いが、できたら良いなって。
 今まで「誕生日にケーキが食べられない子がいること」を知らなかったボクが、この取り組みを知って、こんな感情になったんだから、僕を通じて賛同してくれた人たちは、近しい気持ちになってくれたんじゃないかな、という勝手な予想ですけどね。

ーーー 経済的に困窮している家庭には、ケーキではなく、食料とか日用品のほうが良いのではという声もありますが、誕生日ケーキにこだわる理由を教えてください。

<村上>
 今まで話した通りで、365日の中でこの世に生まれてきた大切なその1日は、これって大きなイベントじゃないですか。その日を笑顔で思いっきり喜んで楽しんで欲しい。そして、お祝いされたことで、子どもの心が少しでも豊かになって欲しくて。

<清輔>
 食料とか日用品とかは、公的支援や支援団体が充分ではないけれどある程度あるんですけど、子どもが主役になる誕生日やクリスマスの支援は、まだまだ少ないんです。経済格差から「子どもの誕生日祝い格差」「クリスマス格差」が起こっていて、そんな今の世の中に向けて、子どもをちゃんと主役にしてあげたい、子どもらしく笑って喜べる誕生日になって欲しいから、誕生日ケーキを贈る活動をしています。
 そして、子どもたちに「あなたの知らない誰かが、あなたに喜んでもらいたくってプレゼントをしてくれたよ」、「あなたのことを応援してくれている大人が実はいるんだよ」って、困窮した家庭は疎外感を持つ人も多く、気に掛けてくれている人がいることが伝わると良いなと思っています。
 あと、もう1つ誕生日ケーキを贈る理由は、誕生日にケーキを買えない家庭では、親御さんたちが子どもに申し訳ないと苦しんでいて、その苦しみからも解放させてあげられるんです。

 例えば、あるお母さんは、誕生日にコンビニのケーキを1個しか買えなくって、子どもに出して祝ったら「ママのケーキは、ないの?」って言われたそうで、子どもに心配をかけさせて心から喜ばせてあげられなかったのがとても辛かった、という話がありました。
 他にも、お母さんが「誕生日にケーキを買ってあげられなくって、ごめんね」と言ったら、「いいよ、ケーキ嫌いだから」って。お母さんは、この言葉を聞いて、返す言葉が直ぐに出てこなかったそうです。
 『シェアケーキ』で誕生日ケーキが届いた子どもや家族からのメッセージを掲載しているので、ぜひ読んでいただくと状況がわかると思います。(※4メッセージ

<村上>
 ぼくもそれを読んで、本当に驚いた。恥ずかしながらこういうことが今、日本で起こっていることを知らなかった。心に刺さりました。

<清輔>
 最初のオンラインミーティングで、村上さんがこのメッセージをパソコンに顔をおもいっきり近づけて、こちらの画面いっぱいに村上さんが食い入るように読んでいる顔が映し出されて、僕、今でもあの顔が忘れられないんですよ。本当に良い人だな~と思って、改めて一緒にプロジェクトをやりたい、やらせて欲しいと思った瞬間でした。

<村上>
 どんな顔してました!?笑

ーーー ケーキが贈られる子どもや家庭は、どのように決まるのですか?

<清輔>
 まず、行政の支援の中で3つの支援のいずれかを受けていることが条件です。該当しない場合は、個別に相談をして決めます。
 シェアケーキのホームページの申込みページ(※5)にこの条件が設問項目で書いてあるので、それを使って説明をすると、

1,児童扶養手当を受給している
2,就学援助、高校生等教育給付金、高校生等奨学給付金を受けている
3,生活保護を受けている
ただし、離婚調停中とかDVで逃げているために児童扶養手当の申請が出来ないケースなどもあるので、個別に相談できるように設問には、「4,その他(上記と同等の経済状況の場合、詳細な理由を記入)」を用意しています。

 そして、申し込むときは、実際に設問に答えてもらったものを受けているのか、証明書、通知書の画像、証明書の種類、期限、ご本人のものとわかるように氏名の記載が写っているものを提出してもらうようお願いしています。証明書がない場合は、入金履歴(年月日、給付金名称、本人名前)があるものを添付してもらいます。

「4,その他」の場合や、添付をしたくない場合は、経済状況で困っている理由を細かく記入してもらって、個別に詳細を確認しています。
 そして、届く寄付金は限りがあるので、申込み数が多い場合は、抽選とさせていただいています。出来るならば、申込みがあった家庭の子ども全員に届けたいですけどね。

<村上>
 それは、これからですね。1人でも多くの子どもに届けたい。 

<清輔>
 あと、僕たちも気をつけないといけないのは、「見た目ではわからない経済的に困窮している家庭がある」ということなんです。
 例えば、お父さんが去年亡くなって、お母さんは病弱で子どもの世話もあって少ししか働けないから、生活費に困って児童扶養手当を受給している状況でした。でも、買ったばかりの新築の家は、お父さんが団体信用生命保険に入っていたので、住宅ローンの返済が必要なくなってそのまま住めるんです。家を売るという考えもあるかもしれません、でも、再び不安なく住み続けられる家を買うことはできないケースがほとんどなので、子どものことを考えればそのまま住み続ける選択を勧められることが多くって、そういうご家庭は、裕福に見えてしまうんです。
 そして、DVの旦那さんから逃げて、一時的にご友人の家で暮らしている人もいます。ご友人の家が良いおウチで、洋服もその家の子どもの服を借りていると、お金に困っているように見えないんですよね。だから、行政の方も支援するときは、丁寧な聞き取りをします。僕たちも先ほどの条件に該当しない場合は、丁寧に聞き取りをしています。
 DVから逃げてきた子どもへ贈ることも多く、僕らは、所在が分からないように細心の注意を払って活動をしています。

 他にも、見た目で困窮した家庭か分かりにくいケースがあって、世の中の風潮として支援を受けているなら道楽はあきらめろというのがありますが、それに対しては、行政の方たちと僕らも同じ考えで、出来る事ならば、1年に1回でも旅行やテーマパークへ行ったりしてちゃんと遊ぶ機会をつくることを勧めています。税金や寄付からの支援を受けていて気が引けたり、遊ぶことをあきらめてしまった人たちは、思いつめたり、精神的な負担が強く現れる傾向があるからです。家計をやりくりして、1年の中でたった数日、遊びに行く人たちもいることを理解して欲しいです。

ーーー 村上さんは、ケーキが贈られる家庭の条件については、ご存知でしたか?
 
<村上>
 もちろんです。説明を受けていましたし、自分なりにもチャリティーサンタのことも『シェアケーキ』のことも含めてもいろいろと調べた結果、しっかりされているなと思って、協力したいしスタッフとして入りたいって思いました。
 行政など公的な機関の方たちが、しっかり調べてらっしゃるし、チャリティーサンタも行政に準じた方法で聞き取りをしているから、そこは本当だと思うし、見た目で判断はできないですよね。

ーーー 『シェアケーキ』と『ケーキのWA』の寄付は、どのようにして、いくらから参加できますか?


<清輔>
 寄付は、『シェアケーキ』と『ケーキのWA』のホームページに寄付の受付フォーム(※6)があるので、そこから寄付をすることができます。
 ホールケーキ1台を贈るための寄付は、4000円になりますが、寄付の金額入力欄は、無理のない範囲で参加いただけるように、1円から自由に入力できるようになっています。

ーーー ホールケーキ1台を寄付するには、4000円ということで、4000円の内訳は、3000円を洋菓子屋さんにお渡しして、1000円はチャリティーサンタの運営費に使われると書いてあります。その1000円が何に使われているのか、具体的に教えてください。
 
<清輔>
 最初にお伝えしておきたいのは、寄付を受け付けている団体がたくさんありますが、寄付金の流れには、いくつかのパターンがあります。
代表的なパターンをお伝えします。

◆寄付金のながれ
①個人/企業・団体
 ●個人が団体の活動に賛同し寄付をする
 ●社内や顧客などから寄付を集めて全額寄付をする
      ↓
②非営利団体(NPO法人、財団法人など)
 ●寄付金を使って支援活動
 ・運営費:人件費、事務所設営費、交通費、通信費、以下のものを揃えて届ける活動費など
 ・支援が必要な人に必要な物、人手、お金(正しく渡すシステムを構築)などを用意して届ける
      ↓
③支援が必要な人
 ●必要な物、お金、人手などの支援を受け取る

<寄付の流れ図>

 寄付は、個人の方や、企業、団体が、寄付したい先(非営利団体(NPO法人、財団法人など))を決めて、寄付金を渡します。
 寄付金を受け取った非営利団体(NPO法人、財団法人など)は、活動するために寄付金を、運営にかかる費用、支援が必要な人や動物が求める物品や人手を用意する費用などに使います。
 いくつものパターンがあると言った通り、他にも、国や行政などから活動費などの支援を受けて、寄付金の全額を支援が必要な人に届ける団体もあります。でも、それはごく一部の団体で、その団体の活動だけでは必要な人に支援は行き届きません。なので、寄付で運営費をいただきながら、困っている人たちを支援する様々な団体が日々活動を行っています。

 チャリティーサンタは、NPO法人なので、この②にあたる団体です。
 活動内容に賛同してくださった人たちからの寄付金で運営して、支援が必要な人に届けています。
 『シェアケーキ』『ケーキのWA』の場合は、ホール1台を贈るために4000円を寄付していただくと、25%の1000円を運営・活動費に充てさせていただいています。 1000円が何に使われているのか具体的にお伝えすると、ホームページの作成や、ネット上でデータを管理したり洋菓子屋さんに必要な情報を共有するためのシステムやアプリの構築を外注費で払っています。他にも、寄付などで発生する決済手数料、この取り組みの広報費用、ポスターやチラシの印刷代、寄付者へのお礼と領収書の郵送費用、大人数のミーティングの時は、会議室をレンタルする費用がかかります。スタッフ間のやり取りの通信費や、打ち合わせで移動するときの交通費も必要となります。コンプライアンスや法的な問題があれば、顧問弁護士に相談をしたり、実務で稼働してもらうので、通常よりも安くしてもらっていますが、支払います。これらのかかった費用をしっかり見て下さる税理士さんにもお支払いします。
 そして、現在、チャリティーサンタには、10人の職員がいて『シェアケーキ』『ケーキのWA』の担当者には、給与としての支払いがあります。他にも、外部スタッフとして、エンジニアやデザインなどを担ってくれる一部の人たちに報酬をお支払いしています。


 チャリティーサンタの場合は、1つの会社の経営をイメージしていただくと、ほぼ同じです。この1000円は、『シェアケーキ』と『ケーキのWA』を継続していくためのお金で、大切に使わせていただいています。当団体の会計(※7)については、毎年公開していますので、ご確認ください。
 そして、今後、寄付して下さる方が増えたりとか、かかる経費のコストダウンが見込めれば、経費の比率を下げることも可能だと思っています。でも、ケーキの材料費がものすごく高騰したときのことも考えておかないとですが。

<村上>
 チャリティーサンタは、NPO法人で、法人っていうのは、会社とほぼ同じだと理解しています。社会の仕組みとしてかかる経費を支払う必要があって、そのためには、収入がなければ成り立たないから、自分たちで稼ぐか、寄付金で運営するかになりますよね?
 チャリティーサンタが運営のために自分たちで稼いでいたら、困っている人たちを支援する活動時間がなくなっちゃうんで、寄付を集めて、いただいた中から運営費を支払うって認識してます。合ってますかね?


<清輔>
 はい、おっしゃる通りで、活動資金として寄付してくださったお金や助成金がなければ、僕らの団体は、活動ができません。

ーーー わたしも今回、支援団体などの運営費についていろいろと調べましたが、寄付の半分近くを運営費にしている団体もあったり、団体によって運営にかかる費用が違うので、やはり、寄付したいと思った人が運営費を見て、納得がいくならばそこに寄付をして、納得がいかなければしないという、寄付する側の判断が大事なのではと思いました。

<村上>
 こんな話をしたらいやらしいかもしれないけど、ボクも『シェアケーキ』にお金で寄付することはできます、でも、この取り組みは、自分がかかわって、多くの人に広めたいと思って。こういう形でもお役に立てるのって、タレントやってて良かったなって気付かされました。
 実は、直木賞受賞作家の今村翔吾さんが「経済クン」(※9)に来てくださって、その直ぐあとがキヨさんの出演で、ラジオの放送のあとに翔吾さんが『ブックサンタ』(※3)で『作家サンタ』(※8)っていう作家さんたちがお勧めの本を紹介して『ブックサンタ』への寄付を広める活動の発起人になっているのを調べて知って、これもすごく良い活動だな~て思ったんですよ。それも心に刺さって、ボクも何かできないかという気持ちが強くなりました。

ーーー 『作家サンタ』が村上さんの心に響いていたとは、今村翔吾さんも喜ばれるかと。

 その『ブックサンタ』ですが、『ブックサンタ』は、寄付した本がそのまま子どもに送られるのに、なぜ『シェアケーキ』は25%が運営費に使われるのか?という声がありました。この違いについて教えてください。

<清輔>
 『ブックサンタ』は、確かに運営費をいただいていません。2017年に始動した当時に運営費をいただかず、本をそのまま届けると判断したのは、とても良い取り組みだと思っていますが、一方で、僕たちの考えに甘いところがありました。これは、大きな学びになりました。
 『ブックサンタ』がスタートした初年度は、800冊の本が集まって、最初の3年間は赤字ながらも、本の数が少ないのでなんとか運営ができていました。しかし、年々反響が大きくなり本の数が増えて、本のラッピング費用や配送費用、メッセージカードの印刷代、本の保管倉庫を借りることになったり、人手も増やさなきゃで人件費も増えて、運営費が足りなくなって必死に寄付を呼びかけて、助成金もあちこちに申請して、なんとか運営していた状況だったんです。

 僕らにとって、このことは教訓になりました。寄付する人たちにとっては、寄付した本がそのまま困っている人たちに贈られるほうが、透明性があって良いだろうと思ったんですけど、運営資金が足りず活動ができなくなったらこの活動は終わってしまう、『ブックサンタ』の活動を続けていくためには、運営費をくださいって言うことも大事だと気づかされました。
 ですので、『シェアケーキ』と『ケーキのWA』は、運営費について最初から25%いただくことを伝えさせていただきました。
 そして、今年の『ブックサンタ』は、活動を続けていくためにも、運営費の寄付について今まで以上の呼びかけをさせていただこうと思っています。去年は、締め切り2日前までは、赤字ギリギリだったんです。最終日に向けて活動資金を寄付してくださる人が増えて、赤字から脱出することができたので、寄付してくださった方たちには、本当に感謝しています。
 
ーーー チャリティーサンタの会計報告書で、消耗品が2000万円近くもあって、普通では考えられない、一体ナニに使っているんだ?という声を見ました。

<清輔>
 これは、消耗品の中に、「本とケーキ」が含まれているからなんです。税理士とも相談をして、一般的な消耗品として計上することにしました。
 この他にも、昨年は、『ブックサンタ』で12万8千898冊の寄付が集まりました。それをラッピングする包装費や文具代、配送するときの資材も含まれていて、これもなかなかの金額になるんです。

ーーー 今後、消耗品の内訳を寄付の本とケーキは、別けるなどして分かりやすくする方法はありますか?

<清輔>
 現在、決算対応中で確定ではありませんが、会計書類でもわかりやすくなるよう、寄付の本とケーキを消耗品から分けて記載することにして、透明性を高めたいと考えております。現在、顧問税理士の先生と監事の先生方と相談中です。

ーーー では、プロジェクトリーダーの村上さんが描く、これからの『ケーキのWA』について教えてください。

<村上>
 いくつか、段階も含めてあるんですけど、まず、ボクも知らなかった誕生日にケーキが食べられない子がいることを、多くの人に知ってもらえるようにしたいと思っています。全員に同じ解像度でわかってもらうのは難しいことですけど、この現状を知ったら、それぞれの人たちの心がいろいろと動くと思うんですよ。
 そして、365日毎日が誰かの誕生日じゃないですか、タレントさんとか俳優さんとか芸人さんとか歌手がこの活動に賛同してくれて、その人を応援しているファンの人が誕生日に寄付しましたというのがあったら、「あなたのおかげでケーキを買えない家庭の子どもがお誕生日ケーキでお祝いできました」っていうことをきちんと伝えたいし、そこから何かしらの相互作用が生まれていって、この輪が広がったらいいなと。今、芸能界で賛同してくれそうな人にこれから声をかけようと話してます。

 いずれ、ボクよりもずっと先輩で、コンサートや劇場で活躍されててファンがたくさんいらっしゃる人たちにもお伝えして、賛同していただけたらファンの方々に呼び掛けていただき、『ケーキのWA』で喜んだ子どもたちのことを報告したら、芸能活動をやってて良かったなって思ってもらえる瞬間をおこがましいですが作れたら良いなと、最近は感じています。
 それで最終的には、極論ですけど、僕はプロジェクトに賛同して立ち上げましたが、僕の手を離れてでもその輪が持続的に循環して行くのが1番だと思うので、誰かが回さないと回らないではなくて、あとは自走してくれる形になるところまでこのプロジェクトが育ってくれたら、嬉しいですね。

ーーー 村上さん、これまでに『ケーキのWA』に寄付をしてくれた人たちにひと言お願いします。

<村上>
 ぼくと同じ感覚で知らなった世の中の何かを知って、自分にもなにかは出来ることがあるんだと思ってくれた人が起こしてくれたアクションだと思うので、気持ちとしては、僕と同じだとおもってます。僕も知らなかったから何もアクション起こせなかったわけで、こうして今回、出会ったご縁がありつつなので、一緒にね、これからも。
 『ケーキのWA』という名前をつけたのもそうなんですけど、知ってくださったのであれば、無理に広げて欲しいとは言わないですけれども、心の中にとどめるだけではなくて、『ケーキのWA』でなくても、ひとりひとりが続けられる輪(WA)をぜひ見出していただけたらとってもありがたいです。

ーーー 清輔さん、村上さんのお話をたくさん聞いて、今、どう思われましたか?

<清輔>
 改めて、本当に有難いな、という気持ちです。テレビ画面の中の人が、僕らの活動に関心を持ってくださって、しかもスタッフになって一緒にやりたいって、そういう奇跡が本当にあるんですよね。ということは、これからもいろんな奇跡が起こって、大変な境遇にいる子どもたちがどんどん笑顔になるんじゃないかと期待も膨らみます。だから、村上さんが参加して下さったのは、僕らにとっても励みになって、本当に有難いです。
 そして、先ほど村上さんが「祝ってもらった人は、大切な人を祝うことができる」という話がありましたけど、寄付してもらってうれしい思い出ができた人は、将来寄付をする人になるかもしれないんですよね。村上さんに賛同して寄付して下さった人がいますし、これを読んで寄付しをして下さる人も出てくると思うし、その方たちは、未来に続く寄付をして下さったことになるわけで、結局は、有難いに尽きます!

<村上>
 ほんまに、ここから輪(WA)がどんどん広がると嬉しいですね。
 僕もエンタメの仕事をしていると、いろんな人にウキウキして欲しいし、笑顔になって頂きたいという気持ちがあって、誕生日にそうなる子どもがほんまに増えて欲しいです。
 本業もみなさんに喜んでもらえるようにまだまだいろいろと考えているんで、よろしくお願いします!

※1. 『ケーキのWA』公式サイト https://sharecake.charity-santa.com/cake-no-wa/

※2. 『シェアケーキ』公式サイト https://sharecake.charity-santa.com/

※3. ブックサンタ公式サイト https://booksanta.charity-santa.com/

※4. ケーキが届いた子どもや家庭からの感想 https://www.charity-santa.com/project/rudolf/sckateinokoe/

※5. 『シェアケーキ』申込ページ https://www.charity-santa.com/project/rudolf/inquiry_rudolph/

※6. シェアケーキ寄付ページ https://www.charity-santa.com/join/donation/#sharecake

※7. 事業報告ページ https://www.charity-santa.com/about/performance_reporting/

※8. 作家サンタ公式ページ https://writer.charity-santa.com/

※9.  ラジオ番組「村上信五クンと経済クン」(外部リンク)https://www.joqr.co.jp/qr/program/murakami/

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